更別村教委　次世代の校務ＤＸへ　校務処理をクラウド化　マイナンバー導入で安全性確保

（市町村 2023-03-08付）

　【帯広発】更別村教委は５年度中に校務支援システムのフルクラウド化を検討している。多要素認証にマイナンバーを導入することで情報セキュリティーの厳格性を高め、自宅など職員室以外のパソコンからでも成績や出席などの校務作業を行う環境づくりを進める。夏季休業中に校務用パソコンの入れ替えとネットワーク構築を進め、年度内にシステムを導入する見通し。

　現在の統合型校務支援システムの多くがネットワーク分離による自前のサーバーで構築され、職員室に固定された校務用端末からのアクセスが前提となっている。このため感染拡大や大規模災害の発生など出勤が制限される際に校務を継続することが困難であるほか、軽微な校務処理のために長期休業中も出勤する必要があるなど、子育てや介護をはじめとするライフスタイルに応じた柔軟な働き方の障壁にもなっている。

　文部科学省の専門家会議では次世代の校務ＤＸの方向性の一つに「学校業務に関する主要システムのクラウド化」を挙げており、更別村教委はこうした国の方向性も見据えて新システムの移行に先鞭をつける。具体的には、町内小・中学校の校務用パソコンの入れ替えに合わせて校務用システムをフルクラウド化。ＩＤ詐称の回避に有効な多要素認証にマイナンバーを適用することで認証の厳格性を向上させ、ネットワークの境界に依存せず、全ての端末・通信を監視して安全性を検証するセキュリティーの概念“ゼロトラスト”の実現を目指す。

　非常時にも対応できるよう教職員用端末としてノート型パソコンを採用するほか、校務用パソコンの入れ替えに加えてマイナンバーカードの外付け読み取り機を購入する予定で、５年度予算案にこれら関連事業として６２３５万円を計上。国のデジタル田園都市国家構想推進交付金（実装ＴＹＰＥ１）を活用して半額分の補助を受ける。

　ネットワーク構築に係る業務委託、校務用パソコンの入れ替えは年度当初に入札・契約する予定。フルクラウド化に向けた情報の暗号化、マイナンバーおよび村独自の住民ＩＤの認証設定を夏季休業中に進める見通し。

　将来的には、児童生徒や保護者にも学習データや健康管理の情報を公開するなど多様な活用方法を見込んでいる。村教委は「収集・蓄積した児童生徒一人ひとりの情報を教職員が共有し、個別最適な学びにつなげることができたら」と期待を寄せる。

◆多要素認証

　ゼロトラストセキュリティに関する要素技術の一つ。情報・データへのアクセスに対する認証に当たり記憶（ＩＤ・パスワード等）、所持（端末の電子証明書、ＩＣカード等）、生体（指紋、顔等）の３要素のうち２つ以上の要素を求めることで、なりすましや不正アクセスを防止する。

(市町村 2023-03-08付)