道内私大・短大・高校連絡協議会 高大接続のポイントは 道科学大・杉山氏の講演等( 2023-08-17付)
道内私立大学・私立短期大学・高校連絡協議会
日本私立大学協会北海道支部、日本私立短期大学協会北海道支部、道高校長協会の3者による本年度道内私立大学・私立短期大学・高校連絡協議会が7月下旬、札幌ガーデンパレスで開かれた。テーマ「新学習指導要領に対応する入学者選抜と大学教育との連携」のもと、講演・討議を実施。道科学大学入試広報センターの杉山力哉副センター長による講演では、高大接続改革に関するアンケート調査や同大の実践事例を紹介し、高大接続のポイントを伝えた。
協議会は、大学・短期大学の入学者選抜の在り方について情報共有し、高校での進学指導の実情と大学・短期大学の入学選抜の工夫改善に資するもの。道内私立大学・私立短期大学の入選担当者、道高校長協会・道高校進路指導協議会の担当者ら64人が参加した。
開会に当たり、日本私立大学協会北海道支部の苫米地司常務理事があいさつ。国において、デジタルグリーン等の成長分野をけん引する人材育成を目指して理系の大学生を50%に増やすため、文系学部を理系学部に改組することを思案している状況を報告。
その上で「社会が大きく変わろうとしている中で、理系・文系という枠組みの中での教育に限界がきているとの声も聞かれる」と伝え「本協議会を契機に、理系・文系の枠を取り払った教育をどのように展開するかについて意見交換できれば」と期待を寄せた。
続いて、道科学大入試広報センターの杉山副センター長が「教育接続のための入学者選抜と高大連携の実践~道科学大学事例」をテーマに講演した。
はじめに、東京大学大学院教育学研究科の中村高康教授が指摘する高大接続の問題を考えるポイントとして①高校までの普通教育と大学の専門教育(本質的な困難)②教育拡大による変化(時代的困難)③選抜構造の社会間の差異(社会的困難)―の3点を提示。目的と異なる教育を入試でつなぐことの難しさ、中等教育とそのあとの教育をスムーズにつなぐことの困難さなどを伝え「試験選抜から教育接続へという見方・考え方が重要」との指摘を紹介した。
続いて、新課程入試への対応状況および高大接続改革に関するアンケート調査を報告。総合型・推薦型については、募集人員が増加傾向にあることや、入学者が増加した場合、学力不足と学習習慣が不十分であることを課題として挙げる大学が多い結果などを示した。
このほか、道科学大における高大連携の実践として「新たな高大接続プログラム~HUS LinkS」や「高校1年生を対象にした大学教員による体験講義」などを紹介した。
このあと、2つの分科会に分かれ、グループ協議を展開。入試選抜の現状と課題・要望について協議したほか、高大連携に関わる情報交換を行った。
( 2023-08-17付)