伝統楽器や舞踊楽しむ　札幌盤渓小　アイヌ文化体験

（札幌市 2023-09-20付）

札幌盤渓小アイヌ文化体験

　札幌市立盤渓小学校（髙屋敷よし子校長）の４年生２０人は１２日、札幌アイヌ協会によるアイヌ文化出前体験プログラムに臨んだ。伝統楽器や伝統舞踊を体験したほか、アイヌ語のあいさつを学習。アイヌ民族の誇りを尊重する意識を醸成した。

　市は、３年３月に第２次アイヌ施策推進計画を策定。アイヌ民族の歴史と文化の保存・伝承を目指し、各種事業を実践している。

　今回のプログラムは、市教委が「人権尊重の教育」推進事業として取り組んでいる体験的な学習に関する実践研究の一環でもある。

　この日は、自身がアイヌ民族である田中妙子氏ら札幌アイヌ協会から講師５人が来校。

　はじめの講話を聞いたあと、児童たちは事前に配布されていた口琴ムックリを用いて伝統楽器の演奏を体験。「ムックリを持つ手は地面と水平にして胸の前で固定する」「竹ひごひもを持った手は真横ではなくやや前方に素早く引く」などの助言に従って、独特な音色を奏でた。

　続いて、古式舞踊について「機織りの仕草や農耕作業の様子を取り込んでいる」「居住地域ごとの特色がある」と解説を聞いたあと、講師による舞を鑑賞。児童たちも講師に交ざって輪踊り（ポロリムセ）に臨んだ。自然と共生するアイヌ民族の価値観を体感した。

　民具や伝統衣装の紹介では、衣食住に関わる生活用品について説明があった。船や食物倉庫、住宅家屋などの写真を参考に、製作過程や材料、道具に込められた意味を考察。アイヌ民族が狩猟・漁労・採集に精通していたこと、祖先への敬意を重んじていたことを学習した。

　児童たちは、子ども遊びにも挑戦。大縄跳び・輪突き・弓による的射ちを通じて、当時を生きるために必要とされた技術を身をもって学んだ。

　質疑応答では、住宅（チセ）の立地や収容人数、必要な材料について聞いた。冬季の生活の様子について「動物の毛皮を身に着けたりまきをたいたりして、寒さをしのいだ」と知って驚きの声を上げた。

　最後は、再会を願うあいさつと別れのあいさつをアイヌ語で交わした。所作をまねして、講師に感謝の気持ちを伝えた。

(札幌市 2023-09-20付)