教職員の協力を高める学校づくり〈№138〉 女性管理職が創造する学校③ 優位が故に陥る危険性も
(関係団体 2024-05-10付)

 前回に続き二つ目の優位性として、女性は協力的・友好的でチームプレイヤー(教育活動の遂行や教育目標の達成、プロジェクトの管理を目的として、チームのために積極的に貢献できる人)の特質が強く、職場の協力関係を奨励することができ、組織内の関係を強化し目標を達成することができると言われています。

 この優位性は相手への共感性が高い女性の特質が背景となっていますが、協力的・友好的チームプレイヤーは前回述べたレイ・カーツルワイルのシンギュラリティ論(GNR論・技術的特異点)の著述において、AIでは不可能な人間の大きな特質・能力であり、学校管理職にはますます職員の個々の良さを総合的に生かし、教育目標の達成を図るためのチームプレイヤーとしての実践が期待されており、女性管理職ならではと言えるのではないでしょうか。

 三つ目として女性管理職は、インクルーシブ・リーダーシップに優れていると言われています。インクルーシブ・リーダーシップとは、一人ひとりが持つ能力を引き出しながら組織全体の力を向上させるリーダーシップのことを言い、一人の実行型リーダーが“上意下達”で統率するのではなく、個々の自主性を発揮しながら持てる力を“横”に広げ、周囲を巻き込んで組織の成果を生み出すリーダーシップを言います。

 組織のダイバーシティ化(性別や年齢、職歴、働き方、ライフスタイルなど様々な属性を持った人々が所属している状態を指し、多様性、相違点といった意味を指す)やフラット化(学校の組織は鍋ぶた組織と言われ、一人ひとりの教職員の裁量権や決定権が大きいと言われているが、管理職と教職員が一体感を持って教育目標の達成のためビジョンを共有しやすくなり、教育活動への自由度や柔軟性を高めることができることを意味している)が進む現代において、インクルーシブ・リーダーシップを備え持つ女性管理職登用が官民問わず大きく注目され強く望まれています。

 四つ目は、ロールモデルと性別平等の推進であり、女性が管理職に就いて活躍する姿は、女性に対してキャリアの意義と可能性を示すことになり、後進の女性教職員を励まし学校管理職を志向させることにつながります。さらにいまだ他の先進諸国に遅れをとっているわが国の女性管理職登用ですが、性別平等の重要性をそれぞれの学校内の実践的な方法で実現する手本となり、女性管理職の増加は、昇進の不平等などジェンダーギャップの縮小に寄与し、教育の場がより公平で公正な場所となることの促進となります。

 前回から4点にわたり、女性管理職の優位性として感情交流による共感的理解力の高さなどを記述しました。ここで留意していただきたいことは、女性の持つ優位性が故に相談者へ感情移入しすぎてしまい、相手を励まし育てるより、自分の感情が相手と同じような心持ちになってしまい、客観的なアドバイスが困難になる傾向が見られるということです。

 特に保護者対応では、保護者の求めに応じて私的電話番号やSNSを交換してしまい、保護者の要望に応えるために遅い時間まで通信し、家族内の問題や同僚教師批判まで聞かされるなど、特定の保護者に取り込まれることがあります。

 あくまでも子どもの教育に係る一点に焦点化し対応され、女性の持つ優位性を生かしていただければと思います。

(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科教授・石垣則昭)

(関係団体 2024-05-10付)

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