2定道議会予算特別委員会(7月7日)の質問・答弁概要(道議会 2015-09-10付)
二定道議会予算特別委員会第二分科会(七月七日開催)における中野秀敏委員(自民党・道民会議)、新沼透委員(北海道結志会)、藤沢澄雄委員(自民党・道民会議)の質問、および柴田達夫教育長、山本広海教育部長、杉本昭則学校教育監、梶浦仁学校教育局長、菅原行彦学校教育局指導担当局長、千葉俊文教育職員局長、馬橋功教職員課長、赤間幸人高校教育課長、岸小夜子義務教育課長、岩渕隆義務教育課教育環境支援担当課長、堀本厚健康・体育課長の答弁の概要はつぎのとおり。
【海外からの教育旅行の受入】
中野委員 六月十七日付の官庁速報の中に、観光庁と文部科学省は、日本の修学旅行に相当する海外の教育旅行を積極的に誘致するため、近く有識者会議を設置する方針を固めたと報道されており、二〇一六年度予算概算要求を見据え、秋までに検討結果をまとめるという。現在、日本には、年間約四万人の教育旅行生が訪れているということであり、二〇二〇年までには六万人に増やすという目標を国は掲げていると報道されたところであり、そういった観点からも、また、高橋知事は、外国人観光客受入三百万人と、公約でも大きく掲げている。
三百万人とはいうが、環境整備や、いろいろな問題、多くの課題があり、簡単に目標達成できるものではないと感じている。道教委として、しっかりと戦略をもつことが、知事の公約を達成できることだと感じているので、しっかりと教育長を中心に取り組んでいただきたいと冒頭申し上げる。
海外の高校生の教育旅行の受入については、国際交流の活性化や外国人来道者の拡大につながるものであり、今後も充実していくべきと考えるが、道教委は、こうした海外からの教育旅行の受入について、どのような認識をしているのか伺う。
赤間高校教育課長 海外からの教育旅行の受入について。グローバル化が進展する中、海外の高校生等が日本を訪れ、併せて、学校を訪問する「教育旅行」を受け入れることは、諸外国の人々と互いの歴史や文化、習慣等を理解し合い、異なる文化や生活習慣をもつ人々と協調して生きていく態度を育成する上で、意義があるものと考えている。
中野委員 海外からの教育旅行の受入については、本道において、これまでどういった状況であるのか伺う。
赤間高校教育課長 受入の状況について。道教委では、十六年度から、国が隔年で実施している「高校等における国際交流等の状況調査」を通して、道内の公立高校における学校訪問を伴う外国からの教育旅行の受入状況を把握しており、二十年度には、公立高校二十五校が、中国や台湾など十六の国や地域から、合わせて五百四十四人を受け入れた。
その後、二十三年度には、東日本大震災によって、二十六人の受入に減少したが、二十五年度には、十三校が、アメリカ合衆国や台湾など四つの国や地域から合わせて三百七十八人の受入を行った。
中野委員 現在、日本には四万人ということであるので、三百七十八人ということは、一%にも満たない状況。北海道としての目標が設定されていないが故に、こういった形になって表れているのではないかと思っている。長い期間にわたって、海外からの教育旅行を受け入れている状況だが、高校では、受け入れた際に海外の生徒とどのような活動を行っているのか伺う。
赤間高校教育課長 交流活動について。海外から訪れた生徒などとの交流活動としては、互いにそれぞれの国の日常生活や学校生活の様子を紹介し合ったり、訪れた生徒が自分の国の民族衣装や伝統玩具などの紹介を行っている。
また、互いの生徒が一緒に、書道や茶道、和食などの日本の伝統文化にふれる体験を行うなどの交流活動を行っている。
中野委員 今後も、海外から多くの学校を受け入れるとともに、受入を行う高校もさらに増やす必要があると思う。そのためには、これまでの受入や交流の様子を、ほかの受入を行っていない高校にも、積極的に紹介する必要があると思うが、このことについて、道教委はどのように取り組んでいるのか伺う。
菅原学校教育局指導担当局長 交流などの情報提供について。道教委では、二十二年度から、道教委のホームページに、「学校における国際交流事例」のページを設け、道内の高校をはじめ、小・中学校、特別支援学校における海外の学校との国際交流の様子を紹介してきている。
今後とも、海外からの教育旅行受入の成果等、ホームページの内容の充実を図るとともに、指導主事による学校教育指導等を通じて、積極的に情報提供していく。
中野委員 海外から北海道への教育旅行を希望している学校は、どのようにして、受入の意思のある道内の高校を見つけているのか伺う。
赤間高校教育課長 旅行の受入先の確保について。道内の高校と姉妹校提携を結んでいる学校が姉妹校に直接依頼して、受入意思のある高校についての情報を取得している場合や、姉妹都市を通して、同様の情報を取得している場合があるものと承知している。
このほか、海外の国際交流にかかわる団体が、道の国際交流部局等を通して、受入可能な高校の情報を得たのち、道内の高校に直接依頼するケースなどがある。
中野委員 現状は、それぞれの自治体が姉妹都市、あるいは、それぞれの交流のあるところを通じながら、受け入れている。雪を見て、スキーをして楽しんでいる。そういった感動をしっかり与えることが、リピーターとして将来、北海道に来ていただけると考える。高校、市町村教委は、なかなかかかわるのが難しいということがあり、道教委が、受入に関するいろいろな情報を取り寄せながら、市町村教委と高校との間をうまく取り持つ働きをしてほしいと思う。
それは本庁ではなく、それぞれの振興局や教育局の役目であり、自分の管内では受け入れることができない場合でも、近隣の管内で受け入れることができるような体制づくりをしっかりしていただきたいと思う。
海外からの教育旅行は、姉妹都市などで、受け入れているのが現状であるが、道教委として、海外からの北海道への教育旅行の受入に向け、今後、どのように取り組むのか伺う。
柴田教育長 今後の取組について。道教委としては、海外からの教育旅行の受入などの取組を広げていくことができるように、道の国際交流部局等と一層連携を密にし、道内への教育旅行を希望する海外の学校の情報を収集して、各学校に提供していく考えである。
また、より多くの学校が海外からの教育旅行を受け入れることができるよう、受入の成果等についても積極的に情報提供するとともに、新たに、道教委のホームページに、受入を希望する学校の情報等を掲載するとともに、委員からも指摘があったように、市町村との連携も一層強化しながら、海外からの教育旅行の受入体制の充実に努めていきたいと考えている。
― 指摘 ―
中野委員 それぞれの対策、政策を横断的な形で進めると答弁いただいているが、それが非常に重要であり、それをいかに行動に移していくかというしっかりとした連携がないことには、政策の実現というわけにはいかない。それぞれが互いに協力、連携をとりながら行っていただくよう指摘する。
【コミュニティ・スクール】
新沼委員 本定例会の補正予算で、道教委は、「地域の教育力強化総合支援事業費」を計上している。中でも、コミュニティ・スクールについて、国でも、教育再生実行会議の第六次提言において、地方創生を実現する教育の在り方として、コミュニティ・スクールをはじめとした学校と地域との連携・協働体制の構築による学校を核とした地域づくりの方向性について提言がなされた。
このことを踏まえて、中央教育審議会への諮問に、今後のコミュニティ・スクールの在り方やすべての学校のコミュニティ・スクール化への方策の検討が盛り込まれた。
コミュニティ・スクールについては、わが会派は、先の代表質問で質問したが、その詳細や普及について、いくつか質問する。
コミュニティ・スクールとは、どのような制度なのか、学校と保護者、地域住民の関係などが、どのように変わるのかなど、あらためてその内容について伺う。
岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 コミュニティ・スクールについて。学校や子どもたちが抱える課題や、家庭・地域社会が抱える課題を地域ぐるみで解決し、子どもたちの健やかな成長と質の高い学校教育の実現を目的として、十六年に「地方教育行政の組織および運営に関する法律」が改正され、保護者や地域住民等が学校運営に参画する、いわゆるコミュニティ・スクールとして指定することができるようになった。
このコミュニティ・スクールにおいては、教育委員会が学校運営協議会を設置し、委員に任命された保護者や地域住民が一定の権限と責任をもって、校長が示す学校運営の基本方針を承認したり、教育活動に意見を述べたりするなど、学校運営に参画をするものである。
新沼委員 十六年度の法改正において、地域住民が学校運営に参画し、地域が一体となった取組を進めてきているということだが、そのときからすでに、十年以上がたっている。
コミュニティ・スクールの制度を活用することによって、学校と地域の結び付きが強まり、加えて、学校が開かれ、教育活動が充実する制度と聞いた。国および本道におけるコミュニティ・スクールの現状と併せて、昨年からの増加の状況について伺う。
岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 指定の状況について。二十七年四月一日現在、全国では、小学校一千五百六十四校、中学校七百七校、合計二千二百七十一校が指定されており、昨年同期と比較し、小・中学校合わせて四百六十六校増加している。
本道では、小学校二十五校、中学校十校、合計三十五校が指定されており、昨年から、小・中学校合わせて二十九校増加している。
新沼委員 道はもとより、全国的にも、まだ進んでいる状況ではないと言える。
それでは、現在の国および本道のコミュニティ・スクールの導入の目標について伺う。
岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 目標について。国では、第二期教育振興基本計画において、二十九年度までに、全公立小・中学校の一割の約三千校をコミュニティ・スクールに指定することを目標に掲げており、道教委としても、道教育推進計画において、同じく二十九年度までに、全道の公立小・中学校の一〇%に当たる約百四十校を目標に掲げている。
新沼委員 国と道の現状と目標について伺ったが、この両者には、大きなかい離がある。
コミュニティ・スクールについて、国の動きが加速している理由には、学校と地域が連携・協働する方策としてコミュニティ・スクールが有効であり、学校と地域の双方が充実することは、将来を担う子どもたちの成長にとって、大変良い影響があるからだと言える。
しかしながら、国および本道においては、わずか小・中学校の一割という目標に照らしても、現状は遠く及ばない状況であり、このような有効な制度がなぜ進まないのか、疑問に思っている。
コミュニティ・スクールの導入が進まない原因として、どのようなことを把握されているのか伺う。
岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 導入が進まない理由について。文科省の調査によると、すでに地域との連携ができている、学校評議員制度など類似制度との違いが不明確、学校運営協議会の成果が不明確、教員の任用に対して出される意見への懸念などがあり、道内においても、同様な意見があることを把握している。
新沼委員 答弁では、学校評議員制度などの類似制度との違いの不明確さや、教職員の任用、いわゆる人事について、学校運営協議会から学校側に意見を出されることなどに対するいくつかの懸念があるようだ。このことについて、道教委として、どう考えているか。
岩渕義務教育課教育環境支援担当課長 類似制度との違いなどについて。学校評議員制度は、学校教育法施行規則に基づき、校長の求めに応じて、学校評議員が個人としての立場で学校に関する意見を述べるものであり、校長や教育委員会の学校運営に直接関与するものではない。保護者や地域住民が一定の権限と責任をもって、校長が示す学校運営の基本方針を承認するなど、学校運営に参画するコミュニティ・スクールの制度とは異なるものである。
また、教職員の任用については、法律上、学校運営の基本方針に対する承認とは異なり、「学校運営協議会は当該校の職員の採用その他の任用に関する事項について意見を述べることができる」としており、その対応も任意の取扱いとなっているものである。
新沼委員 学校と地域が連携・協働して学校運営を進める制度である。学校と地域の双方が充実する制度にもかかわらず、いろいろな誤解や懸念があるようだが、実際に現在、コミュニティ・スクールを導入している学校や地域などでは、具体的にどのような成果があると認識しているのか伺う。
梶浦学校教育局長 コミュニティ・スクールの成果について。文科省の調査によると、導入校では、学校と地域が情報共有するようになったこと、特色ある学校づくりが進んだこと、学校支援活動が活発になったことなどの認識が多く示されており、そのほか、地域の教育力が上がったこと、いじめや不登校などの生徒指導上の課題が解決したこと、学校が活性化したことなどの成果も挙げられている。
こうしたことから、コミュニティ・スクールは、地域住民が学校と同じ目線で子どもの成長を支え、学校は地域の信頼を得て充実した教育活動を推進するなど、学校教育の充実はもとより、学校を核とした地域づくりについても有効な手立てであると認識している。
新沼委員 地域が学校の応援団となり、学校の教育活動が充実すること、そして、学校を支える地域自体の教育力が向上することは、地方創生を実現する教育の一つのモデルとなり得るものであり、コミュニティ・スクールの重要性はますます大きくなるものと考える。
地方創生の観点から、各学校と地域が、いち早くコミュニティ・スクールとして連携・協働を進め、学校と地域がそれぞれの責任をもって地域の子どもたちを育てていくことが、必要であると強く考えている。
現状を踏まえた上で、コミュニティ・スクールの普及にかかわる道教委の今後の取組について伺う。
杉本学校教育監 今後の取組について。コミュニティ・スクールは、学校の教育活動の充実はもとより、地域の教育力の向上を図るなど、学校を核とした地域づくりに有効な手立てであると認識している。
道教委では、これまで道立教育研究所で実施している学校経営力研修講座の中に、コミュニティ・スクールにかかわる研修を取り入れることや、文科省が委嘱したコミュニティ・スクール推進員「CSマイスター」を活用した説明会を各地域で実施し、コミュニティ・スクールについての理解が深まるよう取り組んできた。
こうした取組に加えて、本年度からは、全道を四つのブロックに分け、指定されている学校の成果等を情報交換したり、導入促進のための課題解決を図る協議会を開催するほか、文科省職員およびCSマイスターを招へいするなどして、すべての教育局において、制度の周知を図る説明会を開催するなど、コミュニティ・スクールの導入促進に向けた取組を強化していく考えである。
【職員団体について】
藤沢委員 わが会派はこれまで、北教組の定期大会議案書や機関紙などの内容に、見過ごすことのできない内容の記述があることを取り上げ、道教委の見解をただすとともに、道教委として不適切と考えられるものは、訂正ならびに削除するよう指摘してきた。
これらの内容は、十数項目にのぼっている。一定程度は、これまでに大会議案書から姿を消したものもあるが、ことしの議案書にも、依然として問題のある記述が見受けられる。
これらの中から、数点を取り上げ、道教委の見解を伺う。
まず、教員の人事について。議案書には、「自宅からの通勤が不可能な地区への一方的な異動など、要項に反する不当な事例について、厳重に抗議し撤回させた」と述べられているが、まず、このようなことがあったのか伺う。
馬橋教職員課長 北教組の定期大会議案書について。このたびの議案書においては、「抗議によって人事異動を撤回させた」旨の記述があるが、教職員の人事異動は、管理運営事項であり、職員団体の求めによって行うことはあり得ず、そのような事実はない。
― 再質問 ―
藤沢委員 当然そうである。そのような事実がない、つまり、うそが書かれている。これは、見過ごすことができないと思う。
このような、ありもしないうその記述こそ、「厳重に抗議し、撤回させる」べきだと考えるが、見解を伺う。
千葉教育職員局長 今後の対応について。事実と異なる議案書の記述によって、学校運営や人事異動への影響が懸念されるから、北教組に厳重に抗議し、その是正について、強く申し入れていく。
― 指摘 ―
藤沢委員 議案書には、「この制度を形骸化させる」とまで堂々と書いている。本当に腹だたしく思うし、ぜひとも、道教委の厳しい対応をよろしくお願いしたい。
藤沢委員 議案書では、指導主事の一方的な訪問、指導を許さない取組を強化し、「呼ばない・呼ばせない」学校体制を確立するという、スローガンみたいな形になっている。
しかし、指導主事の学校訪問指導は、職員団体があれこれ注文を付けられるものではないと思う。見解を伺う。
岸義務教育課長 指導主事の学校訪問について。地教行法第四八条には、「都道府県教委は市町村に対し、必要な指導、助言または援助を行うことができる」ことが定められており、指導主事の学校訪問の日程や実施内容等については、校長や市町村教委の権限と責任のもと、決定される管理運営事項である。
道教委としては、今後とも、市町村教委の協力を得ながら、指導主事が市町村立学校を訪問し、指導助言を行っていく。
― 意見 ―
藤沢委員 議案書には、指導主事は、あくまで要請訪問であると書かれている。今の答弁で、それはうそだということをしっかり確認しておきたい。
藤沢委員 児童生徒の健康に関する問題について。北教組は、子どもの「命と健康」を守ると言いながら、道教委が行っている子どもの健康や安全を守る取組に対して、ことごとく反対と言っている記述がみられる。
一つは、食物アレルギーに関する記述。道教委が行った昨年の調査によると、給食を実施している学校で、食物アレルギーのある児童生徒の割合というのは八・七%ということだが、昨年は、美幌町で二十三人の小・中学生に、学校給食のリンゴによるアレルギー反応が起きている。
道教委は昨年十月に、市町村教委に対して、アレルギー対応のマニュアルを作成することなどについて通知をしたと承知している。北教組は、その撤回を求めている。なぜ撤回を求めているのか、また、道教委は、それをどのように受け止めているのか伺う。
堀本健康・体育課長 学校における食物アレルギー対応について。北教組の議案書では、「管理指導表の提出を強要し、学校や栄養教職員に子どもへのアレルギー対応を求めるもので多くの問題がある」としている。
国の通知では、学校での管理を求める児童生徒に対し、学校生活管理指導表の提出を必須にするという前提のもとで、食物アレルギーへの対応を行うこととしており、道教委としても、こうした国の考え方に基づいて、昨年十月に「学校における食物アレルギー対応の進め方」を策定し、保護者が学校に特別な配慮や管理を希望する場合は、主治医等の診断に基づき作成される管理指導表を用いて、保護者と学校が、実際の取組に必要なアレルギー疾患に関する情報を的確に把握する必要があるとした。
道教委としては、今後においても、この「進め方」に基づき、学校や市町村教委において、安全を優先に適切な対応が行われることが重要と考えている。
― 指摘 ―
藤沢委員 現場に責任を押しつけないでくれと言っているようにしか感じられない。現場は、きっちりとマニュアルにのっとって対応することが大事と思う。
藤沢委員 AEDについて。AEDは、突然の心臓停止の場合に有効とされ、多くの公共施設や企業、学校に設置されている。学校では、校内のアクシデントに備えるだけではなく、児童生徒が使い方を学ぶことによって、将来、必要な場面に遭遇したときに、的確な操作をすることによって、人命救助に貢献できることも期待される。
しかし、北教組は、「管理責任を明らかにさせる」「一方的に導入させない」などの取組を行うとしているが、どのように受け止めているか。
堀本健康・体育課長 学校におけるAEDの設置について。AEDは、心肺停止者の救命に有効な設備であり、学校の設置者である教育委員会の判断によって、校長の適切な管理のもとで設置されている。
AEDの設置状況としては、ことし三月一日現在、小学校では、九八・七%であり、中学校、高校および特別支援学校においては、全校で設置されている。
道教委としては、AEDの設置および適切な管理と併せて、事故が発生した際の的確な対応について、引き続き、指導・助言に努めていく考えである。
藤沢委員 北教組の議案書では、学校での集団検診などの廃止を主張している。結核の検診も含めてであるが、この件について見解を伺う。
堀本健康・体育課長 学校における健康診断について。健康診断の目的は、医学的見地から個人および集団の健康状態を把握するとともに、その問題点を明らかにし、保健管理や健康教育等を通して、個人および集団の課題解決に役立てるために行うものである。
健康診断の実施については、学校保健安全法において、「毎学年定期的に、児童生徒等の健康診断を行わなければならない」こととされており、検査項目は、「結核の有無」を含めて、学校保健安全法施行規則に規定されている。
また、同規則においては、検査結果に応じ、医療や検査を受けるよう指示するなどの事後措置をとることとされている。
道教委においては、健康診断が法令に基づき適切に実施されるよう、引き続き、学校および市町村教育委員会に、指導・助言していく。
藤沢委員 選挙運動の問題について、わが会派は、これまでもたびたび指摘してきた。しかし、依然として、来年の参議院議員選挙の候補者を、実名を挙げて応援するとか、道選挙区では、組織推薦候補の完勝を期し、現職と退職者が一致して総力を挙げて戦わなければならないというような記述がある。
現職者の選挙活動について、あらためて道教委の見解を伺う。
山本教育部長 教育公務員の選挙運動について。教育公務員については、教育の政治的中立性を図るため、公職選挙法によって教育者の地位利用の選挙運動が禁止されており、併せて、教育公務員特例法第一八条によって適用となる、国家公務員法およびこれに基づく人事院規則によって、政治的行為に一定の制限がなされている。仮に、法令等に違反する行為があった場合には、厳正に対処していく考えである。
藤沢委員 ことしの議案書から問題と思われる項目の一部を取り上げて、見解を伺ってきた。教育長は、初めての教育行政ということだが、このような北教組の活動をどう受け止めているのか、所感を伺う。
柴田教育長 北教組の活動に対する認識について。私としては、職員団体が、その本来の目的に沿って、法令を踏まえ、適正な活動を行うことが大切であり、また、そのことが基本であると考えている。
しかしながら、北教組の大会議案書において、ただいま、委員から指摘のあった項目のほか、事実と異なった記述等もみられることは、教育活動への影響はもとより、本道教育に対する道民への信頼を損ねるものであり、誠に遺憾である。
藤沢委員 わが会派が代表質問でも伺ったが、かつて存在したものの、すでに破棄された道教委との確認や回答事項などが現在も有効であるかのように主張しているなど、事実と相違する点については、昨年段階で十三項目が残されていたが、依然として解消されていないように見受けられる。
教育長は代表質問に、是正に向け強く申し入れるなど、き然とした姿勢で対応すると答えていた。
ただいま申し上げたものも含めて、北教組の不適切な活動に厳しい姿勢で臨むべきと考えるが、どのように対応する考えか伺う。
柴田教育長 今後の対応について。道教委では、現在、本年度の大会議案書の精査を行っており、今後、議案書全般についての詳細な確認を踏まえ、前年度から是正されていない記述はもとより、事実と異なる新たな項目について、厳重に抗議し是正を申し入れることとしている。
さらに、各市町村教委および学校長に対しては、議案書に記載された実態のない「道教委確認」や本来の趣旨と異なる記述に対する道教委としての考え方など、正確な情報を周知していきたいと考えている。
私としては、議案書の不適切な記述が、学校運営や教育活動に支障をきたすことがないよう、その是正に向けて、今後とも強く求めていく考えである。
― 指摘 ―
藤沢委員 これは、まだまだ一部である。これからすべての部分を精査していただけるということで、その結果をもとに、わが会派が文教委員会等でいろいろ質問をさせていただくと思う。私も見た限りでは、例えば、きょうの質問ではなかったが、いまだに卒・入学式の取組で道教委の指導とは全く正反対のことが書かれている。昔からあったが、ピアノ伴奏の強制や紅白幕など儀式的要素を排除するとか、新しいことでは、式と送る会の二部構成とするなど、これまでと違う闘争というか変化球を投げてきたという感じがしている。
また、古くから出ていることでは、日の丸、君が代で、行政が教育に不当に介入するという表現がある。マナー、しつけは、親から子どもに強要あるいは教え込むものであるから、こういうところに強制という言葉はなじまないと考えている。
先ほど選挙活動のことにもふれられた。公職選挙法が変わるということで、学校教育現場がどうなっているのか、これからどう変わっていくのかを心配しなければならないと思う。
もちろん現場の先生方に、決して萎縮することはないと思っている。ただ、バランス感覚をもって、広く子どもたちに考えさせるというスタンスだけは、ぜひともとっていただきたい。
(道議会 2015-09-10付)
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