２９年度学校教育の重点　知・徳・体の調和など４点　冊子作成し全教職員に配布―札幌市

（市町村 2017-03-01付）

学ぶ力の育成や健やかな身体の育成についてのページを増やし内容を充実させた

　札幌市教委の二十九年度札幌市学校教育の重点がまとまった。「知・徳・体の調和のとれた育ち」「札幌らしい特色ある学校教育」「学校教育の今日的課題」「信頼される学校の創造」の四点を重点に据えたほか、「学ぶ力の育成」「健やかな身体の育成」等に向けた取組の施策を提示。全市立園・学校の教職員一人ひとりに冊子を配布するなど、学校全体が一丸となった取組を求めている。

　札幌市学校教育の重点は、幼児児童生徒の発達の段階を踏まえ、学校経営や教育課程の編成および実施、生徒指導等に生かすため、特に重点となる施策や教育内容を示したもの。毎年、冊子を作成し全教職員等に配布しており、重点を踏まえ、教職員が一丸となって創意工夫を凝らした特色ある教育課程の編成・実施および学校運営等に取り組むことを期待している。

　二十九年度は、重点として、「知・徳・体の調和のとれた育ち」「札幌らしい特色ある学校教育」「学校教育の今日的課題」「信頼される学校の創造」の四点を設定。

　冊子では、「知・徳・体の調和のとれた育ち」の中の学ぶ力の育成について、二十八年度版よりも二ページ増やして解説。学ぶ力の育成に向けた五つのポイントを提示しているほか、学校で五つのポイントを活用していく手順の例として、「目指す子ども像を五つのポイントから具体化し、目標として全教職員で共有する」→「これまでの取組による成果と課題を踏まえて、目標の達成に向けた具体的な改善策（取組）を考える」→「最も徹底して行う取組を焦点化し、“取組の最重点”として全教職員で共有し、実行する」の三点を挙げている。

　また、学ぶ力を子どもの姿で具体化した二十項目の共通指標を提示。学校と家庭が一体となって子どもの学習習慣・運動習慣・生活習慣づくりを支えるための指針「さっぽろっ子〝学び〟のススメ」についても紹介している。

　豊かな心の育成に向けては、「学校いじめ防止基本方針」に基づく、いじめに対する組織的対応の要点を提示。スクールカウンセラーの活用の一層の充実のほか、児童生徒が発するわずかなサインに気づき、相談の機会を設けるなどアウトリーチの手法による教育相談の実施等を求めている。

　健やかな身体の育成の解説については、二十八年度版と比べ二ページ増加。子どもに育みたい三つの力として、「学んだ力」「健やかな身体づくりへの意欲」「活かす力」を提示している。

　また、各学校が児童生徒の心身の健康の保持増進に向けて作成した「健やかな身体」育成プログラムを進めるに当たって、「校内における教職員間の共有」「教師と子どもとの共有」「学校間の共有」「学校と家庭・地域・外部人材との共有」の四つの共有の視点をもって取り組むよう求めている。

　「札幌らしい特色ある学校教育」では、中核となるテーマ「雪・環境・読書」について、発達段階に合わせた育ててほしい力を提示。学校図書館の利活用として、授業における様々な学習で活用するなど、課題探究的な学びを効果的に進める役割を示している。

　「学校教育の今日的課題」では、校種間連携や特別支援教育、人間尊重の教育等について提示。人間尊重の教育を推進していくのに当たり、「校種間の連携による連続性のある人権尊重の教育の推進」「教師自らの人権尊重の意識の向上」「子ども自身が自分を振り返り、人権尊重の意識の高まりに気づく手立ての構築」の三点を新たに提示した。

　「信頼される学校の創造」では、家庭や地域と連携して特色ある教育課程の編成と実施に努めるとともに、学校評価や学校支援ボランティア等を活用することを求めている。

(市町村 2017-03-01付)