Pick Up2023 第13回 釧路・根室( 2023-12-26付)
◆釧路市教委 小中ジョイントP
義務教育9年で基礎学力定着を
釧路市教委は、義務教育段階9年間を通した基礎学力の確実な定着に向け「小・中ジョイントプロジェクト」を推進している。中学校教員による乗り入れ授業や、中学校区内での交流授業等を展開。中1ギャップを生じさせない系統的な実践の推進とともに、異校種の教職員同士の交流を活性化。連続性のある学びを見据えた授業改善に効果が表れ始めている。
プロジェクトは、全中学校区を対象に4年度からスタートした。各中学校区で連携協議会を設置し、小中連携に向けた取組内容を検討。全校区で実態に応じて生活リズムチェックシート様式をそろえ家庭学習内容を統一したり、中学校の定期テスト前に設けている学習集中週間を、小学校でも「読書週間」「ノーメディアデー」として設定したりするなど、各校区が工夫を凝らしている。
中学校教員が校区内の小学校に乗り入れ授業を行うジョイント授業や授業交流を展開するほか、各校区でグーグルクラスルームを開設し、日常的な情報交流を図っている。生徒指導上の課題解決においても、連携した取組を各校区内で共有。中1ギャップ解消に向け支援の充実に努めている。
市教委の計画指導訪問は中学校区単位で行い、小中合同による協議の場を設定。異校種の教職員による協議を一層促すことで、学びの連続性を見据えた授業改善を加速させている。
異校種交流広がり 教職員にも手応え
プロジェクト2年目を迎え、各校区内における連携体制が整いつつある。市内の教職員からは「小中が協働することで、より効果的な研究協議を行うことができる」「他校種の先生との交流で、授業改善に向けた視野が広がっている」など、手応えを感じる声が広がっている。
6年度には、市教委の研究指定校として、春採中学校区を設定する予定。校区としての指定は初めて。小中連携に向けた取組の成果を全市に波及させるとともに、小中連携のさらなる推進を目指す。
◆根室市 ICT活用し授業改善
若手教員中心に授業検証システム
根室市では、若手教員で構成した授業改善推進チームを中心に、積極的な授業改革が進む。各校における授業検証や授業記録をロイロノート上に蓄積。ICTの効果的な活用に向けて使用目的を明記するなど、ICT活用を重視した授業づくりを促している。
授業改善推進チームは、平成31年度に道教委「授業改善推進チーム活用事業」指定に伴い、北斗小学校の定木健悟教諭らを推進チーム教員として組織したもの。令和4年度からは端末活用推進チームと名称を替え、市内の授業改善と学習指導のさらなる充実に尽力した。
授業改善に当たっては、授業検証システム(アクライズ)を活用。1時間の授業の中で教師や児童の発言回数、思考の時間を1分ごとの時間軸に沿って記録するもの。「教師の指示・説明」「教師の発問・問い返し」「児童の個人思考」「児童同士の対話」の4項目をデータ化。授業実践レポートとして取りまとめ、自身の授業内容を客観的に振り返ることができるようにした。
これに、端末活用の意図を明確にした授業記録ファイルを併用することで、導入・展開・終末を1単位時間で完結できるよう時間配分を意識した授業構想を可能とし、指導と評価の一体化に向けた市全体の授業改善の推進に大きく寄与した。
授業改善目指す教職員の指針に
チームとしての活動は終了。しかし、授業記録ファイルや授業実践レポートなどはロイロノートで市内教員に常に共有されている。教員からは「授業づくりの一つの指針になっている」「授業の進め方の理想が共有されているので、とても参考になる」などの声があがり、日々の授業改善に欠かせないものとして定着している。
市教委の担当者は「授業改善に伴う学力向上に向けては、中長期的な視点で取り組む必要がある。“目指すべき子どもたちの姿”を市内全体で共有し、継続的に取組を進めていくことが重要」と話し、さらなる授業改善を期待する。
( 2023-12-26付)