教育振興基本計画を改定―札幌市教委　学ぶ力の育成など重点に

（市町村 2019-03-05付）

　札幌市教委は二月二十八日、市教育振興基本計画改定版を策定した。教育に関する施策を総合的・体系的に進めていくことを目指すもの。新たに後期の教育アクションプラン（＝後期プラン）を盛り込み、前計画の成果と課題を踏まえて「学ぶ力の育成」「安心して学ぶための支援」など九つの重要項目を設定している。三月中に改定版冊子や、概要版、計画への意見集が完成する見込み。完成次第、市立学校などに順次配布する予定だ。

　計画は、市立幼・小・中・高・中等教育・特別支援学校の学校教育および幼児から高齢者までの生涯学習全般を対象範囲とした教育に関する施策を総合的に示すもの。二〇一四年度から十年間を見据えた基本理念を示す「札幌市教育ビジョン」と、五年間で取り組む教育施策を示す「札幌市教育アクションプラン（前期・後期）」で構成している。

　前期プランの計画期間が本年度で終了となるため、二〇一九年度から五年間を計画期間とする後期プランを盛り込んだ計画改定版を策定することとした。　

　策定に向け、昨年六月に検討会議を設置し、計四回の会議を開催。また、本年度の総合教育会議で協議した。パブリックコメント、キッズコメント募集を経て、二月二十八日、寄せられた意見を参考にまとめた改定版案を札幌市教育委員会会議に提出。改定版を策定した。

　改定版では、前計画の教育ビジョンで示した市の教育が目指す人間像「自立した札幌人」と基本的方向性①自ら学び、ともに生きる力を培う学びの推進②多様な学びを支える環境の充実③市民ぐるみで支え合う仕組みづくり―を、現状においても適切とし、堅持した。

　後期プランでは、前期プランの施策展開を基本としつつ、成果と課題を踏まえ、重要項目を設定。基本的方向性①に対応する「“学ぶ力”の育成」「“健やかな身体”の育成」「命を大切にする指導の充実」「進路探究学習の充実」「札幌らしさを生かした学習活動の推進」「国際性を育む学習活動の推進」、基本的方向性②に対応する「生涯学習環境・体制づくり」「安心して学ぶための支援」、基本的方向性③に対応する「地域に開かれた園・学校づくり」の九項目を掲げた。

　重要項目のうち、「“学ぶ力”の育成」では「さっぽろ“学ぶ力”の育成プランの推進」「算数にーごープロジェクトの推進」など、「安心して学ぶための支援」では、「学校における教育相談体制の充実」「公立夜間中学の設置にかかる検討」など、「地域に開かれた園・学校づくり」では「緊急時における家庭等への迅速な情報提供」などを主な事業・取組として挙げている。

　また、後期プラン進行管理の参考とするための成果指標を設定。内容は前期プランと同様で、前期プランの成果指標の動向などを踏まえて目標値が設定されている。

　市教委では、改定版および概要版、パブリックコメントとキッズコメント計五百八件をまとめた意見集を三月中に作成する予定。完成次第、順次市立学校や市役所、各区役所などに配布する。

(市町村 2019-03-05付)