【解説】夜間中学をめぐる動き

（解説 2017-11-21付）

　国の「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」がことし二月施行された。学齢期を経過しており、小・中学校などでの就学機会が提供されなかった人の中に、その機会提供を希望する人が多いことを踏まえ、すべての地方公共団体に、夜間中学における就学の機会提供などの措置を講じることが義務付けられた。地方公共団体では、夜間中学を新たに設置すること、設置済の場合は対象生徒の拡大を図ることなどが求められている。

　文部科学省は三月に基本指針を策定。すべての都道府県に、少なくとも一つは夜間中学等が設置されるよう、準備の支援や協議会の設置・活用などに取り組むことを盛り込んだ。

　基本方針では、多様な生徒の受け入れも提示。戦後の混乱期の中、様々な事情によって義務教育未修了のまま学齢を超過した義務教育未修了者に加え、本国で義務教育を修了していない外国籍の人や、不登校など様々な事情から実質的に十分な教育を受けられないまま学校の配慮などによって卒業し中学校などで学び直すことを希望する人を受け入れることが期待されているほか、不登校となっている学齢生徒の受け入れが可能なことも示した。

　また、学校教育法施行規則を一部改正し、夜間中学の設置などを促進するため、実情に応じた特別の教育課程を編成できるよう制度を整備した。

　道教委の調査によると、道内にはことし十月一日現在、自主夜間中学が四校ある。自主夜間中学は、卒業しても中学校卒業とならないが、公立夜間中学では中学校の卒業資格を得て、高校などへの進学が可能。

　道内自主夜間中学の生徒には、「通いたい」理由として、学び直しのほか、高校入学の希望を挙げる人が一定程度みられる。

(解説 2017-11-21付)