札幌市子ども・子育て会議　専門職員育成体制を構築　女児死亡事例の検証報告書

（市町村 2020-03-13付）

　札幌市子ども・子育て会議児童福祉部会は、令和元年６月に２歳の女児が死亡した事件について、検証報告書をまとめた。虐待の再発防止に向けて、今後必要な取組として、支援体制の強化や専門的力量をもつ職員を育成する体制の構築などを挙げた。

　昨年６月に２歳の女児が死亡する事件が発生。市は児童虐待の防止等に基づく法律に基づき、再発防止に向けて事件の検証を部会に依頼した。

　報告書では、①女児の母親の妊娠届出から１歳６ヵ月健診まで②１回目の虐待通告から母子の区間転居③２回目の虐待通告から女児の死亡まで―の３期に分けて行政の支援の問題や課題を指摘。②では、虐待通告時の区と児童相談所間の情報共有・進行管理が不十分だったこと、保育所施設などとの協力関係の構築が求められることを挙げた。

　③では、３回目の虐待通告時に児童相談所と警察との協議が不十分で認識のずれがみられること、警察の情報を踏まえ、児童相談所としても女児の安否を確認し、支援方針を検討すべきと強調した。

　問題点として「当事者の側に立って問題を理解する観点が希薄」「アセスメントの視点が不十分」「組織的なマネジメントが機能していない」などを挙げた。

　これまでの支援に関する課題を踏まえ、目指すべき枠組みとして７点を明示。「区および生活圏を単位とした支援体制の強化の必要性」「母子保健体制の見直し、乳幼児健診の改善の必要性」「アセスメントと支援方針の共有を軸とする協働体制の構築と進行管理の徹底の必要性」「児童相談所における介入機能と役割の明確化の必要性」「専門的力量をもつ職員を育成する体制の構築」「思春期・若年期に焦点を当てた支援の枠組みの創設の必要性」「過去の検証報告書の進ちょく状況についての検証機会の必要性」を挙げた。

(市町村 2020-03-13付)