稚内市３年度教育行政執行方針　キャリア教育推進協設置　義務教育学校の設計に着手

（市町村 2021-03-05付）

稚内市教委・表純一教育長

　【稚内発】稚内市教委の表純一教育長は、２月２６日開会の令和３年第１回定例市議会で３年度教育行政執行方針を説明した。経済界が参画する全市的なキャリア教育推進協議会を立ち上げ、地域の発展に寄与する人材の育成につながるカリキュラムの開発に着手する考えを表明。また、稚内中学校を移転・改築し、義務教育学校となる校舎の基本設計に着手する計画を示した。

　教育行政執行方針の概要はつぎのとおり。

▼地域の協働による家庭教育の推進

　虐待によって将来のある子どもの命が奪われることがないよう、教育・福祉・保健・医療など、子どもにかかわる関係機関や地域の方々との連携を強化し、児童虐待の未然防止はもちろん、虐待の早期発見と早期対応に取り組んでいく。

　現在、港地区に建設が進められている幼保連携型の

施設である認定こども園の開設、公立保育所の再編を進め、４年度には保育所の待機児童ゼロの実現を図っていく。

▼次代を担う人材の育成と地域とともにある学校づくりの推進

　ＩＣＴを活用した学習環境の充実、授業改善では、国のＧＩＧＡスクール構想に基づき、２年度に高速大容量の校内通信ネットワークの整備や児童生徒１人１台端末の導入など、環境整備が整ってきた。

　３年度は、これらの環境を最大限に生かし、本市すべての児童生徒をはじめ教職員が、ＧＩＧＡスクール構想を実感できる指導体制を確立していく。

　そのため、教育委員会と学校との間でタブレット端末を用いた授業の効果的な活用や家庭学習の在り方について部会を設置し、デジタル教材の活用など、指導計画の策定を進めている。

　このほか、稚内北星学園大学と連携した複数校とのリモート学習や教員のＩＣＴ研修など、早期に具現化することで、児童生徒を誰一人取り残すことのないよう、個別最適化された学びの提供を目指していく。

　全国学力・学習状況調査や標準学力検査などの結果をしっかり検証し、学習の質の向上につながる指導案の作成と普及に努め、授業改善を進めていく。

　中学校の部活動については、少子化やそれに伴う教職員数の減少によって一部の部活動では存続が困難となり、生徒が希望する部活動に参加できない事案が生じている。このような状況に対し、部活動の拠点校方式を試行的に取り入れ、在籍校に希望する種目がない場合に限り、保護者の責任のもと、拠点校となる中学校の部活動に参加できる仕組みづくりを進めていく。

　子どもたちが描く将来の夢や希望を実現するため、これまで幼保小中高大の教育連携を軸にキャリア教育について、研究を深め、共通理解と向かうべき方向性を探ってきた。

　３年度は、経済界も参画する全市的なキャリア教育推進協議会を立ち上げ、ライフステージや発達段階に応じ、稚内学などふるさと教育の活用をはじめ、地域の発展に寄与する人材の育成につながるカリキュラムの開発に着手していく。

　市内で唯一耐震化未了となっている稚内中学校の改築に向けて、昨年７月に稚内中学校改築に伴う北地区小中学校在り方検討会を立ち上げ、議論を重ね、先ごろ答申をいただいている。

　答申では、稚内中央小学校の隣接地に稚内中を移転・改築し、小・中学校の９年間について一貫した体制のもと指導が可能となる義務教育学校設立の要望をいただいた。答申を受け、これを具現化するため、３年度に稚内中の基本設計に着手する。

▼市民の学びを支える地域づくり

　本市の教育関係機関を集約し、「いつでも・誰でも・気軽に」学べる施設となっている「風～る　わっかない」は、今後も生涯学習の拠点施設として、生涯学習推進アドバイザーを中心に、学校教育関係機関等の人的資源を活用しながら、幅広い年齢層に豊富な学習メニューを提供し、様々な学びの充実を図っていく。

　青少年科学館については、サイエンスクラブや実験教室を通じて、子どもたち自身が科学に興味・関心を抱き、親しみ、学ぶ意欲の向上につながる取組を展開していく。

　市立図書館については、子どもたちに読書の面白さを紹介するブックトークなどの新たな出前授業や、絵本や図書の定期的な団体貸出を実施していく。

　また、学校や教育研究所、稚内北星学園大学とも連携しながら、子どもたちが読書の楽しさを感じ、読む力を身に付け、学力向上に結び付けられる読書推進の取組を進めていく。

▼まちの魅力を活かした文化・スポーツ活動の推進

　総合型地域スポーツクラブ設立に向けて、本市として育成・支援を行いながら、スポーツで広がるまちづくりを推進する。

(市町村 2021-03-05付)