3校4団体が文科大臣賞 子どもの読書活動優秀実践校等―文科省
( 2016-04-14付)

 文部科学省は八日、二十八年度文部科学大臣表彰(子どもの読書活動優秀実践校等)を発表した。本道からは、優秀実践校として恵庭市立松恵小学校、函館稜北高校、札幌光星中学校・高校の三校、優秀実践図書館に当麻町立図書館など二館、優秀実践団体に苫小牧子どもの本の会など二団体が選ばれた。表彰式は、「子ども読書の日」を記念して開かれる「子どもの読書活動推進フォーラム」(二十三日、東京都)で執り行われる。

 同表彰は、読書活動の一層の推進に資するため、子どもが積極的に読書活動を行う意欲を高める活動について優れた実践を行っている学校・図書館・団体(個人)に対し、文部科学大臣がその実績をたたえ行っている。

 本道関係分の優秀実践校等と実践概要はつぎのとおり。

【優秀実践校】

▼恵庭市立松恵小学校

▽学校経営方針に図書館活用教育を明確に位置付け、学校図書館に関する運営基本計画や利用指導年間計画を策定し、学校図書館担当教諭と学校司書が連携し、図書館活用を積極的に進めている。読書活動の充実に資する取組については、全教職員で共有を図り、各学年が学校図書館を活用した読書活動に熱心に取り組んでいる。

▽朝読書を毎日実施することによって、児童の読書習慣形成に大きな成果を上げている。また、教科および総合的な学習の時間において、図書館活用を積極的に推進している。

▽多読者表彰、年二回の読書期間事業「教員のおすすめ本スタンプラリー・全児童による本の紹介カード作成」、「情報図書室まつり」など多様な読書活動に取り組み、読書への興味・関心、意欲の喚起を図っている。

▽PTAやボランティアによる読み聞かせ活動や図書館環境整備、公立図書館と連携した調べ学習や読書支援など、地域と連携した一体的な学校図書館運営および読書活動の推進が行われている。

▼函館稜北高校

▽学力向上対策として、国語科や総合的な学習と連携して計画的に読書活動の活性化を図るとともに、各教科と連携し、図書の利用や図書館の活用を学年ごとに系統立てて指導するなど、全教職員が共通認識のもと、指導に当たっている。

▽毎日行う朝読書によって、生徒の日常的な読書習慣が定着し、学習規律の醸成や学習態度の定着に効果を上げている。

▽全校生徒による「稜北生から稜北生へのおすすめ本」や、第二学年が作成した『サイエンスブックガイド』『進路ブックガイド』を配布することによって、生徒の読書の幅を広げ、読書に対する興味・関心を高めるとともに、書く力の育成や進路指導等につなげている。

▽コンピューターシステムによる蔵書管理、校内LANを活用した校内各所からの蔵書検索によって、生徒のニーズに応える読書環境の整備が進められている。

▼札幌光星中学校・高校

▽進路指導部と国語科が連携して朝読書を実施するとともに、国語科や総合学習などの授業に学校図書館を利用することで、生徒全体の図書館活用の質が向上している。

▽図書部員によるブックトーク、ミニビブリオバトル、毎月のテーマ展示、本の買い出し(購入図書の一部を図書部員が選書)、小説家を招いた公開講座などの事業実施、各種コンクールへの参加など、生徒の自主的な読書活動が活発に行われている。

▽小説家を招いた公開講座や書店における朗読会の実施、学校祭における学校図書館の一般開放や来場した子どもを対象とした体験教室の開催など、地域と連携した読書活動の推進によって、地域に貢献するほか、生徒の視野が広がる等の効果が上がっている。

▽図書館だよりや利用案内パンフレットの作成、利用ガイダンスの実施によって、図書館の活用や利用マナーの向上につなげている。

【優秀実践図書館】

▼当麻町立図書館

▽一歳児から中学生を対象に誕生日に図書を贈呈する「子育て支援図書贈呈事業」を実施。さらに、就学前の子どもには町特産のバラの花束、一歳児には本人の似顔絵を添えたフォトスタンドも贈呈し、子どもの読書活動への意欲を高め、家庭での読書活動を推進する取組を行っている。

▽移動図書館車で学校など町内六ヵ所を巡回し、図書館から離れている地域において、読書を楽しむ機会の提供に努めている。

▽学校図書館と町立図書館のシステムのオンライン化によって、学校から町立図書館蔵書の検索や貸出申込を可能とし、学校図書館の支援を進めている。

▽図書館フェスティバルや読み聞かせ会の実施支援など、ボランティア団体と連携した取組によって、地域における子どもの読書活動の推進に努めている。

▼市立小樽図書館

▽幼少期から本に親しむ取組としてブックスタートや読み聞かせ、子ども向け図書館だよりの配布などを長期的・継続的に行い、子どもの読書に対する興味・関心を高める取組を行っている。

▽小・中学校と連携し、児童生徒が自分の読んだ本やおすすめの本等を記録する読書ノート『小樽っ子ノート』を配布するとともに、このノートを活用した「おすすめブックツリー」「小樽っ子の大好きな三十冊」「おすすめブックリスト」事業の実施によって、子どもの図書館活用を促進している。

▽学校への大量一括貸出し「スクールライブラリー便」を実施し、学校における調べ学習や読書活動を支援している。

▽市民ボランティアと連携して読み聞かせや紙芝居などを行う「おはなしの会」の実施など、地域と連携した子どもの読書活動の推進に取り組んでいる。

【優秀実践団体】

▼苫小牧子どもの本の会(苫小牧市)

▽昭和六十年の発足以来、市立図書館における定期的・継続的な読み聞かせや行事への協力を中心に、子どもたちに本の楽しさを伝え、広げる活動を行っている。

▽幼稚園・小学校においても読み聞かせを行うほか、他の読み聞かせサークルへの指導も行い、子どもの読書活動を支援している。

▽他の読み聞かせサークルと積極的に協力し、新しいサークルの設立や、幼稚園・小学校等の保護者による読み聞かせ活動を支援するなど、図書館・学校・家庭を結ぶ取組は地域の教育力の向上に寄与している。

▽住民を対象とした学習会や講演会を開催するなど、地域の読書普及活動にも熱心に取り組み、文化振興に貢献している。

▼十勝童話会(帯広市)

▽昭和四十八年の発足以来、帯広市の図書館での月一回おはなし会を中心に、幼稚園・保育所・学校等においてもおはなし会を実施するほか、十勝管内の図書館や学校へも出向くなど、地域における子どもの読書活動の推進に取り組んでいる。

▽年一回、手作り紙芝居や大型絵本などによる発表会「おはなしのせかい」を開催し、地域の子どもや保護者が読書に親しむ機会を提供している。

▽帯広市の「子どもの居場所づくり事業」においておはなし会を実施するなど、学校、家庭、地域が連携した教育活動・読書活動に寄与している。

▽会員同士や他団体との研究活動によって技術の向上に努め、読み聞かせ、語り、紙芝居、手遊びと幅広い分野において実力をもち、語り手育成における講座・講演会の講師を務めるなど、指導的役割を担っている。

( 2016-04-14付)