文部科学省の29年度概算要求主要事項②( 2016-10-06付)
文部科学省の二十九年度概算要求主要事項はつぎのとおり(金額は要求・要望額単位・百万円。カッコ内%は前年度予算比)。
★学力と人間力を備えた人材を育成するための教育再生の実現
【社会を生き抜く力の養成】
◆幼児教育の振興=四七、五八三(一二四・七%)―事項要求含む
幼児期の教育が生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることに鑑み、幼児教育無償化に向けた取組を段階的に進めるとともに、幼児教育の質の向上および環境整備を促進することによって、幼児教育の振興を図る。
▼幼児教育無償化に向けた取組の段階的推進(事項要求)=三二、二七二
「幼児教育無償化に関する関係閣僚・与党実務者連絡会議」(二十八年八月一日開催)で取りまとめられた方針などを踏まえ、幼児教育無償化に向けた取組を「環境整備」と「財源確保」を図りつつ、段階的に進めることとし、その対象範囲や内容等については予算編成過程において検討する。
▼幼児教育の質の向上=七三六
▽幼児教育の質向上推進プラン=二二二
・幼児教育の推進体制構築事業=二〇三
地域の幼児教育の質の向上を図るため、地域の幼児教育の拠点となる幼児教育センターの設置や、幼稚園・保育所・認定こども園等を巡回して助言などを行う「幼児教育アドバイザー」の育成・配置など、自治体における幼児教育の推進体制の検討・整備を行う。
・幼児期の教育内容等深化・充実調査研究=一九
効果的な指導方法や実効性のある学校評価など、幼児期における教育内容などについて、より深化・充実するための調査研究を実施する。
▽幼稚園の人材確保のための取組の推進(新規)=三八九
幼稚園に優秀な人材を確保するため、人材登録制度の構築や離職防止を図る研修など先導的な取組を支援するとともに、事務の負担軽減を図るためICT化を支援し、幼稚園教員が働きやすい環境を整備する。
▽幼稚園教育要領の普及・啓発=一一六
新幼稚園教育要領について、各幼稚園が適切な教育課程を編成、実施する上での参考資料を作成するとともに、新幼稚園教育要領の改訂の趣旨や理念などについて周知・徹底を図る。
▽ECEC(Early Childhood Education and Care)Network事業の参加=九
OECDにおいて計画されているTALIS幼児教育・保育従事者調査などに参加し、幼児教育の質の向上を図るための政策立案に資するデータを収集する。
◇幼児教育の環境整備の充実=一四、五七五
▽認定こども園等への財政支援=一三、〇七二(負担割合「認定こども園施設整備」国1/2 市町村1/4 事業者1/4等)
認定こども園の施設整備および園舎の耐震化・防犯対策に要する経費の一部を補助するとともに、幼稚園教諭免許と保育士資格の併有促進や、研修等の実施費用を支援する。
▽私立幼稚園の施設整備の充実=一、五〇三(補助率1/3「Is値0・3未満1/2」)
緊急の課題となっている耐震化に取り組むとともに、学校法人立幼稚園等の施設のアスベスト対策・防犯対策、エコ改修等に要する経費の一部を補助することによって幼稚園の環境整備を図る。
◆キャリア教育・職業教育の充実=一、二〇四(二・二倍)
小学校からの起業体験や中学校の職場体験活動、高校におけるインターンシップなどのキャリア教育を推進するとともに、農林水産高校などの専門高校(専攻科を含む)においては、社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するとともに、中学生や保護者などの理解・関心を高めるための方策について調査研究を行う。
さらに、学習と実践を組み合わせて行う効果的な教育手法の開発を進めるとともに、「職業実践専門課程」にかかる取組を推進し、専修学校全体の質保証・向上などを図る。
▼将来の在り方・生き方を主体的に考えられる若者を育むキャリア教育推進事業=七二
▽「キャリア・パスポート(仮称)」普及・定着事業(新規)
児童生徒が自らの学習活動などの学びのプロセスを記述し振り返ることを通して、自己のキャリア形成に生かす「キャリア・パスポート(仮称)」の導入に向け、その活用方法などについての調査研究を実施する。
▽小・中学校等における起業体験推進事業
児童生徒がチャレンジ精神や、他者と協働しながら新しい価値を創造する力など、これからの時代に求められる資質・能力の育成を目指した起業体験活動を行うモデルを構築し、全国への普及を図る。
▽キャリア教育の普及・啓発等
キャリア教育推進連携シンポジウムの開催など。
▼スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール=二三五―指定校三二校
高度な知識・技能を身に付けた専門的職業人を育成するため、専攻科を含めた五年一貫のカリキュラムの研究や大学・研究機関等との連携など先進的な卓越した取組を行う専門高校を指定して調査研究を実施する。
▼農林水産高校等の魅力発信に関する調査研究事業(新規)=一四
農林水産高校などの専門高校に対する中学生や保護者などの理解・関心を高めるため、今後の魅力発信方策についての調査研究を行う。
◆情報通信技術を活用した学びの推進=一、三二六(一八七・〇%)
ICTを活用した「次世代の学校・地域」の創生に向けて、「教育の情報化加速化プラン」に基づき、官民コンソーシアムを活用した教育コンテンツの開発や教員のICT活用・情報教育指導力の向上を図るとともに、ICT環境の全国整備に向けて標準化や情報セキュリティ対策など自治体支援を強化する。併せて、教育の質の向上と教員の業務改善の観点から次世代の校務情報化を推進する。
▼次世代の教育情報化推進事業(新規)=三〇〇
次期学習指導要領を見据え、情報教育・ICT活用の充実に向けた地域をけん引する拠点の構築に向けて推進校を指定し、教科横断的な情報活用能力の育成のためのカリキュラム・マネジメントの在り方やICTを効果的に活用した指導モデルの開発のための実践的な研究を実施するとともに、官民コンソーシアムを設立し、優れた教育コンテンツの開発・共有などを推進する。
また、教員のICT活用や情報教育指導力向上を図るため、教員養成系大学における指導者養成研修などを実施する。
▼次世代学校支援モデル構築事業(新規)=二五〇
総務省との連携のもと、「一人一台のコンピュータ環境」を前提として、校務の情報を学習記録データ(学習履歴や学習成果物などの授業・学習の記録)などと有効につなげ、学びを可視化することを通じ、教員による学習指導や生徒指導等の質の向上や、学級・学校経営の改善などに資することを目指し、学校における活用の在り方、個人情報としての学習記録データの管理の在り方、学習記録のデータ化の方法、システム要件(情報セキュリティ対策を含む)などについての実証研究を行う(スマートスクール構想実証)。
▼情報通信技術を活用した教育振興事業=八〇
次期学習指導要領の実施に向けて、自治体における必要なICT環境の導入を促進するための標準化を進めるとともに、デジタル教科書やアプリケーションを活用し、アクティブ・ラーニングなど多様な学びを実現するための方法を研究開発する。
▼ICTを活用した教育推進自治体応援事業=四八〇
教職員の業務改善を図る観点などから、教育委員会における校務の情報化を推進するため、標準的な業務改善モデルや共同調達・運用指針の策定など「統合型校務支援システム」の導入の促進に資する取組を実施するとともに、子どもたちが安全かつ快適にICTを活用して学習するために必要な環境整備を促進するため、学校の情報セキュリティ対策を強化しながら、無線LANをはじめとするICT環境の全国整備を促進する。
また、「ICT活用教育アドバイザー」の自治体への派遣(九〇地域)を行う。
▼人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上にかかる実証事業=一一四
児童生徒同士の学び合いの体験やコミュニティ機能の低下などの課題をもつ人口過小地域において、ICTを活用した、遠隔地の学校間を結んだ双方向型の協働学習や社会教育施設等における遠隔講座など、学校教育および社会教育における教育の質の維持向上を図るための実証研究を実施する。
▼青少年を取り巻く有害環境対策の推進=五八
インターネット上の違法・有害情報サイトを通じた犯罪やいじめなどに青少年が巻き込まれるとともに、「ネット依存」による生活習慣の乱れなどが課題となっていることから、関係府省庁と連携し、インターネットなどの適切な使用やネット依存を含む各種依存症予防について、保護者と青少年に直接働きかける啓発と教育活動を推進する。
◆学校健康教育の推進=七三八(一一〇・一%)
児童生徒が学校生活を健康で安全に送ることができるよう、通学路の安全など学校における安全管理・安全教育の推進、薬物乱用防止教育の推進など児童生徒の健康の保持増進を図るとともに、児童生徒に正しい食事のとり方や望ましい食習慣等を身に付けさせるなど、食育の推進を図る。
▼学校保健推進事業
▽がんの教育総合支援事業=三五
学校におけるがん教育への取組を推進するため、教員および外部講師の質の向上や指導内容の充実に継続して取り組む必要があることから、教員や外部講師の資質向上を目的とした研修会を全国で実施するとともに、がん教育の指導内容・方法の充実に積極的に取り組む地域や学校を支援する。
▼学校安全推進事業
▽防災教育を中心とした実践的安全教育総合支援事業=二三二
東日本大震災などの自然災害や登下校中の交通事故、さらに学校内外における不審者による子どもの安全を脅かす事件の発生を踏まえ、地域や学校の抱える学校安全上の課題に対して、「自らの命を守り抜くために主体的に行動する態度」や「安全で安心な社会づくりに貢献する意識」などを育成する教育手法を開発するとともに、セーフティプロモーションスクール等の先進事例を参考とするなど、学校の安全管理体制や地域住民・保護者・関係機関との連携体制の構築に積極的に取り組む地域や学校を支援する。
▼学校給食・食育総合推進事業
▽つながる食育推進事業(新規)=七〇
食を取り巻く環境が大きく変化する中、子どもの日常生活の基盤である家庭においても食育を推進していく必要があることから、栄養教諭と養護教諭などが連携した家庭へのアプローチや、体験活動を通した食への理解促進など、学校を核として家庭を巻き込んだ取組を推進することで、家庭における食への理解を深める。
◆少子化に対応した活力ある学校教育の推進=二、五七四(一〇〇・七%)
現下の少子化・人口減少社会を踏まえ、地域の実情に応じて、少子化に対応した活力ある学校教育を推進するため、学校統合を契機とした魅力ある学校づくりや小規模校における教育環境の充実を図る。
▼少子化・人口減少社会に対応した活力ある学校教育推進事業=五三
統合による魅力ある学校づくりや、統合困難な地域における教育環境の充実の取組モデルを創出するための委託研究を行う。
▼へき地児童生徒援助費等補助金=二、五二一
へき地教育振興法に基づき、離島や中山間地域に所在する学校の教育の振興を図るため、地方公共団体が実施するスクールバス購入費や通学費支援について補助を行う。
学校統廃合に伴い遠距離通学となる児童生徒の通学条件を緩和するため、地方公共団体が実施するスクールバス購入費や通学費支援について補助を行う。
◆高大接続改革の推進=六、四一二(一二一・三%)
「高大接続改革実行プラン」(平成二十七年一月十六日文部科学大臣決定)に基づき、高校教育改革、大学教育改革、大学入学者選抜改革を一体的に推進する。
▼「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」プレテストの実施(新規)=一、〇八五
平成三十二年度から実施する「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を円滑に導入・実施するため、記述式の作問・採点を含むテストの信頼性・妥当性についての実証的検証、試験問題の難易度や運営上の問題の検証、トラブル発生時の対応、民間の知見の活用などを行うための試行テスト(プレテスト)の実施に向けた必要経費について支援する。
▼大学教育再生加速プログラム(AP)「高大接続改革推進事業」=一、七三八
高校や社会との円滑な接続のもと、三つの方針(「卒業認定・学位授与の方針」「教育課程編成・実施の方針」「入学者受入れの方針」)に基づき、入口から出口まで質保証の伴った大学教育を実現するため、アクティブ・ラーニング、学修成果の可視化、入試改革・高大接続、長期学外学修プログラム、卒業時における質保証の取組の強化を図り、大学教育改革を一層推進する。
▼大学入学者選抜改革推進委託事業=三〇〇
大学入学者選抜における「思考力等」や「主体性等」の評価の推進に向け、大学入学者選抜改革を進める上での課題についての調査・分析と、「思考力等」や「主体性等」をより適切に評価する新たな評価手法の研究・開発などについて、受託機関と協力大学が協働して取り組む。
▽人文社会分野、理数分野、情報分野の評価手法
▽面接や書類審査等教科・科目によらない評価手法
◆女性の活躍推進等のための環境整備=五、三八九(一二六・八%)
放課後子ども総合プランの推進など、女性が安心して子どもを育て活躍できる環境を整備するとともに、キャリア形成支援によって女性の能力を最大限発揮できるよう支援を行う。あわせて、女性アスリートの育成・支援に取り組む。
▼男女共同参画のための学び・キャリア形成支援事業(新規)=四四
大学などにおいて女性が子育てをしながら学ぶことのできる環境を整備するため保育環境モデルの構築を進めるとともに、若者がライフイベントを踏まえた上で進路や就労の選択を行えるよう、男女共同参画の視点に立ったライフプランニング支援の推進を図るなどのキャリア形成支援を推進する。
【未来への飛躍を実現する人材の養成】
◆国立大学法人の基盤的経費の充実=一、一六〇、〇六四(一〇五・二%)
▼国立大学法人運営費交付金等=一、一四三、〇六四(一〇四・四%)
国立大学および大学共同利用機関がわが国の人材養成・学術研究の中核として、継続的・安定的に教育研究活動を実施できるよう、基盤的経費である国立大学法人運営費交付金等の充実を図る。
◇機能強化の方向性に応じた重点支援=四五、二八一
「三つの重点支援の枠組み」によって、各大学の機能強化の方向性に応じた取組をきめ細かく支援し、国立大学改革のさらなる加速を図る。
また、運営費交付金による支援に加え、意欲的な教育研究組織整備等を支援する新規補助金(「国立大学法人機能強化促進補助金」六〇億円)を創設する。
▽重点支援①
主として、地域に貢献する取組とともに、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色のある分野で世界・全国的な教育研究を推進する取組を中核とする国立大学を支援
▽重点支援②
主として、専門分野の特性に配慮しつつ、強み・特色のある分野で地域というより世界・全国的な教育研究を推進する取組を中核とする国立大学を支援
▽重点支援③
主として、卓越した成果を創出している海外大学と伍して、全学的に卓越した教育研究、社会実装を推進する取組を中核とする国立大学を支援
◇数理・データサイエンス教育の強化(新規)=一、二〇〇
全学的な数理およびデータサイエンス教育を実施するとともに、全国へ普及・展開する拠点形成を支援することで、数理やデータサイエンスをツールとして活用し新産業創出や企業の経営力・競争力強化に貢献する人材を育成する。
◇民間投資拡大に向けた産学共創体制の抜本的強化(新規)=七、〇〇〇
大学と企業等による「組織」対「組織」の産学共創や地域の持続的な成長を促すため、企業などへの企画・提案型の産学連携を全学的に行うための人的体制などを抜本的に強化し、共同研究の規模の大型化や民間投資の拡大を実現する。
◇共同利用・共同研究体制の強化・充実=三七、九五三
国内外のネットワーク構築や新分野の創成など、共同利用・共同研究拠点の強化に資する取組から、将来的に共同利用・共同研究拠点を形成するような附置研究所などの先端的かつ特色ある取組まで、一体的に重点支援し、わが国の大学全体の機能強化に貢献する。
また、大学共同利用機関などにおいて実施される先端的な学術研究の大型プロジェクト(大規模学術フロンティア促進事業)について、国際的競争と協調のもと、戦略的・計画的に推進する。
※大規模学術フロンティア促進事業
・スーパーBファクトリーによる新しい物理法則の探求
・大型低温重力波望遠鏡(KAGRA)計画
・日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画等
▼国立大学改革強化促進事業=一七、〇〇〇(二・一倍)
「国立大学経営力戦略」(二十七年六月十六日文部科学省)および「第五期科学技術基本計画」(二十八年一月二十二日閣議決定)などに基づき、国立大学法人の自己変革・新陳代謝を推進するとともに、世界の有力大学と伍して国際競争力をもち、わが国の高等教育をリードする「指定国立大学法人」に対するスタートアップ支援を実施する。 また、持続的なイノベーション創出に必要な研究装置等を整備するなど、国立大学改革等に必要な経費の充実を図る。
◇国立大学改革強化推進事業=九、〇〇〇
国際的な研究・人材育成の拠点としての「指定国立大学法人」が、世界最高水準の教育研究活動を行うために必要なスタートアップ経費(三〇億円)を支援する。
また、教員の年齢構成の是正を図り、若手研究者の安定的なポスト拡大のための人事・給与システム改革や他大学・自治体などとの連携による地域の諸課題の解決に関する先導的な取組を重点的に支援する。
◇国立大学法人先端研究等基盤強化促進費=八、〇〇〇
国立大学法人が科学技術イノベーションを引き起こすための基盤となる最先端の研究装置の整備などを重点的に支援する。
◆国立高等専門学校における教育研究の推進=六四、一二〇(一〇三・二%)
職業に必要な知識および技術を有する実践的・創造的な技術者を養成している国立高等専門学校について、教育活動を支える基盤的な経費の充実を図る。
▼国立高等専門学校における教育研究基盤の充実=六四、一二〇
管理運営のさらなる効率化を図るとともに、今後の国際化の進展や産業構造・就業構造の大きな変化を踏まえつつ、第四期中期目標期間(三十~三十五年度)を見据え、今後高等専門学校が取り組むべき方向性となる、「大学や高校との連携の強化、医療・農業など地域産業の特色を踏まえた人材育成など、地方への貢献」「情報セキュリティ・IoTなど超スマート社会を支える技術者の養成など、産業構造・就業構造の変化への対応」「英語による専門教育の実施や留学生の受入拡大など、高等専門学校教育の国際化の加速・推進」などの観点から、各高等専門学校においてその強みや特色を伸長する取組の強化、高等専門学校の教育・研究基盤を支える設備整備の充実、海外各国での高専型教育導入を支援する海外リエゾンオフィスの充実、現地の高専卒業生・企業・教育関係者などとのネットワーク構築などを通じた高等専門学校制度の組織的・戦略的な海外展開の実現など、高等専門学校教育の充実を図る取組を支援する。
◆改革に取り組む私立大学への支援など私学の振興=四七六、一〇二(一一〇・六%)
▼私立大学等経常費補助=三二七、七五九(一〇四・〇%)
私立大学などの運営に必要な経常費補助金を確保するとともに、建学の精神や特色を生かした改革に取り組む大学などを重点的に支援する。
◇一般補助=二七三、三五九
大学などの運営に不可欠な教育研究にかかる経常的経費について支援する。
◇特別補助=五四、四〇〇
二〇二〇年度以降の十八歳人口の急激な減少を見据え、自らの特色を生かして改革に取り組む大学(地域で輝く大学やイノベーション創出など経済・社会の発展に寄与する取組を行う大学等)に対する支援を強化する。
▽地域を支える私立大学等連携プラットフォーム形成支援事業(新規)=五〇〇
地域の私立大学などが、自治体、産業界、地域の教育機関と密接に連携・協力し、地域全体の強み・潜在力を最大限に引き出すためのプラットフォーム形成や地域発展、大学間・産学連携など大学等の特色化・機能強化を支援する。
▽私立大学等改革総合支援事業=二二、八八〇
教育の質的転換や地域発展、産業界・他大学等との連携など大学の特色化に向けた改革に全学的・組織的に取り組む大学に対して重点的に支援する。
▽私立大学研究ブランディング事業=八、六〇〇
学長のリーダーシップのもと、大学の特色ある研究を基軸として、全学的な独自色を大きく打ち出す取組を行う大学に対して重点的に支援する。
▽経済的に修学困難な学生に対する授業料減免等の充実=一一、一八九―減免対象人数約六〇、〇〇〇人
経済的に修学困難な学生を対象とした授業料減免等を行う大学などへの支援の充実を図る。
特に、低所得層に対する授業料減免等については、補助率の嵩上げを行い、経済状況にかかわらず学ぶ意欲のある学生への高等教育を受ける機会保障の強化を図る。
▽熊本地震により被災した学生の授業料減免等への支援=二、七八六
※参考・復興特別会計
◇特別補助
▽被災私立大学等復興特別補助=一、七五二
東日本大震災で被災した大学の安定的教育環境の整備や被災学生の授業料減免等への支援を実施。
▼私立高校等経常費助成費等補助=一〇五、八八一(一〇三・五%)
私立高校等の教育条件の維持向上や保護者の教育費負担の軽減および学校経営の健全性の向上を図るとともに、各私立高校等の特色ある取組を支援するため、都道府県による経常費助成などに対して補助を行う。
◇一般補助=八八、六四九( 八七、一七七)
各都道府県による私立高校等の基盤的経費への助成を支援する。
◇特別補助=一四、四四一
グローバル人材や情報活用能力の育成などの次世代を担う人材育成やアクティブ・ラーニングなどによる教育の質の向上に取り組む学校への支援を強化、障害のある幼児の受入れや長時間の預かり保育を実施する幼稚園に対する支援等の充実など、各私立高校等の特色ある取組を支援する。
◇特定教育方法支援事業=二、七九一
特別支援学校などの特定の教育分野について、その教育の推進に必要な経費を支援する。
▼私立学校施設・設備の整備の推進=四〇、一六二(三・八倍)
建学の精神や特色を生かした私立学校の質の高い教育研究活動などの基盤となる施設・設備等の整備を支援する。また、財政融資資金を活用し、学校法人が行う施設整備などに対する融資を行う。
特に、熊本地震や東日本大震災の教訓などを踏まえ、今後発生が懸念されている南海トラフ地震や首都直下地震に備えるべく、私立学校施設の耐震化の一層の促進を図る。
◇耐震化等の促進=二二、五二四
学校施設の耐震化等防災機能強化をさらに促進するため、校舎などの耐震改築(建替)事業および耐震補強事業などの防災機能強化のための整備を重点的に支援する。
二十八年度までの時限措置となっている耐震改築への補助制度を延長する。
◇教育・研究装置等の整備=一七、六三九
教育および研究のための装置・設備の高機能化などを支援する。
▼私立大学等教育研究活性化設備整備事業=二、三〇〇(一〇〇・〇%)
教育の質的転換などの改革に全学的・組織的に取り組む私立大学等に対して重点的に支援する。
◇私立大学等改革総合支援事業=二、三〇〇
教育の質的転換や地域発展、産業界・他大学等との連携など大学の特色化に向けた改革に全学的・組織的に取り組む大学に対して重点的に支援を強化するため、経常費・設備費・施設費を一体として重点的に支援する。
◆新時代の教育のための国際協働(倉敷宣言の推進)=九六一(皆増)
G7倉敷教育大臣会合で合意された「倉敷宣言」において、G7各国間で教育に関する理念や課題が共有され、国際協働の重要性が確認されたことを踏まえ、各国の豊かな経験を学び合うことによって教育実践を改善し、新たな時代に求められる資質・能力の育成を実現していくため、国際協働事業、教員交流、二国間ワークショップ、優良事例共有プラットフォームの構築、また、国際機関を活用した国際協働プログラムを実施する。
▼新時代の教育のための国際協働プログラム(新規)=九六一
G7各国間の国際協働を進めることによって、新たな時代に求められる資質・能力の育成を実現していく。
▽国際協働事業
倉敷宣言の合意事項に関連した分野における各国の教育実践や経験を評価・共有するための比較研究、モデル事業等の国際協働事業を実施。
▽教員交流
G7各国に教員などを派遣し、現地学校の視察、モデル授業等の実践および現地教員とのワークショップなどを実施。また、帰国後の派遣経験者、相手国教員などが参加し、成果の共有等を行う国際フォーラムを開催。
▽優良事例共有プラットフォームの構築
G7各国等の学校・教員の先進的な取組の提供、教育関係の各種データの共有、教育関係者の意見交換などのために、ウェブ上にプラットフォームを構築。
▽二国間教育ワークショップの開催
G7各国の関心が高い分野を中心に、日本および相手国の政府、教育関係者、研究者、教員などが議論するワークショップを開催。
▽国際機関との連携によるグローバルな展開
国際機関の活用によって、相互の学び合いや国際的な指標の開発を促進し、G7各国共通の課題への対処や、先進国を含む国際社会全体の開発目標である持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けた取組を推進。
( 2016-10-06付)