一歩踏み出す勇気を　いじめ防止へ人権教室　札幌柏中

（札幌市 2023-09-21付）

札幌柏中人権教室

　札幌市立柏中学校（佐野友美校長）は４、５、７日の３日間、同校で人権教室を開催した。札幌人権擁護委員協議会の日下部憲一さんらが来校し、映像教材を通していじめについて考えさせる授業を展開。「いじめは人権侵害」とのメッセージを伝えた。

　人権教室は、差別や偏見のない社会の実現に努めようとする道徳的実践意欲を育むとともに、人権意識の高揚を図ることがねらい。

　同校は、道徳の時間に位置付けて実施。全校生徒を対象とし、学年ごとに３日間に分けて行った。

　７日は３年生約１５０人が参加。１時間目は体育館に集合し、日下部さんが人権やいじめについて講義した。

　人権は「安心・安全・幸せ」がキーワードとなっていることを示した上で、新聞記事などからいじめの実情・実態を紹介。いじめは人権を侵害する行為であると強調した。

　それを踏まえ生徒たちは、映像教材「いじめ～一歩踏み出す勇気」を視聴した。主人公は、いじめの被害者を救いたいと思いながらも行動に移せないでいる傍観者。いじめを苦に自殺した級友に「何もできなかった」と後悔するいとこの話をきっかけに、一歩踏み出す様子を描いている。

　日下部さんが「映像を視聴してどのような感想を抱いたか」と問いかけて２時間目に移った。

　２時間目は教室に移動し、日下部さんをはじめとする４人の人権擁護委員が各学級で授業を行った。

　教材の内容を振り返りながら①いとこがいじめを苦に自殺した級友を回想するシーン②主人公が被害者を救おうと、仲間と協力して一歩踏み出した行動―の２点について感じたことなどを問いかけた。

　①について、生徒たちは「被害者を傷つけているという点では、加害者も傍観者も同じ」「勇気を出して声をかけることが大切だと感じた」などの声が上がった。

　②については「主人公の行動によって他の傍観者の背中を押した」「自分もいじめられるかもしれない恐怖があるのに勇気ある行動」などの考えを交流した。

　最後に、授業を通して感じたこと、考えたことを「私メッセージ」としてカードに記入。「いじめが怖くても傍観者にならない」「いじめで悩んでいる人の相談に乗ってあげたい」などいじめの根絶に向けた決意を表した。

(札幌市 2023-09-21付)