教職員の協力を高める学校づくり 〈No.149〉 教育活動の質高める改革に 働き方改革を進める学校づくり②( 2024-10-18付)
教職員の皆さんの話を聞くと、学校における働き改革の大きな課題の一つは、およそ「勤務時間に目が奪われ、教員の業務量そのものに着目していない」ことに集約されることを前号で記述しました。勤務時間うんぬんは結果であって、そのための業務量そのものの見直しや改善を図っているでしょうか。
学習の個別化など時代の変化とともに、一昨年改訂された生徒指導提要の内容からしても、ご存じのように多様化する児童生徒の個別の課題事例に対応できるよう13章にわたって作成されています。つまり教師が推進しなければならない学習の個別化を含め、時代の変化とともにそれぞれの持つニーズに対応するため、教育指導は今まで以上に個への教育的アプローチが求められています。
しかし基本、生徒指導と学習指導は教師が担わなければならない教育活動の肝です。このような状況下、私から読者の皆さんへの一提案ですが、教育活動そのものの活動を見直し、児童生徒に対する教育活動が本質的な理解や能力を高めることにつながっているかどうかを問うてはどうでしょうか。
具体的な事例を挙げると、校内には様々な委員会が設けられていますが、校務分掌組織そのものを改善し、活動の回数、目的から考え分掌自体を整理し再構成してはどうでしょうか。また年間を通して同じようなねらいを持つ行事を整理・統合してはどうでしょうか。
さらに一方的に知識注入型の情報を覚えさせることだけではなく、児童生徒にとって授業や教材の質を高め、児童生徒が深い学びによる応用・発展力を身に付けるよう授業改善を図ることは、働き方改革の重要な主柱であり重視されなければなりません。
一方で、前号で記述したように教職員参画型のプロセスが重要であり、管理職や教務・生徒指導担当などのミドルリーダーで改善の方向を探るのではなく、あくまでも教育活動の質を高めることを目的とします。
例えば全教職員をグループ編成し、自身の分掌や学年、担任の業務さらに校内に存在する各種委員会などの活動の本来あるべきねらいは「何のための何の活動なのか」を事前に検討し、その後、それぞれの学校の実情に応じて教職員の提案や意見を重視しながら管理職としてのトップダウンとすり合わせを行い、各種活動を整理・統合し改善内容を共有化し実践します。
このように全教職員参加型の改善プロセスは、結果として各教職員がわが事として働き改革の意義を捉え、意識化を図りながら働き方改革を推進することにつながると理解できます。さらに当初、協議され実践されている活動に甘んじるのではなく、マネジメントサイクルにより、学期の終了時に働き方改革の推進上の課題や問題点を明らかにし、次学期の教育活動に生かすよう改善を図ります。
それぞれの学校が主体性を持って働き方改革を進めるに当たって、グループ協議等の場を設け、経験年数にかかわらず個々の教師の意見を反映するための全教職員参加型の改善プロセスであるかどうか。また、一度決定された改善計画を推進する上で、臨機応変に見直しを図り改善の機会を設けているかどうか。
過去の教育への郷愁(教師は時間外でも業務を進めて当然)を持つ保護者や地域の方に、働き方改革の意義について理解を求め、チーム学校として保護者や地域、関係機関と連携を図ることへの理解を得ることはできているでしょうか。あらためて考えていただく機会になれば幸いです。
(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)
( 2024-10-18付)