【解説】教職調整額 20%以上必要
(解説 2024-04-23付)

 今回の審議のまとめ(素案)で今後の教員の処遇改善と働き方改革の一定の道筋が示された。各施策の実現に当たっては財政当局との折衝が最大のハードルになるが、例年6月ごろに経済財政諮問会議で決定する骨太の方針で明らかになることが予想される。 

 特別部会の議論を振り返ると、時間外勤務手当の支給に関しては高度専門職である教師の職務性、現在の管理体制で管理職が個別に承認する困難さ、現行の給与制度による効果の疑問など否定的意見が相次いだ。超勤4項目の対象を拡大する案もあったが、時間外勤務増加につながる懸念もあり、現状の給特法の枠組みを維持しつつ、教職調整額の引き上げ、働き方改革、定数改善に一体的に取り組む方向でまとまった。

 教職調整額の引き上げに関して委員は「一定の前進」と評価する一方、時間外在校等時間が小学校で41時間、中学校で58時間となっている現状から「20%以上まで引き上げるべき」と意見。また「将来の超過勤務時間を20時間に抑える強い意思を示すのであれば、早急に20時間以内とするロードマップも示す必要がある」と指摘した。

 職務級の新設は平成21年度に主任教諭制度を導入する東京都がモデルとなる。キャリアプランの明確な目標にもなることからモチベーションや経営参画意識の向上などの効果が期待されており、国が一律に法令上の位置付けを図るのではなく各地域・学校が柔軟に対応できる仕組みとする。

 特別な支援が必要な児童生徒が増加する中、通級指導の担当教員の基礎定数改善を求める声も。学級担任の手当増に関し、小学校のチーム担任制や中高の副担任・担任が連携・協働する体制でマイナスに働く懸念もあり、担任に過度に依存しない体制や仕組みを構築する重要性が指摘された。

(解説 2024-04-23付)

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