北斗市5年度教育行政執行方針 制服、校則の見直し推進 働き方改革へ変形労働制
(市町村 2023-03-03付)

北斗市永田裕
永田裕教育長

 【函館発】北斗市教委の永田裕教育長は2月28日開会の5年度第1回定例会で教育行政執行方針を説明した。教育環境の整備では、中学生の制服や校則の見直しについて時代に応じた対応を早急に進めていくとした。教職員の働き方改革については、次年度から変形労働時間制を導入。時間外在校等時間の短縮に加え、クラウド化を推進し、業務の効率化を図っていくとした。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼社会で活躍する力を育む教育活動の推進

 これからの社会は生きて働く知識・技能の習得と国際化やボーダレス化が進む中、未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力などが求められている。

 これらの力を付けるためには、家庭における理解や協力が必要であるが、学校現場においても新しいことへの挑戦や体験活動、コミュニケーションが重要。従来の教育の考え方を見つめ直す必要があるのではないかと考えている。

 また、GIGAスクール構想によって1人1台のタブレット端末が整備され、授業内での活用はもちろん、臨時休校時や不登校児童生徒へのオンライン授業、学校間での交流学習にも幅広く活用されている。

 一方、子どもたちの健康状況やコミュニケーション不足、SNS上における情報の信ぴょう性や取り扱い上のモラルについて注意・指導をしていかなければならない。

 教科等横断的な授業は新学習指導要領の中でも重要なものと位置付けられているが、学校は今まで以上に意識して行う必要がある。子どもたちが学びを通じて、様々な分野で関係性を知ることや違う側面から見ることで、疑問に思うことがこれからの社会で生きていく上で重要と考えている。

 道徳教育においては、自らの生命の尊さを知ることや自己肯定感を高めること、人を思いやる気持ちを育てていくことが大切。道徳の授業だけではなく、教科を横断して取り組むことも大事。

 また、道徳観念は幼少期や低学年において家庭環境や保護者の考え方に大きく影響を受けることから、家庭への情報提供や協力を求めていかなければならないと考えている。

▼誰一人取り残さない教育の推進

 これからの社会において求められるものは、知識より創造性やコミュニケーション能力であると考えており、認知能力と非認知能力を共に伸ばしていくことが必要。

 しかし、子どもたちは一人ひとりがそれぞれの個性や能力に違いがあり、それを見極めながら学力至上主義にならないよう、個性や能力を伸ばしていくことが大事なことと考えている。

 不登校になってからの対応ではなく、不登校になる前に家庭、学校は子どもたちが何に不安を持っているのかをいち早く察知することが重要。家庭、学校において、今まで以上に子どもたちとのコミュニケーションが取れる体制を確立していく必要があり、家庭と学校の連携を密にしていかなければならないと考えている。

 不登校児童生徒の学びの場である適応指導教室は、昨年から指導員の体制を強化した。出前で対応しているケースもあり、今後の状況を見ながら体制整備を強化していくことも考えていかなければならない。

 教職員の働き方改革については、次年度から変形労働時間制を導入する。制度を有効に活用することでさらなる時間外在校等時間の短縮につなげていく。

 学校部活動から地域部活動への移行が進められているが、次年度には道の指針が示されるため、市においても検討を進めていきたい。

 教職員の時間外在校等時間数は学校の努力もあり減少傾向にあるが、個人による格差がいまだある。「チーム学校」として仕事の分担や教科担任制の拡大を進めてもらうとともに「オール北斗」としてクラウドの活用による業務効率の向上などを今まで以上に進めていくことが必要と考えている。

▼教育環境の整備の推進

 校則や制服の時代に合った見直しが必要な時期となってきており、現在制服について検討を進めているが、併せて校則の見直しについても早急に行わなければならないと考えている。

 北斗市の津波浸水想定区域の拡大により、対象区域内の学校においては、詳細な避難確保計画を策定する。

 防災教育においては、自助・共助を中心とした防災意識の向上、救命方法、地域と共同で行う避難訓練等を総合的に行う1日防災教室を積極的に実施し、児童生徒、教職員の防災意識のさらなる向上に努めていく。

 学校施設については、次年度から国庫補助制度の改正を踏まえた新たな大規模改修計画の策定に取り組んでいかなければならない。

 また、小・中学校トイレの洋式化を計画的に行い、利便性の向上に努めるほか、浜分小学校体育館の屋根改修工事を実施していく。

 物価高騰等による影響は学校給食においても現れているが、現在の社会・経済情勢を踏まえ、当面は保護者の負担が増えないよう対応していく。

▼地域の教育力向上と生涯学習

 新年度には、全国高校総体(インターハイ)相撲競技が北斗市で開催されることとなっており、市民の皆さまの応援をお願いしたい。

▼市民が主体的に関わる芸術・文化の振興とスポーツ活動の推進

 文化財については、昨年文化財に関する団体が一本化されたため、郷土資料館を拠点とした活動に対し、協力をしながら進めていくことが必要。

 特に、縄文展や松前藩戸切地陣屋跡展などの特別展は人気の高い展示となっているため、市民の皆さまの意見を聴きながら、北斗市の歴史と文化に興味を持ってもらえる企画展示を進めていきたい。

(市町村 2023-03-03付)

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