Pick Up2023 第9回 上川
( 2023-12-20付)

旭川ピックアップ
旭川学校DXサイトで活用例を公開している

旭川緑が丘中 リーディングDX

授業と校務を改善

 本年度、文部科学省「リーディングDXスクール事業」に旭川市立緑が丘中学校(貞弘真悟校長)が指定された。

 前年度、同校の学校評価では、家庭でICTを活用した授業の話題がないとの回答が多かった。これを受け、校内では「授業での使わせ方に工夫する余地がある」と、授業改善に臨む動きが活発化。ICTを活用した校務改善の機運も強かったという。

 貞弘校長は「事業に申し込むことで、教員たちの課題が改善されるのでは」と、指定事業に乗り出した当時を振り返る。

授業改善に向け教員連携生かす

 事業の中核を担うのは、DXを担当する北村裕美教諭。生徒がより主体的に学べる授業を目指して、教員らに「他者と交流して解決に向かう“協働的な学び”にICTを活用しよう」などと呼びかけた。

 同校では、1教科を1学年当たり2、3人の教科担任が担うといった教員同士の連携が密な環境があった。

 北村教諭はこうした環境を生かすべく、全教員がICTの教材や実践成果を共有・閲覧できるフォルダーと、授業改善に向けて交流できる場を設けた。教科の枠を越えて効果的活用事例の交流が行われ、全教科の授業改善につなげた。

 今後は、本年度の学校評価を参考に、さらなる改善を模索する。

DXで負担軽減 緑中進路ウェブ

 校務の負担については、高校説明会の申請書などの配布や集計、高校への提出などの煩雑さが課題に挙がった。

 北村教諭は負担軽減に向けて、進路関係業務をクラウド上で行うプランを校務運営委員会で提案。進路指導専用サイト「緑中進路WEB」を設立した。

 若手、ベテラン教諭の反応も上々で「エクセルで一から書類を作るよりも断然良い」などの声が上がるなど、一定の成果が見える。

 今後は、市教委の旭川学校DXサイトを利用して、同じ悩みを持つ学校に導入を呼びかけ、統一した書式で中学校だけではなく、受け取る高校側の負担軽減に向けた取組に結び付けたい考えだ。

◆上川 PDCA充実で高い成果

小学校全教科で 正答率全道トップ

 本年度の全国学力・学習状況調査で、小学校全教科の平均正答率が全道トップとなった上川管内。全国平均と比べても、国語で1・3ポイント、算数で1・4ポイント上回り、管内小学校の教育水準は高い傾向にあることがうかがえる。

 上川教育局義務教育指導班の蒔田和樹指導主事は「局が進める検証改善サイクルの充実に向けた取組が、学校全体で授業改善に努める意識につながったことが基盤になった」と分析。前年度に開催した「組織力強化会議」で、教頭や主幹教諭、教務主任などが学力向上のポイントを協議したことで「ミドルリーダーが教員一人ひとりに対して学校経営への参画を促すことに起因した」と評価する。

学校全体で改善 ICTの効果

 質問紙調査をみると「自分の特性や理解度等に合わせて課題に取り組む場面」の設定や、「学習の中でICTの使用は勉強に役立つ」と回答した割合が全道・全国平均を大きく上回った。ICTを活用した授業改善が学力向上につながったと言える。

 蒔田指導主事は、ICTの活用が進んだことを「学年・学級・教科等の枠を越えて学び合うなど、学校全体でICTを活用した授業改善に臨む姿勢が背景にある」と指摘する。

 一方、国語「書くこと」は、道内の傾向と同様に課題が見られた。ある関係者は「ICTを進めるだけではなく、アナログとの均衡も重要」と指摘。他教科においても作文の時間を設けるなどして「手書きとタイピングの得意・不得意に合わせた授業にすることが改善につながる」と説いた。

( 2023-12-20付)