道議会質疑 文教委員会(6月4日)( 2024-08-29付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼佐々木大介委員(自民党・道民会議)
▼広田まゆみ委員(民主・道民連合)
【答弁者】
▼山﨑義一生涯学習推進局長
▼出分日向子教育政策課長
▼伊藤直人社会教育課長兼生学習推進センター所長
▼大久保北斗総務部学事課学務調整担当課長
◆社会教育施設の宿泊税の考え方
Q佐々木委員 道では、観光振興に係る新税、いわゆる宿泊税の導入に向けた検討が進められている。
今回、道から示された新税の考え方では、課税免除となる場合は、修学旅行等となっているが、ネイパルなどの社会教育施設での宿泊は課税の対象となるのか。道教委の現状認識を伺うとともに、道教委は、新税における社会数育施設の取り扱いについて、どのような協議や情報共有を行ってきたのか伺う。
A伊藤社会教育課長兼生涯学習推進センター所長 新税の課税対象について。このたび取りまとめられた、新税の考え方においては、課税の対象として、旅館業法の許可を受けて営む旅館、ホテルまたは簡易宿所と示されていることから、ネイパルなど、旅館業法の許可を受ける社会教育施設も課税対象に含まれると聞いている。
このため、道教委においては、各ネイパルの指定管理者と情報を共有し、施設運営への影響などについて意見交換するとともに、一般の宿泊施設と設置目的が異なる社会教育施設については、新税の徴収対象外とするよう、知事部局からの意見照会に回答しているところである。
Q佐々木委員 ネイパル以外も道内には道立施設も含めて社会数育施設があると思うが、道内では、どのような施設が対象となるのか伺う。
A伊藤社会教育課長兼生涯学習推進センター所長 道内の対象施設について。主に、宿泊可能な青少年教育施設が対象となり、道立では、ネイパル6施設、市町村立では、少年自然の家や青年の家などの青少年教育施設のほか、生涯学習センターなど社会教育施設のうち、利用者から宿泊料を徴収する施設も対象となる。
Q佐々木委員 ネイパルなどの社会教育施設は、低廉な価格で宿泊ができる施設であって、宿泊料金における課税割合は大きいと考える。新税の検討においてネイパル等の指定管理者からはどのような声があるのか伺う。
A伊藤社会教育課長兼生涯学習推進センター所長 指定管理者の声について。ネイパルの指定管理者からは「そもそも、青少年教育施設は、観光目的で設置されておらず、課税対象とすべきではない」「宿泊料金が2万円未満の場合に一律100円という税率は、施設利用者の理解が得られないのではないか」「宿泊税を上乗せすることが利用者減につながり、学習活動の支援、促進という教育機能を生かせなくなるおそれがある」といった声が届いている。
Q佐々木委員 社会教育施設という目的の観点上、様々な懸念がある。幅広い世代の学習活動を支援する社会教育施設として、その公益性の観点からも税の賦課には十分な検討が必要と考える。道教委として、新税における社会教育施設の取り扱いについて、今後どのように対応していく考えが伺う。
A山﨑生涯学習推進局長 今後の対応について。道教委としては、青少年教育施設などの社会教育施設は、子どもたちや地域住民の自然体験や生涯学習の場として、自治体の条例に基づき設置される教育機関であり、一般の宿泊施設と設置目的が異なることから、新税の取り扱いについては、施設指定管理者の声や道民の意見も十分に踏まえ、慎重に検討する必要があると考えている。
引き続き、公立社会教育施設に対する新税の課税については、設置目的に沿い、利用者の理解が得られるものとなるよう、知事部局と協議していく考えである。
◆教育大網の改定
Q広田委員 5月13日に道総合教育会議があり、道総合教育大綱について、7年3月をめどに改定する想定でスケジュールなどが確認された。
道教委および道として、こども大綱に示された新たな子ども政策の基本理念について、どのように認識しているのか伺う。
また、経済格差や地域間格差が、子どもの体験、学びの機会や、進路決定の選択肢の格差にもつながっている状況を、広城自治体の道として改善していくための具体的な施策が、大網の見直しに呼応して必要だと考える。今後の庁内議論をどのような視点で、どのように進めていくのか伺う。
A出分教育政策課長 子ども政策の基本理念等について。こども基本法においては、全ての子どもが尊重されることや、教育を受ける機会が等しく与えられることなどが子ども施策の基本理念として掲げられているところである。
また、本法律に基づき、こども大綱においては、子ども、若者を権利の主体として認識することや、切れ目なく福祉的、教育的支援を行うことなどの基本的方針が示されており、これらの方針に基づき、子ども等が自立した個人として等しく健やかに成長し、身体的、精神的、社会的に幸せな状態で生活を送ることができる「こどもまんなか社会」の実現を目指すものと認識している。
A大久保学事課学務調整担当課長 こども大網の認識と総合数育大網政定の進め方について。昨年4月に施行されたこども基本法では、全ての子どもが、個人として尊重され、差別的取り扱いを受けないようにすることや、教育を受ける機会が等しく与えられることなど、子ども施策の六つの基本理念が揚げられている。
また、国のこども大綱については、大人が中心となっている社会の形を「こどもまんなかへ」と変えていくといった大きな方向性が示されており、子どもたち一人ひとりを大切な存在として、社会全体で応援するという機運を高めていくことが重要と認識している。
総合教育大網の改定に当たっては、国の教育振興基本計画に加え、こうした、こども基本法、こども大綱を踏まえ、学びと育ち、両方の政策の緊密な連携を図るため、道の「北の大地☆子ども未来づくり北海道計画」の策定と相互に連携するとともに、その他、道の各種計画や施策との整合性、社会情勢の変化など、道教委や関係部局からも意見を伺った上で、北海道総合教育会議において、検討を進めていく。
Q広田委員 北海道の未来に向けた学習、人材育成の目標や施策の根本的な方針を、この機会にしっかり議論していただいて、つくって終わりではなく、道庁内はもとより、各自治体、地域などにも共通言語となるような総合教育大綱にすべきと考えるが、いかがか伺う。
A大久保学事課学務調整担当課長 総合教育大綱の改定について。大綱は、地方教育行政の組織および運営に関する法律に基づき、本道の教育、学術および文化の振興に関する総合的な施策について、その目標や施策の根本となる方針を定めるものであり、総合教育会議における道教委との協議を経て定めるものである。
このたびの大綱の改定に当たっては、道内市町村や関係団体へも意見照会するほか、パブリックコメントを実施して広く意見を聴取し、基本方針や取組の方向性に明記すべき事項について反映するとともに、総合教育会議において大綱の策定に関する協議調整を重ねながら、道としての教育政策に関する方向性を明確化できるよう取り組んでいく。
Q広田委員 こども基本法の施行に当たって、総務部においては行政基本条例、総合政策部においては地域振興条例において、例えばニセコ町の自治基本条例のように、道民意見の聴取という項目からさらに特出しをして、子どもや20歳未満の若者の意見を聴くことを明記するべきであると、総務部、総合政策部ともこの間、道議会で議論させていただいたところ。
私としては、先ほど例示したような課題の洗い出しの議論を、ワークショップなどの方式で、各振興局、地域段階などでも行い、179市町村ある本道においては、振興局単位での地城振興ビジョンみたいなものが策定されるのと同時に、振興局単位での教育大綱的なものがあっても良いのではないかと考えるが、いかがか伺う。
A大久保学事課学務調整担当課長 振興局における教育推進について。現在の大網では、ふるさと教育の充実や地域創生の視点を踏まえた特色ある高校づくり、地域の特色を生かした多様な体験活動の推進などを基本方針の中の取組の方向性として揚げており、振興局では、市町村や教育局などとも連携しながら、高校生が地域の方々と一緒に地域活性化に向けた提案を行う事業やふるさとへの愛着、地域への貢献意識の醸成につながる取組などを展明してきたところである。
今後とも、大綱の趣旨や改定に当たっての考え方などについて、各振興局と共有し、地域の実情に応じた取組が推進されるよう努めていく。
Q広田委員 これまで道でも進めてきた地学協働やチーム学校など、開かれた学校づくりや、学校を応援する地域づくりが重要であること、それは、道教委や学校だけではできないことを、総合教育大網の中に明確に記載すべきであると思うが、道教委としての所見を伺う。
A伊藤社会教育課長兼生涯学習推進センター所長 学校と地域の連携協働の推進などについて。現行の総合教育大網において、学校と地域の連携協働の推進については、基本方針である「子どもの学びと成長の環境をえる」の取組の方向性として位置付け、地域と学校が未来を担う人材育成の重要性を共有し、共に活動をつくり上げていくための環境をつくるため、コミュニティ・スクールの導入など、地学協働の取組を推進しているところ。
道教委としては、地域と学校が目指すべき教育ビジョンを共有し、目標の実現に向けて連携協働を進めることが重要であると認識しており、新たな総合教育大綱の策定に当たっては、前年度策定した、道教育推進計画において「地域と学校の連携・協働の推進」を施策項目として位置付け、行政と学校、地域住民、企業等が連携して取組を推進することとしていることなどを踏まえ、知事部局とも調整しながら検討を進めていく。
Q広田委員 総合数育大綱に盛り込む事項として、私としては、道がまさに「こどもまんなか社会」をつくるリーダーシップを果たすことが明確になるような、より実効の上がる項目を1項目でも盛り込むべきと考えるが、現時点で、どのような事項を想定しているのか見解を伺う。
A大久保学事課学務調整担当課長 大網における基本方針などについて。現在の大綱は、本道の子どもたちに、生まれ育った環境に左右されず、夢や希望に向かってチャレンジしてほしいという知事の思いを込めて策定したものであり、子どもの学びと成長の環境を整えることなど、四つの基本方針のもと、これらを推進するため、各施策に係る取組の方向性を示している。
大網については、対象期間を設けず、関連する各種計画の見直し時期などにおいて、教育を取り巻く環境や社会情勢などの変化を踏まえ、必要な見直しの検討を行うこととしており、昨年6月に決定された国の教育振興基本計画や、こども基本法、こども大網を踏まえ、このたび、学びや育ち、両方の政策の緊密な連携を図る観点で、大綱を改定することとしたところ。
今後、総合教育会議の協議はもとより、庁内や市町村、関係団体などの意見を伺いながら、基本方針や取組の方向性に明記すべき事項について検討していく。
Q広田委員 総合教育大網の改定に当たって、道としてどのように、子どもたち、若者の意見を聞く場をつくるのか、現時点での考えを伺う。
A大久保学事課学務調整担当課長 子ども、若者からの意見聴取について。こども基本法における施策の基本理念として、子ども、若者の年齢および発達の程度に応じた意見表明機会と社会参画機会の確保、その意見の尊重と最善の利益の優先考慮が定められており、子ども施策を策定、実施、評価するに当たって、子ども、若者の意見を幅広く聴取して反映するために必要な措置を講ずることが、国や地方公共団体に義務付けられている。
このため、道では、各種計画等を策定する際には、子どもを対象としたパブリックコメントを実施し、子どもの意見を道の施策に反映させる取組を推進することとしており、このたびの大網の改定においても、パブリックコメントを実施し、子どもからの意見を反映させる予定としている。
( 2024-08-29付)