小樽市 5年度教育行政執行方針 部活動拠点校方式を導入 全小・中に校務支援システム
(市町村 2023-03-03付)

小樽市林秀樹
林教育長

  【小樽発】小樽市教委の林秀樹教育長は5年度教育行政執行方針において、全ての小・中学校に校務支援システムを導入し、教職員の業務軽減を図るとした。また部活動の拠点校方式の新規導入や桂岡小学校の耐震補強等工事、新総合体育館の基本計画策定など施設整備を進めていく。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼未来を創る力の育成

 授業づくりの指針「小樽授業づくりの5つのステップ」を全ての小・中学校で徹底するとともに、小学校高学年における教科担任制や教職員の働き方改革などの包括的な学校改善に取り組む。新たに小学校へ3人配置する「新しいかたちの学び推進教員」が進める1人1台端末を活用した授業改善など、教職員の各種加配の活用により、学力向上に取り組む。

 ICT教育の推進については、1人1台端末の通信速度の改善やICT支援員とヘルプデスクを配置した授業支援を実施するほか、新JIS規格の机や、特別支援学級と特別教室への大型テレビの整備を進める。

▼豊かな心の育成

 ふるさと教育について、教材「小樽の歴史」の活用や「おたる潮ねりこみ」、小樽港内遊覧屋形船における学習など、郷土への誇りと愛着を育む活動の一層の充実に努める。

 読書活動の推進では、学校司書の配置を9人に増員し、学校図書館の蔵書を3年間で集中的に整備することで、児童生徒の読書環境の充実と読書習慣の確立に努める。

 いじめの防止や不登校児童生徒の支援では、市内4ヵ所に設置している登校支援室での指導やコーディネーターによる訪問型支援のほか、スクールカウンセラーを増員・派遣回数を拡充し、困難な事案に速やかに対応できるよう、スクールソーシャルワーカーの勤務日数を増やすことで、教育相談体制の強化を図る。

▼健やかな体の育成

 体育専科教員による体育授業改善と栄養教諭を中心とした食に関する指導を両輪として、その成果を普及していく。望ましい運動習慣や食習慣の定着に向け、小・中学校体力向上検討委員会の各種資料や動画を各学校において活用し、児童生徒の体力・運動能力の向上と健康の保持増進に努める。 

 学校給食は要望が多い米飯の提供回数を週2回から週2・5回に増やすため、新たな献立の考案、提供に必要な食器等を整備する。

▼家庭・地域との連携・協働の推進

 家庭教育支援について、PTA連合会との共催による講演会の開催や、児童生徒が自分の生活を見直すことができる「生活習慣スケジュール表」の活用、「おたるスマート7」の徹底などによって、子どもの健やかな成長と望ましい生活習慣の定着に努める。放課後などに地域の人材を小・中学校に派遣し学習支援を行う「樽っ子学校サポート事業」、地域住民等と連携し子どもの安全・安心な居場所を提供する「おたる地域子ども教室」を実施する。

 CSについては、環境が整った小・中学校4校を新たに指定し、市内23校の小・中学校において、地域住民との連携・協働による学校づくりを進める。

▼学びと育ちをつなぐ学校づくりの実現

 学校段階間の連携・接続について、幼児教育施設と小学校職員が交流する機会を設け、幼保・小の連携を進めるとともに、義務教育9年間を見通した教育課程の編成などを行う小中一貫教育の取組や「小樽市小中高連携協議会」を通じた連携の充実に努める。小中併置校の忍路中央小、忍路中では、文部科学省の授業時数特例校制度を活用し、地域の自然や産業、人材などの資源を活用した体験的な活動の充実を図るため、学校菜園を整備する。

 学校施設の整備では、桂岡小の校舎および屋内運動場の耐震補強等工事を進め、全ての小・中学校の耐震化を図るほか、稲穂小の校舎トイレの洋式化改修、高島小と西陵中の屋内運動場暖房設備の更新によって、教育環境の改善を図る。

 教職員の働き方改革では「小樽市立学校における働き方改革行動計画」に基づき、外部人材の積極的活用のほか、全ての小・中学校に校務支援システムを導入し、教職員の業務軽減を図り、子どもたちに向き合うための時間確保に努める。

 中学校の部活動改革として、生徒数減少や指導者確保、教職員の働き方改革などの課題に対応するため、部活動指導員の増員と大会引率に係る旅費の支給を行うほか、生徒が望む部活動の選択肢をより確保できるよう、新たに部活動の拠点校方式を導入し、拠点校の部活動に参加する生徒の移動に係る経費を支援する。

▼生涯各期における学習機会の充実

 道内外から講師を招く「小樽市民大学講座」の開講、趣味や教養などの学びを提供する「はつらつ講座」を開催する。総合博物館では、蒸気機関車アイアンホース号による動態展示や体験乗車、鉄道史や歴史、科学をテーマにした企画展を開催し、ふるさと教育や教育旅行などで効果的な学習ができる機会を提供する。

 図書館では既存システムの更新作業に当たり、学校図書館からの蔵書検索や予約を行う連携機能と、図書館所蔵の歴史的資料などの情報発信機能を追加し「まちをつなぐ図書館」として、6年度からの運用開始を目指す。

▼文化芸術の振興と文化遺産の保存活用

 学校における芸術鑑賞事業に取り組むとともに、子どもたちが地域の伝統芸能や無形文化財に触れる機会の提供や「小樽市文化祭」「伝統文化親子教室」の開催を支援する。

 文化遺産の保存活用について「重要文化財旧日本郵船株式会社小樽支店」の保存修理工事を進め、6年度の完成を目指す。歴史文化基本構想の調査では「林家旧蔵アイヌ風俗画画稿」に続く小樽市指定文化財の指定に向け調査を進め、国登録有形文化財に申請可能な市有施設を調査するなど、申請に向け取組む。

▼生涯スポーツ・レクリエーションの振興

 地域の社会教育団体やスポーツ団体の協力を得て、未就学児や小学校低学年児童を対象にスポーツとの出合いの場を提供するなど、子どもの体力向上への支援に取り組む。

 体育施設について、手宮公園競技場のインフィールド芝部分の改修など、計画的な施設整備と適切な維持管理に努める。

 新総合体育館の整備に向けては、諸室の面積や配置、機能のほか、施設整備に当たっての事業手法など、より具体的な内容を定める基本計画を策定する。

(市町村 2023-03-03付)

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