学習指導要領改訂に向け中教審 教科越えALの視点共有 カリキュラム・マネジメント促進
( 2016-08-03付)

 次期学習指導要領改訂に向けた中央教育審議会の審議のまとめ素案が一日に示された。学習過程を質的に改善し、「主体的・対話的で深い学び」を実現する「アクティブ・ラーニングの視点」を、教科などを越えて共有すること、教育課程総体の力を発揮させて資質・能力を育成する「カリキュラム・マネジメント」の各学校で促進することを、改善の方向性に盛り込んだ。学校段階別の改善として、小学校で中学年の外国語活動と高学年の教科型外国語教育の実施、高校で新科目を設定するなど教科・科目の大幅な見直しを挙げている。

 概要をみると、改善の方向性として、すべての教科等について、学ぶことによって身に付く資質・能力を明確化し、幼児教育から高校教育までを見通しながら、教育目標や教育内容として盛り込むとしている。

 〝よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創る〟との目標を学校と社会が共有し、連携・協働しながら、新しい時代に求められる資質・能力を育む「社会に開かれた教育課程」の実現を目指すとの理念のもと、学校と家庭・地域との連携・協働を活性化。

 学習過程を質的に改善し、「主体的・対話的で深い学び」を実現するために必要な授業改善の視点である、「アクティブ・ラーニングの視点」を、教科等を越えて共有する。

 目標と評価の観点を一致させるとともに、資質・能力を多角的・多面的に見取る評価の工夫を促進する。

 子ども一人ひとりの資質・能力の育成を支援する視点に立ち、特別支援教育や日本語の能力に応じた指導などを教育課程全体にわたって重視。併せて、個に応じた指導やキャリア教育などにも重きを置く。

 また、教科と領域における教育の強みや良さを生かしつつ、教育課程総体の力を発揮させて資質・能力を育成できるよう、各学校における「カリキュラム・マネジメント」を促進する。

 「生きる力」をバランスよく育むことを目指し、すべての学習の基盤となる力や、これからの社会や生活の在り方を踏まえ求められる資質・能力が、教育課程全体を通じて育成されるよう、教科横断的なつながりを「総則」で明示する。

 各学校段階間の接続を重視し、学びの成果を、学校段階を超えてつなぐため、小・中・高を通して特別活動に「一人ひとりのキャリア形成と実現」を位置付けるとともに、仮称「キャリアパスポート」の活用を促進する。

 幼児教育では、自己制御や自尊心の育成など、現代的な課題を踏まえて教育内容の見直しを図る。

 小学校教育では、生活科を中心としたスタート・カリキュラムを通して、幼保小連携を図る。

 外国語でコミュニケーションを図ることができる基礎的な力を身に付けさせるため、中学年で「聞くこと」「話すこと」を中心とした外国語活動を年間三十五単位時間程度、高学年ですべての領域をバランスよく育む教科型の外国語教育を七十単位程度実施する。

 指導内容や授業時数を削減しないとの方針から、中・高学年で各三十五単位時間増となることから、十五分間の短時間学習や六十分授業の設定、長期休業期間中の学習活動、土曜日の活用など、柔軟な時間割編成が必要としている。

 中学校の外国語教育は、対話的な言語活動を重視した授業を外国語で行うことを基本とする。

 部活動については、教員の負担軽減も考慮しつつ、地域の協力、社会教育との連携など、運営上の工夫が必要と指摘。学校教育活動の一環であることから、関係教科等と関連づけた、「主体的・対話的で深い学び」を実現する視点が必要としている。

 高校では、教科・科目構成を大幅に見直し。

 国語科でいずれも仮称の「現代の国語」「言語文化」、地理歴史科で同じく「歴史総合」「地理総合」、公民科で「公共」を共通必修履修科目とするなど、各教科で新たな科目を設定する。

 特別支援教育では、インクルーシブ教育システムの構築を目指し、多様な教育的ニーズに対応できる学びの場を確保。「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」の全員作成なども盛り込む。

( 2016-08-03付)