2定道議会予算特別委員会(7月7日)の質問・答弁概要
(道議会 2015-09-16付)

 二定道議会予算特別委員会第二分科会(七月七日開催)における松山丈史委員(民主党・道民連合)の質問、および柴田達夫教育長、杉本昭則学校教育監、梶浦仁学校教育局長、赤間幸人高校教育課長、岸小夜子義務教育課長の答弁の概要はつぎのとおり。

【昼寝の時間の設定について】

松山委員 昨年四月の厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針」の改定を受けて、私は、昨年の第二回定例会およびことしの第一回定例会の一般質問で、学校における昼寝の時間の設定を進めるべきではないかと質問した。ことしの一定では、「今後、議員の提案も含め、子どもたちの睡眠時間や生活習慣、日課表などについて、校長会とも意見交換を行っていく」との前向きな答弁を教育長からいただいたが、その後の取組状況はどのようになっているのか伺う。

岸義務教育課長 その後の取組状況について。道教委では、適切な睡眠リズムを整えるために文部科学省が作成した中・高生用の普及啓発資料を、ことし五月に各市町村教委や道立学校に送付し、睡眠を中心とした望ましい生活習慣の確立に向けた指導の充実に活用するよう周知した。

 また、六月には、睡眠も含めた生活習慣や日課表などについて、校長会やPTAの代表者と意見交換を行い、校長会からは、校長の責任のもと、地域や子どもの実態を踏まえた適切な日課を工夫することが大切である、多くの学校では、昼食を除く昼休みは二十分程度であり、その中で、体力向上や読書活動などに取り組んでおり、昼寝の時間を設定する時間的な余裕はない、PTAからは、まずは、毎日の睡眠リズムを整えることの大切さについて意識啓発を図ることが必要であるなどの意見をいただいた。

松山委員 昼寝の時間を設定する時間的余裕がないということだが、読書の時間を毎日設けなくても、その時間を振り替えるとか、週に一回、二回ということが可能だと思っている。文科省の作成した啓発資料『早寝早起き朝ごはんで輝く君の未来、睡眠リズムを整えよう』には、二十分以内の短い睡眠時間は非常に有効であるということも書かれている。

 いきなり毎日というのは難しいかもしれないが、試験的に、週一、二回実施してみてはどうか。新しい取組で、従来、「サボり」のようなマイナスイメージでとらえられていたものを各学校長が踏み込むには勇気がいると思う。道教委としても、昼寝の効果に関する情報提供など、推進の方向性を示すべきと考えるが、見解を伺う。

梶浦学校教育局長 今後の取組について。道教委では、学力や体力の向上に向けた取組など、学校の教育活動が効果的に行われるためには、子どもたち一人ひとりが、学校や家庭での一日の生活を通した望ましい生活リズムを確立することが大切であると考えている。

 各学校の日課については、教育課程の一部として、校長が地域や子どもの実態を踏まえ、自らの責任のもとで定めていることから、道教委としては、今後、先ほど答弁申し上げた文科省が規則正しい生活習慣について作成した教材等を活用し、各管内で開催する学力向上に関する教員研修会等において、子どもたちの適切な睡眠習慣などを含めた望ましい生活習慣の確立を図る指導について、各学校で一層充実するよう指導助言していく考えである。

【グローバル人財の育成】

松山委員 まず、スーパーグローバルハイスクールについて。スーパーグローバルハイスクールは、「急速にグローバル化が加速する現状を踏まえ、社会課題に対する関心と深い教養に加え、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身に付け、将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーを高校段階から育成する」との目的とされており、道内で、道立が一校、札幌市立が一校、私立が三校の五校が設置されていると承知している。

 道立で指定されている登別明日中等教育学校の特徴的な取組について伺う。

赤間高校教育課長 登別明日中等教育学校の取組について。登別明日中等教育学校では、スーパーグローバルハイスクールの指定を受け、「未来のグローバル・リーダーの育成」をテーマに、「北海道やわが国における今後の農業の在り方」や「国際的な食糧問題と環境や経済活動とのかかわり」などについて調査・研究を行う「AKB Future Project 〝世界の明日を創る〟」という学習プログラムに取り組んでおり、その中で、グローバル・リーダーとして求められる資質である「国際的な対話力」「課題解決力」「情報発信力」の育成を目指している。

 具体的な取組としては、北海道大学などの外部機関の協力を得ながら、専門家による世界の食糧問題に関するセミナーやワークショップを行うほか、海外研修における学校訪問の際や、テレビ会議において、海外の高校生との、世界の食糧問題等についてのディスカッションなどが計画されている。

松山委員 生徒たちや保護者、教員から、これらの取組について、どのような感想が出されているか伺う。

赤間高校教育課長 取組に対する感想について。世界の食糧問題に関するセミナーやワークショップに対しては、「世界の様々な事柄は関連し合っていることが分かり、もっと多くのことを知りたいという気持ちが高まった」「英語を話せるようになって海外で活躍するだけでなく、日本独自の文化を伝えることができるようになることも大切だと思った」などの生徒の感想や、「生徒が自ら、仮説を立てて考察し改善策を考える経験は、将来、役に立つと思う」などの教師からの感想が報告されている。

 また、海外研修やテレビ会議については、「英語でもっと自分の意見を伝えたいと思い、英検などに、より一層積極的に取り組もうという気持ちになった」という生徒の感想や、「子どもが国際的な社会課題について興味をもつようになり、成長を実感した」などの保護者からの感想があった。

松山委員 では、このスーパーグローバルハイスクールでは、将来的に、生徒たちはどのような進路を目指しているのか、また、それに向けたどういったサポートがなされているのか伺う。

赤間高校教育課長 生徒の進路希望などについて。本年度、登別明日中等教育学校の生徒に実施した進路希望調査の結果では、国内の大学への進学を希望している生徒が大半であるが、海外の大学に進学したいという生徒もいる。

 これら、大学への進学を希望している生徒に対しては、定期的な進路希望調査や面談を実施するなど、生徒一人ひとりに応じた、きめ細かな指導を行っており、特に、海外の大学を希望している生徒への対応としては、道教委が実施する「北海道高校生留学・海外大学進学セミナー」に同校の職員が参加し、海外の大学への進学や留学を希望している生徒に対して、生徒それぞれの進学や留学の目的に合った準備の仕方について、情報提供するなど、具体的な支援を行っている。

松山委員 続いて、スーパーサイエンスハイスクールについて伺う。これは、「将来の国際的な科学技術系人材を育成するため、先進的な理数教育を実施し、学習指導要領によらないカリキュラムの開発・実践や課題研究の推進、観察・実験等を通じた体験的・問題解決的な学習等を支援する」ものとして指定され、道内十校が設置されていると承知している。その中で、いくつかの道立高校について、特徴的な取組を伺う。

赤間高校教育課長 スーパーサイエンスハイスクールの取組について。スーパーサイエンスハイスクールの指定を受けている道立高校七校においては、大学等と連携して、生徒の科学的思考力等を高める取組を行っており、そのうち、特色あるものとしては、大学教授による、実験動物に関する生命倫理の講義や実習を通して、生命に関する考察を深める活動、科学的な測定方法によって、森林の生態系を調査し、自然環境の保全について考察を深める活動、また、地学の発展的内容として、有珠山の火山活動による地形の変化などを調査し、防災について探究する活動などの取組がある。

―指摘―

松山委員 地学の発展的内容として、有珠山の火山活動による地形の変化などの調査、防災の探究的な活動に注目した。札幌市立を除く公立高校で、地学は、わずか十七校でしか教えられていないという。

 今後も、こういった取組については、しっかりと推進していっていただきたい。

松山委員 スーパーサイエンスハイスクールの卒業生は、将来、道内に残ったり、Uターンで戻って来たりという形で、ここで学んだことを生かした形で、道内で活躍することが期待されると思う。現在、指定を受けているスーパーサイエンスハイスクール七校の卒業生の進路はどのようになっているか伺う。

赤間高校教育課長 卒業生の進路について。指定校七校のうち五校においては、指定校となる以前に比べ、理系分野を中心とした四年制大学への進学者数が増加した学校があるほか、本事業において連携し、出前講座等を行っている国公立大学への進学者数が増加した学校もある。

 ほかの二校については、指定校となってから入学した生徒が、まだ卒業していないが、引き続き、進路状況の把握に努めていく考えである。

松山委員 スーパーグローバルハイスクールも、スーパーサイエンスハイスクールも、国際的な人材育成ということは共通していると思うが、道教委として、これらの取組をどのように進めていくのか伺う。

梶浦学校教育局長 今後の取組について。グローバル人材の育成にかかわっては、これまで、スーパーサイエンスハイスクール指定校においては、海外研修へ参加した生徒がパネラーとなり、オールイングリッシュでパネルディスカッションを行ったり、課題研究発表会における発表を英語で行い、インターネットを通じて海外との質疑を行ったりしている。

 一方、スーパーグローバルハイスクール指定校においては、これまでの取組を一層充実することに加え、本年度、指定校の生徒がオーストラリアとタイを訪れ、農場等の施設において、英語を使って実地調査を行うことなどが計画されている。

 道教委としては、こうした取組に対し、積極的に指導助言を行うとともに、今後、両指定校の取組の成果について、道内のほかの高校に普及するなどして、道内の高校生が、国際的な視野をもち、世界で活躍できるような資質・能力の育成に向けて取り組んでいく考えである。

【法教育について】

松山委員 道内における法教育の現状はどのようになっているか伺う。

赤間高校教育課長 法にかかわる教育について。学校教育においては、学習指導要領に基づいて、小学校の社会科においては、地域の社会生活を営む上で大切な法やきまりなどについて、中学校の社会科公民的分野においては、国民の権利を守り、社会の秩序を維持するために、法に基づく公正な裁判の保障があることなどについて、高校の教科「公民科」の科目「現代社会」や「政治・経済」においては、法の意義や役割、司法制度の在り方、基本的人権と法の支配などについて、学習することとなっている。

松山委員 社会生活を送る上で、我々は、常に法律には接することになる。小学生から高校生まで、それぞれの成長過程に見合う形で、例えば、一般法律事務の専門家である弁護士会や、登記などの専門家である司法書士会、法的手続きの専門家である行政書士会など、士業団体と協力して、法教育を積極的に取り入れていくべきだと考えるが、いかがか。

杉本学校教育監 専門家などの活用について。法にかかわる教育を進めるに当たって、法に詳しい地域の人材や専門家などの外部人材等を活用することは、児童生徒の法律に対する興味・関心を高め、学習内容をより深く理解させる上で効果あるものと考えている。

 道内の学校においては、小学校では、警察官から交通のきまりなどについての話を聞いたり、中学校や高校では、裁判所職員や弁護士等の専門家を招いて講話を実施したり、裁判所見学や模擬裁判を行うことによって、司法に対する理解を深めたりする例がある。

 道教委としては、今後、学習指導要領に基づき、こうした取組が充実するよう、指導主事による学校教育指導や教育課程研究協議会などを通じて、外部人材などを活用した実践事例を普及啓発し、各学校での取組を支援していく考えである。

松山委員 本定例会にも、教員の免職に伴う退職手当の支給制限処分にかかる審査請求について、三件の諮問がなされている。「懲戒処分の指針」について聞く。

 懲戒処分は、明確に構成要件的な規定はなく、指針に基づいて総合的に考慮、判断をされている。指針においては、標準的な例が記載されているが、それ以外については、類推して適用しているようである。教員に限らず、どこの部分社会においても、非行行為については、処分があってしかるべきと考えるが、特に、被処分者の人生を大きく左右するものであるから、デュープロセスの観点から、可能な限り、明確に処分の元になる行為と処分の程度について規定すべきと考える。今回諮問されている案件においても、処分の軽重について、どうかなと感ずるところもある。

 そこで、今後、この指針について、より具体的に改訂していくべきではないかと考えるが、所見を伺う。

柴田教育長 懲戒処分の指針について。道教委においては、懲戒処分がより一層客観的かつ公平厳正に行うことができるよう、十七年に、「基本的な考え方」と「代表的な事例にかかる標準的な処分量定」を示した「懲戒処分の指針」を策定した。

 この指針においては、具体的な量定の決定に当たっては、非違行為の動機や結果をはじめとして、故意または過失の程度、児童生徒・保護者への影響などを総合的に考慮の上、判断することとしている。

 道教委では、これまで非違行為の発生状況や社会的影響の大きさなどを踏まえ、個人情報の紛失あるいは盗撮などを加えるとともに、標準例における量定を見直してきており、今後においても、法令の改正や教職員を取り巻く環境の変化などに的確に対応できるよう、代表的な事例を明確に規定するなど、必要な見直しを行い、客観的でかつ厳正な懲戒処分と不祥事防止の徹底に努めていく。

― 意 見 ―

松山委員 しっかり取り組んでいただきたいと思うし、道職員の指針の方が割と具体的となっているので、それも参考にしていただければと思う。

(道議会 2015-09-16付)

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