新たな学校モデル構築へ協議―東神楽町教委 指導主事単独配置を提案 旭川大、兵庫教育大が調査踏まえ
(市町村 2016-02-25付)

東神楽町教委学校モデル構築協議
小中連携を視野に入れた学校組織の見直しなども提案

 【旭川発】東神楽町教委は八日、町役場で第三回首長部局等との協働による新たな学校モデルの構築事業推進協議会(飯田勝彦会長)および研究報告会を開いた=写真=。同事業の調査研究を受託している旭川大学と兵庫教育大学の担当者が調査結果を報告。その上で、新たな学校モデルの構築に向け、町単独の指導主事の配置や小中連携を視野に入れた学校組織の見直し、学校裁量権の拡大などの取組を提案した。

 文部科学省委託事業の同事業は、いじめや不登校等の子どもの問題や子どもを取り巻く環境、地域特有の直面する課題等の解決を図るもの。首長部局等や地域・関係機関・家庭が連携した学校支援体制(プラットホーム)を構築。支援体制を機能させるための実践的対策プログラムを策定し、実施することをねらいとしている。

 町では、本年度一年間の事業委託を受けている。学校支援体制の構築等の調査研究を、旭川大と兵庫教育大に依頼。地域住民と教職員の意識調査などを進めてきた。

 約四十人が出席した当日、開会式のあと、旭川大学の栗田克実准教授と今西良輔助教、兵庫教育大学の日渡円教授と小西哲也教授が調査研究の結果を発表した。

 栗田准教授は町内の小・中学生へのアンケート調査結果について、小学四年生と中学二年生を除き、自己肯定感が高い傾向にあることを報告した。今西助教は町内の保護者へのアンケート調査結果を紹介。父親と母親のうち、全体の二~三割程度が子育てに悩みを抱えていることを示した。

 課題解決に向けて、栗田准教授は「子どもや家庭の福祉的問題に向き合い、問題を予防できる学校システムの構築」「学校と地域住民、役場の垣根を取り外す地域志向教育プロジェクトの実践」を提唱した。

 そのため、道教委のスクールソーシャルワーカー(SSW)活用事業に参画し、社会福祉協議会との連携を視野に入れたSSWの配置と活用を提案。SSWをより効果的に機能させるため、町単独の指導主事の配置、中一ギャップ解消に向けた小学校における中学校との合同学習の機会拡大を提言した。

 また、公民館の機能を学校に取り入れるなど学校を活用したコミュニティーの活性化、「学校ファンド(基金)」の設立による学校支援地域本部の財源確保などの必要性を挙げた。

 日渡教授は町民を対象としたアンケート調査から、地域住民が学校に対する信頼が高く、積極的に学校の教育活動に参加しようとする傾向が高いことを報告。一方で、児童生徒の学力や生徒指導上の課題を問題視していないことや、教職員が地域にかかわろうとする意識が低いことを紹介した。

 そのため、「地域に関心をもつ」「学校の情報は地域全体のものという認識に変える」「学校運営に地域の参画を求める」の三点を実行し、学校と地域の関係性を深めるよう呼びかけた。

 また、学校裁量権限の拡大と学校組織の見直しを提起。町全体で人事異動や学級編制を柔軟にできるようにするとともに、学校予算の配分・執行を学校で行うようにすることを求めた。

 学校組織の見直しについては、町内小学校四校および中学校一校を一つの学園とみなす構想(小中一貫教育)を提案。学校施設の開放、役場機能の一部学校への移管、学校を中心とした複合施設の設置を訴えた。

 水野和男教育長は「来年度はこれらの提案を受け、具体的な取組を進めたい。はじめはモデル的に実践し、恒常的なシステムへとつなげていければ」と期待している。

(市町村 2016-02-25付)

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