新しい学び授業力向上最終報告会　自走して授業改善を　ＩＣＴ活用場面精選等協議　函館市教委

（市町村 2024-02-27付）

新しいかたちの学び最終報告会

　【函館発】函館市教委は２２日、函館市立北昭和小学校で道教委の「新しいかたちの学びの授業力向上推進事業」の最終定例報告会を開き、本年度の取組を振り返った。推進教員配置校の関係者ら９人が出席し、ＩＣＴを効果的に活用するための場面設定の精選などの課題を協議し、次年度に向けて検証改善を進めた。

　市内ではあさひ小学校の清水布美子教諭、北昭和小の中村良夫教諭、桔梗小学校の武田秀文教諭が推進教員として連携校の弥生小学校、日吉が丘小学校、港小学校を含む計６校を巡回。国語と算数のチーム・ティーチングによる指導でＩＣＴを効果的に活用した授業改善を進めてきた。

　事業は３ヵ年計画。初年度最終の定例報告会では推進教員と所属校の教頭が本年度の成果と課題を協議した。

　国語科では端末を使って自分の考えを記入する場面設定によって児童の書く力や主体性が向上。算数科では学習アプリ等の使用を通した思考力を高める授業づくりやＩＣＴ活用の普及によって児童と教職員共に情報活用能力の向上が見られた。

　２教科共通して授業で対話的場面を設ける学校が増えるなどの効果も上がった。

　一方、端末を使う場面設定の精選が話題となり、両教科共通で効果的に活用した方が良い授業、使用の必要性が感じられないと判断する授業など学習場面を精選する必要性を共有。「ＩＣＴの活用に重点が偏ってしまったため、教科のねらいや特質を踏まえた効果的な活用を次年度つなげていきたい」などの意見が上がり、指導と評価の一体化に向けて学習指導要領を着実に確認することを申し合わせた。

　渡島教育局義務教育指導班の中嶋由佳主任指導主事は次年度の事業推進に向けた視点と各教科の授業改善に向けたポイントを確認した。

　「推進教員以外の教員が自走して授業改善を進められる仕組みづくりが必要」とした上で、次年度は推進教員以外の教員による授業公開を設けるなどの例を提案。「推進教員がどのような働きかけをしたのかなど事前と事後の手だてを共有する取組が考えられる」と分析した。

　各教科における指導改善の一層の推進に向け、国語科では言語活動を通した指導事項を身に付ける必要性を強調した。

　「授業者が児童と共に言語活動に取り組むことで児童の思考をたどり、つまずきの視点が分かる」と助言。並行読書をする際の選書については「読みの力」が生かされる本を教員が選んだ上で言語活動の推考につなげられる学習を求めた。

　算数科では協働学習の際に「方法」「理由」「事実」のいずれかを話し合うのかを明確化することや自分の考えだけではなく、友達の考えを説明する学習を位置付ける取組を推奨。児童が様々な方法で解決できる力を身に付けられる学習環境の構築に向け「子どもたちの実態を把握し、目標を立てつぎの指導に生かすことの積み重ねが大切」と呼びかけた。

(市町村 2024-02-27付)