Pick Up2023 No.3 札幌市①( 2023-12-11付)
◆ウェブ上で不登校児支援
文部科学省が過日公表した4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に対する調査結果によると、札幌市内の不登校児童生徒数は過去最多の4836人となった。
こうした中、市教委はことし6月から、教育支援センターでウェブ会議システムを活用した不登校児童生徒支援「オンラインコース」を試行している。週2回のコースには、11月現在、28人の小中学生が利用登録。それぞれ好きなタイミングでシステムに入室し、1人1台端末のドリル問題などに取り組む。
▼相談指導員が奮闘 登校再開した子も
対応を担うのは、2人の不登校対策相談指導員だ。指導員の一人、宮森正志さんは「一人の子に関わっている間に別の子が入室し、同時進行で対応しなければならないときがある。正直大変だが、子どもたちにはそれを感じさせないように努めている」と汗を拭う。
慣れない業務に奮闘する中、登校を再開した子もいる。「自分たちの成果と一概には言えないが、子どもに前向きな変化が見えるようになるのがうれしい」と笑顔を見せる。
太田大輔教育相談担当課長は「不登校児童生徒が指導員との関わりを通して意欲的に活動できるようになってきており、効果を実感している」と手応えを語る。
▼協働的な学び等 高いハードルに
現在のオンラインコースは、1対1でのやりとりが基本。しかし、昨今の学校教育では、協働的な学びなど「多様な他者との関わり」が求められており、登校再開を見据えた子どもたちにとっては高いハードルが待つ。
当初、数人の児童生徒がオンライン上で交流する活動を計画していたが「抵抗感を持つ子がおり、見送った」(太田課長)経緯がある。「子どもの状態を見て、慎重に判断する必要がある」と対応の難しさを示す。
10月に行われた第3回定例市議会決算特別委員会で市教委は、メタバースによる居場所づくりを検討する考えを示した。太田課長は「子どもの気持ちを第一に、今後の支援の在り方を検討していきたい」としている。
◆生成AI 情報活用力重要
▼パイロット校に 中央小と発寒東小
生成AIを活用した効果的な教育実践を創出する文部科学省のパイロット校に、道内では札幌市立中央小学校と発寒東小学校の2校が選ばれ、教育活動や校務での活用を進めている。
「1句の中に2つ以上季語が入っているので1つに絞ってもいいよね」「“夏”や“冬”など直接的な季語が多い。もっと間接的な表現の方が良い」―。中央小6年生の国語科で、児童たちはチャットGPTが生成した俳句に様々な意見を述べた。
「季節の言葉」をテーマに俳句を創作する単元。完成した俳句を画像生成AIに落とし込み、児童たちが創作した世界観を可視化する活動を取り入れた。中里彰吾教諭は「生成AIには人格がないため、児童同士で作品を見合うより批判的な視点で物事を捉えることができる」と利点を挙げる。
授業の一場面。児童の一人が、紅葉が茂る様子を「木々が燃えている」と表現したところ、炎に包まれた木の画像が生成された。中里教諭は「生成AIには比喩が伝わりにくい。伝える相手に合わせて、的確に伝わる表現を試行錯誤する必要性を体感できる好例では」と好感触を示す。
様々な情報やアイデアを得られる生成AIを「電動アシスト付き自転車」と例える。「使い手次第では暴走してしまう可能性もある。使い手自身が自制し自律的に使っていくことが大事」と話し、情報活用能力の育成につながる実践をさらに進めていく考えだ。
▼流行を保護者と共有し 子育成を
過渡期を迎え、今後も発展し続けるであろう生成AI。活用のネックとなる年齢制限や保護者の同意を必須とする条件がない、教育現場での活用を想定した生成AIも誕生している。
生成AIを活用した教育活動が日常になる日も近い。ある大学関係者は「変化の激しい時代を生き抜いていくためには、こうした流行に対応しながら保護者とも共有して子どもを育てていくことが必要」と話す。流行を保護者と
共有し子育成を
過渡期を迎え、今後も発展し続けるであろう生成AI。活用のネックとなる年齢制限や保護者の同意を必須とする条件がない、教育現場での活用を想定した生成AIも誕生している。
生成AIを活用した教育活動が日常になる日も近い。ある大学関係者は「変化の激しい時代を生き抜いていくためには、こうした流行に対応しながら保護者とも共有して子どもを育てていくことが必要」と話す。
( 2023-12-11付)