療養中児童生徒の教育保障検討会議 事業の趣旨の周知を 同時双方向型授業生かし 道教委( 2024-02-29付)
道教委は21日、オンラインで「病気療養中等の児童生徒に対するオンデマンド型の授業に係る調査研究事業」教育保障検討会議を開いた。研究推進校の取組をもとに、病気療養中等の児童生徒が在籍する学校の教育保障の取組の改善・充実に向けて協議。構成員からは、病院で同時双方向型の授業が行える同事業の趣旨を学校や保護者、病院に一層広める必要性などが指摘された。
事業は、令和2年から3年間実施してきた文部科学省委託事業「高校段階における入院生徒に対する教育保障体制整備事業」の後継事業として本年度から実施しているもの。ICTを活用した遠隔教育による教育保障を全道規模で一層充実を図ることをねらっている。
事業の推進に当たり、病気療養中等の生徒が在籍し、希望する道立高校を研究推進校に指定するとともに、手稲養護学校三角山分校を研究協力校に、当該生徒が入院または通院する病院を協力病院に指定。義務教育段階の事業では、手稲養護学校三角山分校を研究推進校として、訪問教育学校におけるオンデマンド型授業配信等の研究を進めている。
本年度の会議には、研究推進校や事業検討委員ら約60人が参加した。
はじめに、道教委高校教育課の鎌田康平主査が高校段階の病気療養中等の生徒に対する遠隔教育の要件緩和や事業概要などを説明。平成27年4月の学校教育法施行規則の改正に伴い、「メディアを利用して行う授業」が制度化され、全ての高校において同時双方型のオンライン授業が実施できるようになったことなどを伝えた。
また、次年度の研究の方向性について、オンデマンド型授業の実施に向けた課題の克服も含めオンデマンド型授業の効果的な実施方法・評価方法の実践研究に力を入れて取り組む考えを示した。
続いて、研究推進校4校が同時双方向型の授業、オンデマンド型の授業の実施状況等について報告した。
推進校からは「同時双方向型の授業を実施する際に、対象生徒が機械の操作に苦慮していた」「演習の時間など同時双方向型の授業では困難な場面もあった」「オンデマンド型の授業用教材を作成する教員の負担が大きい」などの課題が挙がった。
一方、成果には「本人の体調に合わせて学習できるオンデマンド型の授業は非常に効果的だった」「本人の状況や同時双方向型の授業の実施に向けた環境の整備などの情報を、教員間で共有することができた」「生徒・保護者に経済的負担をかけずに学習機会を保障するとともに、学びの質を担保することができた」などの声が寄せられた。
このあと「病気療養中等の生徒に対する教育保障の充実に向けて」をテーマに協議。うち話題に上がった「病気の生徒や保護者に情報が届くようにする手だて」について、構成員から「ソーシャルワーカーの役割が重要なので、病院内での遠隔授業の実施方法を生徒や学校、保護者に説明するなどして病院とのつながりを深めてほしい」「病院によって、同時双方向型の授業やオンデマンド型の授業を受ける環境が異なるので、対応を統一させてほしい」「学校・保護者、病院への周知を偏ることなくバランス良く進めてほしい」などの意見が上がった。
( 2024-02-29付)