文部科学省の29年度概算要求主要事項④
( 2016-10-11付)

 文部科学省の二十九年度概算要求主要事項はつぎのとおり(金額は要求・要望額、単位・百万円。カッコ内%は前年度予算比)。

★学力と人間力を備えた人材を育成するための教育再生の実現

【学びのセーフティネットの構築】

◆学校をプラットフォームとした総合的な子どもの貧困対策の推進=四、一五八(一五九・六%)

 家庭の経済状況にかかわらず、学ぶ意欲と能力のあるすべての子どもが質の高い教育を受け、能力・可能性を最大限伸ばしてそれぞれの夢に挑戦できるようにすることは、一人ひとりの豊かな人生の実現に加え、今後のわが国の成長・発展にもつながるものである。

 子どもの貧困対策に関する大綱を踏まえ、学校を子どもの貧困対策のプラットフォームと位置付け、総合的な子どもの貧困対策を推進するとともに、教育の機会均等を保障するため、教育費負担の軽減を実施する。

▼教育相談の充実=一、六四三

▼学習支援の充実

▽地域未来塾による学習支援の充実=五三五(補助率1/3)―四、一〇〇ヵ所

 経済的な理由や家庭の状況によって、家庭での学習が困難であったり、学習習慣が十分に身に付いていない中学生などに対して地域住民の協力やICTの活用等による学習支援を実施するとともに、高校生支援を促進する。

▼高校生等の就職・就学支援等=六一六

▽多様な学習を支援する高校の推進事業=七九

 生徒の多様な学習ニーズに応じた教育活動を展開する定時制・通信制課程の高校や総合学科の高校、ICTを活用した遠隔教育を実施する高校における生徒への支援体制の充実を図り、生徒の学習意欲を向上させ、確かな学力を身に付けさせるなど、高校教育の質の確保・向上に向けた一層の取組を推進する。

 特に、広域通信制高校については、質保証の必要性等が指摘される中、効果的な通信教育手法の研究や、学校運営改善のためのPDCAサイクルの確保を推進する。

▼要保護児童生徒援助費補助=九六一(補助率1/2)

 要保護児童生徒の保護者に対して学用品費、修学旅行費、学校給食費などの就学援助を実施。

 一億総活躍社会の実現に向けて、国立学校、私立学校や学校外で学ぶ不登校児童生徒に対する就学援助や新入学児童生徒学用品費等の単価の引き上げを行い、就学援助の着実な取組を支援する。

※参考・復興特別会計

▼被災児童生徒就学支援等事業=六、五二四 

 東日本大震災で被災し、経済的に就学が困難な幼児児童生徒の就学機会を確保するため、幼稚園児への就園支援、小・中学生に対する学用品費等の援助、高校生に対する奨学金支給、特別支援学校等に在籍する児童生徒などへの就学奨励、私立学校および専修学校・各種学校の授業料減免などを実施する。

◆私立中学校等に通う児童生徒への授業料負担の軽減=一、二八三(皆増)

 様々な事情から、低所得世帯においても、私立学校を選択する場合がある。一方で、私立の経済的負担は大きいことから、私立中学校等に通う児童生徒が安心して教育を受けられるよう、低所得世帯を中心として授業料等への支援を行う。

▼私立中学校等に通う児童生徒へのセーフティネットの構築(新規)=一、二八三

▽支援額=学年進行で実施(二十九年度は一年生のみ対象)

①非課税世帯(年収二五〇万円未満)=年額一四、〇〇〇円

②年収二五〇~三五〇万円=年額一二、〇〇〇円

③年収三五〇~五九〇万円=年額一〇、〇〇〇円

◆学校施設等の老朽化対策等の推進=三一五、八二一(二・六倍)

▼公立学校施設の老朽化対策を中心とした教育環境の改善等の推進=一七八、六六六(二・五倍)

 学校施設は児童生徒の学習・生活の場であり、より良い教育活動を行うためには、その安全性・機能性の確保は不可欠である。

 しかしながら、学校施設は、建築後二十五年以上経過し、改修が必要な建物の面積が全体の約七割を占めるなど老朽化は深刻な課題となっている。

 このため、経年劣化により安全性・機能性に支障のある老朽施設を改善するなど、教育環境の改善を推進するとともに、耐震化および防災機能強化に取り組む。

◇老朽化対策を中心とした教育環境の改善

 安全性・機能性を確保し、教育環境を改善するため、老朽化対策、空調設置、トイレ改修、給食施設整備などを推進。

◇耐震化および防災機能強化の推進

 学校施設の耐震化を支援。また、災害時に地域住民の避難所としての役割を果たす学校施設の防災機能強化への取組を支援。

◇小・中学校等の教室不足への対応等

 小・中学校、特別支援学校の教室不足に対応するための新築・増築、学校の統合にかかる新築・改修事業などにかかる施設整備。

▼国立大学等施設の整備=九六、九九二(二・三倍)

 国立大学等の施設は、将来を担う人材の育成の場であるとともに、地方創生やイノベーション創出の重要な基盤であるが、著しい老朽化の進行により安全面・機能面などで大きな課題が生じている。

 このため、「第四次国立大学法人等施設整備五ヵ年計画(二十八年三月二十九日文部科学大臣決定)」を踏まえ、老朽施設の改善整備を中心とした、安全・安心な教育研究環境の基盤の整備や国立大学等の機能強化等変化への対応など、計画的・重点的な施設整備を推進する。

◇安全・安心な教育研究環境の基盤の整備

 非構造部材の耐震対策含む施設の耐震化および老朽化対策、機能劣化の著しいライフラインの改善による基幹設備の更新などを実施。

◇国立大学等の機能強化等変化への対応

 先端的な研究施設の整備等を含む高度化・多様化する教育研究活動への対応、地域医療・先端医療等の拠点として附属病院の再開発整備を実施。

教育格差解消 全国に普及

【絆づくりと活力あるコミュニティの形成】

◆学びを通じた地域づくりと学校・家庭・地域の連携協働=九、二六九(一三一・九%)

 学校を核とした地域力強化の仕組みづくりや、親子がともに学び・育つことを地域全体で応援するなど、地方の活性化につながる多様な取組を展開することによって、まち全体で地域の将来を担う子どもたちの育成、地方創生および教育格差解消等の実現を図る。

▼地域の教育資源を活用した教育格差解消プラン「親子の学び・育ち応援プラン」(新規)=四〇二

 地域の多様な教育資源を効果的に活用し、経済的・社会的困難を抱える親子の状況などに応じたきめ細かなアプローチを行う多様で特色ある取組モデルを構築するとともに、地域発の教育格差解消の取組を全国に普及することによって、困難を抱える親子がともに学び・育つことを応援し、家庭環境にかかわらずすべての人が活躍できる一億総活躍社会の実現の促進を図る。

①図書館資源を活用した困難地域等における読書・学習機会提供事業=五〇ヵ所

②困難を抱える親子を対象とした自然体験活動推進事業=二一ヵ所

③学びを通じたステップアップ支援促進事業=四ヵ所

④先駆的家庭教育支援推進事業(訪問型家庭教育支援の実施)=五ヵ所

▼博物館ネットワークによる未来へのレガシー継承・発信事業=六四

 二〇一九年国際博物館会議(ICOM)京都大会、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を、わが国における学術、文化芸術のレガシーを広く国内外に発信する絶好の機会ととらえ、複数の博物館を中心とした連携組織(コンソーシアム)による国内外の博物館連携を一層推進し、観光マネジメントにも強い学芸員の人材育成など、観光振興、国際発信の拠点としての取組モデルを構築し、博物館の機能強化を図る。

▼生涯学習施策に関する調査研究=五二

 二十八年五月に公表された中央教育審議会答申を踏まえた学習成果の適切な評価・活用についての研究など、地域課題の解決や多様な学習機会の充実に資する調査研究等を実施し、生涯学習の振興方策の充実を図る。

※参考・復興特別会計

▼仮設住宅の再編等にかかる子どもの学習支援によるコミュニティ復興支援事業=七九五

 学習環境が好転していない地域において、長期にわたる仮設住宅生活で学習支援が十分に行き届いていない被災した児童生徒を中心に、地域人材による学習支援を実施することによって、仮設住宅内、また、仮設住宅とその学校や周辺地域とを結ぶコミュニティの復興促進を図る。

★スポーツ立国の実現

◆スポーツ立国の実現を目指したスポーツの振興=四〇、二三五(一二四・三%)

 すべての人々がスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、スポーツを支え、スポーツを育てる活動に参画する機会を確保するとともに、国民に誇りと喜び、夢と感動を与えてくれるトップアスリートの育成・強化、スポーツを通じた地域や経済の活性化、国際貢献などを推進し、わが国の「新たなスポーツ文化」を確立することを目指す。

▼二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等に向けた準備=二〇、六一九

▽競技力向上事業=九、五〇〇

 二〇二〇年東京大会などにおける日本代表選手のメダル獲得に向けて、各競技団体が行う日常的・継続的な強化活動および次世代アスリートの発掘・育成などの戦略的な強化について、オリンピック競技とパラリンピック競技の一体的な支援を行う。

▽ナショナルトレーニングセンターの拡充整備=三、六六〇

 トップアスリートが、同一の活動拠点で集中的・継続的にトレーニング・強化活動を行うために、パラリンピック競技の使用を想定したナショナルトレーニングセンター(NTC)を拡充整備し、オリンピック競技とパラリンピック競技の共同利用化を図る。

▽ハイパフォーマンスセンターの基盤整備(新規)=一、七六八

 東京都北区西が丘地区にある国立スポーツ科学センター(JISS)およびNTCなどから構成される「ハイパフォーマンスセンター」について、ハイパフォーマンスに関する情報収集や競技用具の機能を向上させる技術などを開発するための体制を整備するとともに、同センターにおける各種情報を一元的に管理するシステムを構築し、中長期的観点からわが国の国際競技力を強化していくための基盤を整備する。

▽スポーツ・フォー・トゥモロー等推進プログラム=一、四〇一

 二〇二〇年東京大会の開催国として、スポーツを通じた国際協力および交流、国際スポーツ人材育成拠点の構築、国際的なアンチ・ドーピング推進体制の強化支援を柱とする「スポーツ・フォー・トゥモロー」プログラムに取り組むとともに、オリンピック・パラリンピック・ムーブメントを日本全国へ波及させるための取組を行う。

▽ドーピング防止活動推進事業=三〇〇

 ドーピング防止に関する教育・研修および研究にかかる取組を実施する。特に、二〇二〇年東京大会に向けて、アスリートやサポートスタッフに対する教育および学校における教育の推進、国際競技大会に対応できるドーピング検査員などの育成、最新の検査手法の研究・開発を行う。

▼スポーツ施策の総合的な推進=一九、六一六

▽スポーツ産業の成長促進事業(新規)=四〇〇

 官民が連携した協議会の開催などによる収益性の高いスタジアム・アリーナの整備推進に向けた企画支援、スポーツ団体などの経営人材育成、新たなスポーツビジネスの創出を通じて、スポーツが有するポテンシャルを最大限に発揮し、スポーツの自律的好循環を実現するとともに、スポーツ市場規模の拡大を図る。

▽大学スポーツの振興「日本版NCAAの創設」(新規)=四〇〇

 大学横断的かつ競技横断的統括組織(日本版NCAA)の具体的な在り方について検討する産学官連携の協議会を開催するとともに、大学スポーツの活性化に全学的体制で取り組む大学において、専門人材の配置や先進的モデル事業を展開することによって、日本版NCAAの創設につなげる。

▽Specialプロジェクト二〇二〇(新規)=二二〇

 二〇二〇年東京大会のレガシーとして特別支援学校を地域の共生社会の拠点とするために、二〇二〇年に全国の特別支援学校でスポーツのみならず文化・教育活動も含めた全国的な祭典を開催するためのモデル事業等を実施する。

▽武道等の円滑な実施の支援=四、七八五

 武道等の安全かつ円滑な実施のため、教員の指導力向上を図るとともに、これまでの柔道、剣道に加え、新たに弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなたおよび銃剣道の指導ガイドラインの作成や指導者データベースの整備などを行う。また、中学校武道場の整備促進を図る。

★世界に誇るべき「文化芸術立国」の実現

◆豊かな文化芸術の創造・活用と人材育成=二三、四九八(一一六・三%)

 豊かな芸術創造活動を生み出す環境を創出し、わが国の芸術水準と国際的評価を高めるため、芸術団体や劇場・音楽堂などへの効果的な支援を行うとともに、地域の魅力と活力を高める特色ある文化芸術振興の取組を支援し、地域の活性化を図る。

▼文化芸術資源の創造・活用による地方創生と経済活性化の推進=七、六二〇

▽先進的文化芸術創造拠点形成事業(新規)=一、五〇〇

 地方自治体が、地域の文化芸術資源(現代アート・メディア芸術・工芸など)を活用し、芸術団体や大学および産業界などと連携して実施する地域経済の発展などにつながる先進的な取組を支援する。

▽劇場・音楽堂等活性化事業=三、〇五〇

 地域の劇場・音楽堂などの活性化と実演芸術の水準向上を図るため、公演事業や専門的人材の養成、普及啓発活動、外国人を受け入れる環境整備などの支援を行う。

▼文化芸術創造活動への効果的な支援=六、六〇九

▽戦略的芸術文化創造推進事業=七八一

 芸術文化の振興を図る上で推進することが必要な芸術活動や、優れた障害者の芸術活動の成果の積極的な海外発信、芸術分野にとらわれない総合的な取組などを実施する。

▽舞台芸術創造活動活性化事業=三、二八七

 分野の特性に応じた舞台芸術活動に対する助成を行い、わが国芸術団体の水準向上と、より多くの国民に対する優れた舞台芸術鑑賞機会の提供を図る。

▽日本映画の創造・交流・発信=八五一

 日本映画を振興するため、創造活動の促進、国内外における積極的な発信・展開、映画や映画にかかわる人・団体等の交流を推進する。

▼芸術家等の人材育成=九、二六九

▽新進芸術家グローバル人材育成事業=一、五一四

 若手芸術家等に公演や展覧会など実践的な研修機会を提供することなどによって、文化芸術を支えるグローバル人材を育成し、わが国の文化芸術の海外への発信力の強化を図る。

▽文化芸術による「創造力・想像力」豊かな子どもの育成=七、〇一七

 文化芸術によって、子どもたちの豊かな感性・情操や創造力・想像力を育むため、質の高い文化芸術や地域の伝統文化にふれる機会の充実を図る。

◆かけがえのない文化財の保存、活用および継承等=五四、七九七(一二一・三%)

 文化財を次世代へ確実に継承するために、修理・整備や防災・防犯対策等への支援を行うとともに、文化財を中核とする観光拠点の整備、ならびに文化財などの観光資源としての魅力を向上させる事業を展開し、文化財を活用した観光振興・地域経済の活性化を推進する。

▼文化財総合活用・観光振興戦略プランの創設=一二、〇六九

▽観光拠点形成重点支援事業(新規)=五〇一

 文化財を中核とする観光拠点の整備を推進するため、歴史文化基本構想策定地域や、他の地域のモデルとなる優良な取組に対する重点的な支援を実施する。

▽日本遺産魅力発信推進事業=一、六七三

 地域に点在する有形・無形の文化財をパッケージ化し、わが国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産」として認定するとともに、認定地域の文化財群を総合的に整備・活用し、国内外に戦略的に発信する取組への支援などを推進する。

▼文化財の適切な修理等による継承・活用等=三七、三九九

▽建造物の保存修理等=一四、九四九

 国宝・重要文化財(建造物)を次世代に継承するための修理や、自然災害などから護るための防災施設等の整備、耐震対策などに対する補助を行う。

▼文化財の公開活用、伝承者養成、鑑賞機会の充実等=五、三二九

 広く国民に対して文化財を公開し、鑑賞するための機会を提供するとともに、無形文化財などの伝承者養成、わざの錬磨等に対する支援を行う。

※参考・復興特別会計

▼被災文化財の復旧等=九三九

 東日本大震災で被災した国指定等文化財について早急に保存・修復などの措置を講ずる。

◆わが国の多彩な文化芸術の発信と国際文化交流の推進=二、五八八(一〇〇・三%)

 わが国の多彩な文化芸術を戦略的に国内外へ発信するとともに、文化芸術各分野における国際文化交流を推進することによって、国内の文化芸術水準の向上を図ると同時に、クールジャパンの発信強化を図る。

▼日本文化の発信・交流の推進=一、九八一

▽芸術文化の世界への発信と新たな展開=一、一六二

 舞台芸術や現代アートなどわが国の優れた芸術文化を積極的に発信し、各分野における国際文化交流を推進することによって、わが国の芸術水準や国際競争力を高める。

▼外国人に対する日本語教育の推進=二一〇

▽「生活者としての外国人」のための日本語教育事業=一五〇

 わが国に在留する外国人が日本語を用いて円滑に生活を送ることができるよう、「生活者としての外国人」を対象とした、地域における日本語教育を推進する。

◆文化発信を支える基盤の整備・充実=三八、二六一(一一七・四%)

 わが国の顔となる国立文化施設(美術館、博物館、劇場)の整備・充実を通じて、文化発信の国内基盤を強化するとともに、国民の鑑賞機会の充実を図る。

▼国立文化施設の機能強化=二六、八四六

 多言語化対応や夜間開館の拡充など、国立文化施設(美術館、博物館、劇場)の機能強化を図る。

▼国立文化施設の整備=一〇、一三三

 来館者の快適な観覧環境や安全安心を確保するため、基幹施設(展示設備、舞台設備等)改修等を行う。

▼文化発信を支える基盤の整備・充実=一、二八二

 著作物の適正利用促進のため、著作権教育・普及啓発、海外での著作権侵害に対する対応の強化などを行う。

★成長戦略の実現に向けての科学技術イノベーションの推進

◆科学技術イノベーション・システムの構築=四三、五六八(一三六・二%)

 大学、研究開発法人、産業界等が集い、既存分野・組織の壁を取り払い、企業だけでは実現できない飛躍的なイノベーションを産学官連携で実現する。

 また、大学の研究シーズをもとに、地域外の人材・技術を取り込ながら、地域から世界で戦える新産業の創出に資する取組を推進するほか、民間の事業化ノウハウを活用した大学等発ベンチャー創出の取組などを推進する。

 加えて、経済・社会的なインパクトを重視した非連続イノベーションを創出する画期的・革新的な研究開発(ハイリスク・ハイインパクトな研究開発)を推進する。

▼地方創生に資するイノベーション・エコシステムの形成=八、七一九

 地域の成長に貢献しようとする大学などに事業プロデュースチームを創設し、地域の競争力の源泉(コア技術等)を核に、事業化計画を策定し、社会的インパクトが大きく地域の成長にも資する事業化プロジェクトを推進する。

 また、地域企業と全国の研究成果をつなぐマッチングプランナーの活用、有力なコア技術のスケールアップに向けた概念実証の支援、および地域特性を踏まえた将来ビジョンに基づき、世界的にも優れた研究施設などを核に大学、企業等が集積したイノベーション創出の場の構築によって、地方創生に資するイノベーション・エコシステムの形成を推進する。

▽地域イノベーション・エコシステム形成プログラム=五、一六〇

▽地域産学バリュープログラム(旧マッチングプランナープログラム)=一、五六三

▼オープンイノベーション加速のための産学連携の推進=三、九八七

 産業界と大学との間の知、人材、資金の好循環を生み出すため、大学が産業界の協力を得て新たな基幹産業の育成に向けた「技術・システム革新シナリオ」の作成、それに基づく非競争領域の共同研究の企画・提案、マネジメントシステムの改革などを行い、基礎研究や人材育成にかかる産学パートナーシップを拡大することで、わが国のオープンイノベーションを加速。

 また、その際に重要となる大学の知的資産マネジメントの強化を支援。

▽産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム=一、四〇〇

▽知財活用支援事業=二、四三五

▼革新的成果の社会実装を目指す大型産学共同研究の推進=八、九〇七

 目指すべき社会像を見据えたバックキャストによるビジョン主導型のチャレンジングな研究開発を大型産学研究開発拠点において推進する。

▽センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム=八、八六九

▼ベンチャー・エコシステム形成の推進=三、〇一六

 強い大学発ベンチャー創出の加速のため、起業に挑戦しイノベーションを起こす人材の育成、創業前段階からの経営人材との連携などを通じて、大企業、大学、ベンチャーキャピタルとベンチャー企業との間での知、人材、資金の好循環を起こし、ベンチャー・エコシステムの創出を図る。

▽次世代アントレプレナー育成プログラム「EDGE―NEXT」(新規)=七〇〇

▽大学発新産業創出プログラム(START)=二、三一六

▼国立研究開発法人を中核としたイノベーションハブの形成=一、四〇〇

 国立研究開発法人を中核として、産学官の垣根を越えた人材糾合の場(イノベーションハブ)の形成およびその機能強化を図るため、国立研究開発法人の飛躍性ある優れた取組を選択的に支援・推進する。

▼未来社会創造事業「ハイリスク・ハイインパクトな研究開発の推進」(新規)=九、〇〇〇

 戦略的創造研究推進事業や科学研究費助成事業などの成果を社会実装に加速してつなげるため、国が定める重点開発領域、技術テーマのもと、プログラム・マネージャー(PM)を選定し、経済・社会的なインパクトを重視した非連続イノベーションを創出する画期的・革新的な研究開発を概念実証(POC)に向けて実施する。

◆基礎研究力強化と世界最高水準の研究拠点の形成=三二八、二〇〇(一〇八・七%)

 イノベーションの源泉である多様で卓越した知を生み出す研究基盤の強化のため、独創的で質の高い多様な学術研究と政策的な戦略に基づく基礎研究を、強力かつ継続的に推進する。加えて、競争的研究費改革等と連携し、研究開発と機器共用の好循環を実現する新たな共用システムの導入を推進する。また、大学の研究力強化のための取組を戦略的に支援し、世界水準の優れた研究大学群を増強する。

 さらに、国内外の優れた研究者をひきつける世界トップレベル研究拠点の構築を進める。

▼研究大学強化促進事業=六、〇三〇

 世界水準の優れた研究大学群を増強するため、世界トップレベルとなることが期待できる大学などにおける、研究マネジメント人材の確保・活用と大学改革・集中的な研究環境改革の一体的な推進を支援・促進し、わが国全体の研究力強化を図る。

▼世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)=六、八二七

 大学などへの集中的な支援によって、システム改革の導入等の自主的な取組を促し、優れた研究環境と高い研究水準を誇る世界から「目に見える拠点」の構築を引き続き着実に推進。二十九年度からは、さらなる国際頭脳循環の加速やわが国全体の基礎研究力強化のため、新規拠点の構築を開始するとともに、プログラム開始後十年間で蓄積された経験・ノウハウを全国の大学等へ横展開する仕組みを新たに構築する。

◆科学技術イノベーション人材の育成・確保=三一、一一一(一一六・六%)

 科学技術イノベーションを担う多様な人材の育成や活躍促進を図るための取組を重点的に推進する。

 特に、「第四次産業革命に向けた人材育成総合イニシアチブ」を踏まえ、新たな研究領域に挑戦するような優秀な若手研究者や、わが国が第四次産業革命を勝ち抜き、未来社会を創造する人材やアントレプレナー(起業家)の育成・確保を図るとともに、特に、意欲や突出した能力を有する小・中学生を対象とする新たな施策をはじめとする次代を担う人材の育成や、科学技術イノベーションを担う女性の活躍促進などの取組を行う。

▼卓越研究員事業=二、五七四

 新たな研究領域に挑戦するような優秀な若手研究者に対し、安定かつ自立して研究を推進できるような環境を実現するとともに、全国の産学官の研究機関をフィールドとした新たなキャリアパスを提示する。

▼データ関連人材育成プログラム(新規)=三〇三

 企業などがコンソーシアムを形成し、研修プログラムを開発・実施することによって、ポストドクターなどに対し、それぞれの専門性を有しながら、データサイエンスなどのスキルを習得させ、産業界をはじめとする社会の多様な場での活躍を促進する。

▼次世代アントレプレナー育成プログラム「EDGE―NEXT」(新規)=七〇〇

 EDGEプログラムの成果や知見を活用しつつ、人材育成プログラムへの受講生の拡大やロールモデル創出の加速に向けたプログラムの発展に取り組むことで、起業活動率の向上、アントレプレナーシップの醸成を目指し、わが国のベンチャー創出力を強化する。

▼スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業=二、二一九

 先進的な理数系教育を実施する高校などを「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定し、生徒の科学的能力や科学的思考力などを培い、将来の科学技術系人材の育成を支援する。

▼Jr.ドクター育成塾(新規)=二一〇

 理数・情報分野で特に意欲や突出した能力を有する全国の小・中学生を対象に、大学等が特別な教育プログラムを提供することによって、その能力などのさらなる伸長を図る。

▼科学技術イノベーションを担う女性の活躍促進=二、一三九

 研究と出産・育児・介護等との両立や女性研究者の研究力向上等を通じたリーダー育成などの研究環境のダイバーシティ実現に向けた取組や、女子中高生の理系分野への興味・関心を高め、適切な進路選択を可能にするための取組などの支援を実施する。

▽ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ=一、〇八八

▽特別研究員(RPD)「出産・育児による研究中断後の復帰支援」事業=九九一

▽女子中高生の理系進路選択支援=六〇

(連載おわり)

( 2016-10-11付)