28年度学校図書館の現状調査結果―文科省 蔵書目標達成率で道内小、全国最下位 学校司書配置も最低レベル( 2016-10-20付)
道内の公立小中学校学校図書館における蔵書冊数の目標値(学校図書館図書標準)の達成率は、ことし四月一日現在、小学校が三五・二%で全国最下位、中学校が三八・〇%で四十位にとどまっていることが、文部科学省の二十八年度「学校図書館の現状に関する調査」の結果で明らかになった。全国平均は、小学校が六六・四%、中学校が五五・三%。専任の学校司書を配置している道内の学校は、小学校が一四・二%、中学校が一四・九%で、ともに全国ワースト二位だった(記事中の数値はいずれも公立学校図書館の状況)。
文科省では、行政上の参考とするため、都道府県教委などを通じ学校図書館の現状について、小・中・高校、特別支援学校、義務教育学校および中等教育学校を対象に、司書教諭や学校司書の配置、図書の整備、読書活動などの状況を調査しており、二十年度調査以降は隔年で実施している。
昨年度から施行された改正学校図書館法では、第六条が新設され、「学校司書」の配置に関する努力義務を明文化した。
学校司書を配置している学校の割合は、ことし四月一日現在、小学校が五九・三%、中学校が五七・三%で、前回調査に比べそれぞれ四・八ポイント、四・五ポイント増加。高校は〇・四ポイント増の六六・九%だった。
北海道は、小学校が一四・二%、中学校が一四・九%と、前回調査を四・七ポイント、六・九ポイントそれぞれ上回ったものの、全国平均を大きく下回り、ともに全国ワースト二位だった。高校も二百三十三校のうち配置校は十三校で、五・六%と全国ワースト三位にとどまった。
学校図書館を活用した取組の中心的な教員、司書教諭の発令状況をみると、必ず置くこととされている十二学級以上の学校では、小学校が前回調査に比べ〇・七ポイント増の九九・四%、中学校が〇・五ポイント増の九八・九%、高校が一・〇ポイント増の九九・三%と、いずれの校種も微増。北海道は、小学校が〇・六ポイント減の九九・二%、中学校が一・一ポイント減の九八・四%、高校は二・五ポイント減の九七・五%と、いずれも全国平均を下回った。
蔵書冊数は、小・中とも増加。二十七年度において蔵書冊数の目標値を達成している学校の割合は、小学校が六六・四%(二十五年度六〇・三%)、中学校が五五・三%(同五〇・〇%)と、それぞれ増加している。
一方、道内で目標冊数を達成したのは、小学校が一千五十二校のうち三百七十校で全体の三五・二%にとどまり、全国最下位。中学校は五百九十五校のうち二百二十六校で全体の三八・〇%と四十位だった。小・中学校とも目標冊数を達成したのは、恵庭市、芽室町、秩父別町、雨竜町、泊村、木古内町、和寒町、下川町、津別町の九市町村にとどまった。道教委では「他都府県に比べて厳しい財政状況を反映している」(生涯学習課)とみている。
百科事典や図鑑などの共通教材の配備状況については、小学校九五・〇%、中学校九四・一%、高校九六・三%で配備されているものの、刊行後十年以上経過したものが全体の多く(小五五・三%、中六二・六%、高八六・六%)を占めている。
蔵書のデータベース化では、小学校の七三・九%(前回調査七一・六%)、中学校の七二・七%(同六九・九%)、高校の九一・三%(同九〇・五%)が整備。
学校図書館に児童生徒が使用可能なコンピューターなど情報メディア機器を整備している学校の割合は、小学校が四一・八%、中学校が四〇・八%、高校三一・九%といずれも五割に満たない。また、小学校の四一・一%、中学校の三七・七%、高校の九一・〇%が学校図書館に新聞を配備している。
読書活動の状況をみると、全校一斉の読書活動を実施しているのは、小学校が九七・一%(前回調査九六・八%)、中学校が八八・五%(同八八・五%)で、実施時間は朝の始業前が約七割を占めた。高校は四二・七%(同四二・九%)だった。
地域との連携では、ボランティアを活用している学校は小学校八一・四%(前回調査八一・一%)、中学校が三〇・〇%(同二八・一%)、高校が二・八%(同二・八%)、公共図書館と連携している学校は小学校八二・二%(同七九・九%)、中学校五七・五%(同五二・四%)、高校五一・一%(四七・七%)となっている。
道教委(生涯学習課)では、「小・中学校の図書については、国で地方財政措置がされており、毎年秋ごろ各市町村に知らせている」と説明。「札幌市を除く百七十八市町村について、学校図書館の状況の個別データを作成し、各教育局を通じ、職員が市町村に出向いた際や、会議などの機会に、個別にデータを手渡し、説明や働きかけを行っている。あらためて、これらの取組をしっかり確実に行っていきたい」としている。
( 2016-10-20付)