教員研修センター 次世代型教育推進セミナー開く 授業力向上へ研鑚積む 文科省・小野氏の講義など  
( 2016-10-24付)

次世代型教育推進セミナー
約100人が研鑚を積んだ

 教員研修センター(髙岡信也理事長)は十四日、札幌国際ビルで二十八年度次世代型教育推進セミナーを開催した。道内外から約百人の教員らが参加し、「アクティブ・ラーニングについて考える」をテーマに、次期学習指導要領改訂に向け、指導方法の充実、授業力の向上に向け研鑚を積んだ=写真=。冒頭あいさつに立った同センターの髙口努理事は「アクティブ・ラーニングは特定の型ではない。教員一人ひとりが子どもたちの資質・能力を身に付けさせる方向や視点」「学校組織でのカリキュラム・マネジメントの視点も重要」などと説明。また、講義を行った文部科学省初等中等教育局教育課程課の小野賢志課長補佐は、アクティブ・ラーニングという文言が出てきた背景などについて、「社会に開かれた教育課程」「カリキュラム・マネジメント」「どのように学ぶか」など五つのキーワードをもとに、学習指導要領改訂の動向などを解説した。道教委後援。

 新しい時代に必要となる子どもたちの資質・能力を育成するためには、知識の質や量の改善と併せ、学びの質や深まりを重視することが必要であり、そのための指導の方法等を充実させていく必要がある。このため、同セミナーを開催し、二十七年度から三ヵ年で進められている「新たな学びに関する教員の資質・能力向上のためのプロジェクト」を実施している教育委員会および次世代型教育推進センターの取組・成果を公表。全体で協議することによって、各域内全体の指導方法等の改善を図ることが目的で全国十二ヵ所で実施している。

 主催者を代表して、髙口理事が登壇。今後求められる新たな学びの指導方法や、教員の指導力の向上などについて研修の意義、アクティブ・ラーニングの導入過程等を説明。「アクティブ・ラーニングについて、全国でも関心が高まっている。一方、学校現場などでは具体的な推進について問う声も挙がっている。また、校種によっても違うということが課題」と述べるとともに、「中央教育審議会の議論でもアクティブ・ラーニングは型ではない。教員一人ひとりが子どもたちに資質・能力を身に付けさせる方向や視点と言っている」と言及。また、「学校が組織的に取り組んでいくカリキュラム・マネジメントという視点も重要」と語った。

 また、同センターでの取組について「いろいろな議論を参考にしながら、教員一人ひとりが授業をつくる、デザインできる校内研修のモデルの開発を目指している」とあいさつした。

 道教委学校教育局の岸小夜子指導担当局長は「学力・学習状況調査でも“活用する”というところに課題がある」と道内の状況を説明。同セミナーについて「課題の解決に向け、子どもたちが先生方の授業を通して意欲的になり、深い学び、深い理解ができるような授業づくりを」と期待した。

 「学習指導要領改訂について」と題し講義を行った文科省の小野教育課程課長補佐は、改訂の議論で“アクティブ・ラーニング”という文言が出てきた背景などを説明。①社会に開かれた教育課程②カリキュラム・マネジメント③育成を目指す資質・能力④どのように学ぶか⑤学習評価―の五点をキーワードをもとに解説。「育成を目指す資質・能力を身に付けさせるため、どのように学ぶかという議論の中で、アクティブ・ラーニングというキーワードが出てきた」と説明した。

 また、「これまで校種や教科の壁を越えて、授業づくりそのものを演習を中心に議論することはこれまでなかったのではないか」とし、「それぞれの教科の特質や校種を越えて全体でどういうことが議論できるのか共有していきたい」と強調した。

 講義後は、「実践例を通してアクティブ・ラーニングを考える」「実践フィールド校の取組」と題して研修協力員がそれぞれ発表。また、演習も行いアクティブ・ラーニングについて研鑚を深めた。

( 2016-10-24付)