28年度文教関係予算案を閣議決定 0.2%減、4兆651億円 教職員定数3475人減( 2015-12-28付)
政府は、二十四日の閣議で二十八年度予算案を決定した。文教関係予算は、二十七年度当初を〇・二%、七十六億円下回る総額四兆六百五十一億円となった。公立小中学校の教職員定数は、二十七年度比三千四百七十五人削減することとした。幼児教育の無償化や高校生・大学生の奨学金拡大で低所得世帯の負担軽減を図り、いじめや不登校対策も拡充した。
加配定数は525人拡充
来年度の文教・科学技術予算案は、一般会計ベースで五兆三千五百八十億円となり、本年度当初(五兆三千五百八十四億円)並の予算を確保した。このうち、文教関係予算は〇・二%、七十六億円減の四兆六百五十一億円。
焦点となっていた公立小・中学校の教職員定数については、小学校英語の教科化など専科指導の充実に百九十人、チーム学校の推進に百人、貧困対策、いじめ・不登校への対応、特別支援教育の充実にそれぞれ五十人など、「加配定数」を五百二十五人拡充。一方で、学校や学級の規模に応じて人数が決まる「基礎定数」は、少子化や学校の統廃合などに伴い四千人削減。結果として、本年度に比べ三千四百七十五人減らすこととなった。
へき地児童生徒援助費補助金は、五六・〇%増の二十五億円を計上。都道府県などがスクールバス・スクールボートを購入する際の補助を着実に実施。また、学校統廃合などで遠距離通学となった児童生徒の通学に要する交通費を負担する市町村の事業に対する補助についても、大幅に拡充。
いじめや不登校などに対応する観点から、スクールカウンセラーの配置について二万四千校から二万五千五百校へと拡充するとともに、スクールソーシャルワーカーについても、二千二百人から三千人へと配置を拡充する。
退職教員や教員志望の大学生などをサポートスタッフとして学校に配置する、補習等のための指導員等派遣事業は、一五・〇%増の四十七億円を措置。「チーム学校」の考え方を財政的にも支援し、教員が授業などに集中できる環境を整備する観点から、人数を一万人から一万五千人に増やす。
教員の資質・能力の向上に向け、教育委員会が主催する教員研修などにおいて、民間事業者の知見を活用したプログラム・研修教材の開発を新たに支援する。
国立大学法人の基盤的経費である運営費交付金については、平成十六年の法人化以降、減少傾向が続いていたが、第三期中期目標のスタートとなる二十八年度において、本年度と同額(一兆九百四十五億円)を確保し、削減に歯止めをかけた。また、同じく減少傾向が続いていた私立大学等経常費補助についても、本年度と同額(三千百五十三億円)を確保した。
幼児教育の無償化に向けた段階的取組として、年収約三百六十万円未満世帯の第二・三子以降について、保育園でいう同時就園要件(幼稚園の場合は小三以下の範囲でのみ適用)を撤廃。さらに、年収約三百六十万円未満のひとり親世帯などについて、第二子以降の保育料を無償化するなど、優遇措置を拡大する。
また、高校等就学給付金は、六五・六%増の百三十一億円を予算化。市町村民税非課税世帯(全日制等)の第一子への給付額について、国公立(三万七千四百円→五万九千五百円)、私立(三万九千八百円→六万七千二百円)ともに拡充する。
( 2015-12-28付)