３１年度札幌市学校教育の重点　発達への支援新設　防災教育推進も新たに記載

（市町村 2019-03-04付）

５つの重点や教育内容を示している

　札幌市教委は三十一年度札幌市学校教育の重点をまとめた。重点について、新学習指導要領で、特別な配慮を必要とする園児、児童生徒への指導の位置付けが変更となったことから、「子どもへの発達への支援」を新設したほか、より取組が伝わるよう「学校教育の今日的課題」の名称を「教科等の枠組を越えた教育」に変更。札幌らしい特色ある学校教育の取組が十年を迎えたことから今後の取組の方向性を示したほか、昨年の北海道胆振東部地震を受け、防災教育の推進などを新たに記載した。市教委では、全市立園・学校の教職員一人ひとりのほか、私立幼稚園など、教育にかかわる関係機関に冊子を配布。学校全体が一丸となった取組を求めている。

　札幌市学校教育の重点は、幼児児童生徒の発達の段階を踏まえ、学校経営や教育課程の編成および実施、生徒指導などに生かすため、特に重点となる施策や教育内容を示したもの。毎年、全教職員に冊子を配布しており、重点を踏まえ、教職員が一丸となって創意工夫を凝らした特色ある教育課程の編成・実施および学校運営などに取り組むことを期待している。

　三十一年度版では、重点に「札幌らしい特色ある学校教育」「知・徳・体の調和のとれた育ち」「子どもの発達への支援」「信頼される学校の創造」「教科等の枠組を越えた教育」の五点を設定した。

　内容について、「札幌らしい特色ある学校教育」では、取組が十年を迎えることから、より一層の充実を図るための重点項目として「幼・小・中・高のつながりを意識する視点」「発信」の二点を提示。幼・小・中・高のつながりを意識する視点では、地域・外部人材の効果的な活用や学校・校種間の連携など、取組を進めるための具体例を示している。

　また、各校のこれまでの取組成果から、「オリンピック・パラリンピック教育からのアプローチ」「教科等横断的な視点からのアプローチ」など取組の広まりや深まりへのヒントを記している。

　「知・徳・体の調和のとれた育ち」では、学ぶ力や豊かな心、健やかな体の育成に向け、それぞれ幼稚園や小学校、中学校、高校と発達段階に応じた目標や指導内容等を整理。学びの系統化を図ることで、市の学校教育が目指す子ども像の具現化を図ることとしている。

　「子どもの発達への支援」では、特別支援教育や不登校支援、帰国・外国人児童生徒等に対する教育の充実について提示。不登校児童生徒や障がいのある児童生徒および日本語指導が必要な外国人児童生徒等についての支援計画を一つにまとめる場合は、「サポートファイルさっぽろ」を基本形式として作成することを記している。

　「信頼される学校の創造」では、「教育の専門家として、実践的指導力や専門性の向上に、主体的に取り組む教員」など、市が求める教員像を提示。園や学校・家庭・地域が一体となって子どもの学習・運動・生活習慣づくりを進める指針の「さっぽろっ子“学び”のススメ」の活用のほか、学校の教育活動全体を通じた防災教育の推進について記載している。

　「教科等の枠組を越えた教育」では、進路探究学習や人間尊重の教育、国際理解教育、情報教育について提示。進路探究学習では、小・中学校、高校の発達段階におけるねらいや取組について紹介している。

(市町村 2019-03-04付)