道教委 公立高・特校長会議 地域と共に働き方改革を 暑さ対策など5点要請(関係団体 2024-05-10付)
公立高校長・特別支援学校長会議
道教委は8日、ホテルライフォート札幌で6年度公立高校長・特別支援学校長会議を開いた。倉本博史教育長が学校の暑さ対策や学校における働き方改革など5点を要請。家庭向けリーフレットや校内研修資料を活用し、安全・安心な教育環境整備に努めるよう求めたほか、学校運営協議会など様々な機会を通して、各校の実情に応じた働き方改革を着実に推進するよう要請した。
道立・市町村立の高校・特別支援学校の校長約280人が参加した。
倉本教育長は、学校経営の充実に向け①GIGAスクール構想および道立学校におけるICTの活用②特別支援教育③学校の暑さ対策④学校における働き方改革⑤不祥事の防止―の5点について要請した。
学校の暑さ対策については、昨年の猛暑日の増加に伴い、長期休業期間の取り扱いの変更や熱中症に関する危機管理マニュアルの改訂、空調機器の整備など、ソフト・ハードの両面で対策を講じてきたことを振り返った。本年度作成した家庭向けリーフレットや校内研修資料を積極的に活用し、引き続き、安全・安心な教育環境の確保に努めるよう求めた。
働き方改革について、3月に新たなアクション・プランを作成したことに触れ「働き方改革を進める上で、保護者や地域の理解・協力が不可欠」と強調。学校運営協議会などの様々な機会を通じて、学校に関わる人たちと幅広く認識を共有するとともに、他の地域や学校の優れた事例なども取り入れながら、各校の実情に応じた働き方改革を着実に進めるよう要請した。
このあと、各担当局長が所管事項を説明した。
倉本教育長のあいさつ概要はつぎのとおり。
▼はじめに
現代は将来の予測が困難な時代であり、その特徴である変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の頭文字を取って「VUCA(ブーカ)」の時代と言われることもあり、従来の知識や経験では解を見いだすことが難しい時代となっている。
このような時代にあっても、子どもたちが社会の課題や変化に対応し、また、課題設定・解決能力や論理的思考力など、社会の創り手として成長していくための資質・能力を育むことが大切である。
このことを踏まえ、道教委としては、前年度に策定した道教育推進計画の三つの柱である「子ども一人ひとりの可能性を引き出す教育の推進」「学びの機会を保障し質を高める環境の確立」「地域と歩む持続可能な教育の実現」に向け、家庭・地域・行政と連携を深めながら取り組んでいくのでお願いする。
▼GIGAスクール構想および道立学校におけるICTの活用
学習指導要領では、情報活用能力が、学習の基盤となる資質・能力として位置付けられており、各学校においては、その育成を図るため、ICTを活用した学習活動を充実させることが求められている。
また、国のGIGAスクール構想のもと、道内の全ての小・中学校、特別支援学校小・中学部において、1人1台端末環境が整備され、端末を活用した授業が実践されている。
高校および特別支援学校高等部においても新学習指導要領が実施された4年度入学生から、BYOD等による1人1台端末を活用した学びが実施され、全日制課程では、本年度全ての生徒が端末を活用する状況となる。
各学校においては、ICT活用授業指針に基づき、1人1台端末をはじめとしたICT機器やクラウドを効果的に活用し、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善を進めるようお願いする。
▼特別支援教育
道教委では、9年度までを計画期間とする「特別支援教育に関する基本方針」を策定し、子どもたちの自立や社会参加に向けて教職員の専門性を高め、子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じた校内支援体制の充実を図るほか、適切な就学先の決定に向けた教育相談や就労に向けたキャリア教育の充実、保護者の負担軽減も含めた医療的ケア実施体制の整備などに取り組むこととしている。
校長には、どの学校にも特別な教育的支援を必要とする児童生徒が在籍しているとの認識のもと、自らの特別支援教育に関する専門性を高めていただくとともに、全ての教職員の専門性の向上に向けた取組を推進するようお願いする。
▼学校の暑さ対策
熱中症は、命に関わる危険な病態であるが、予防策やその兆候が表れた際に、迅速かつ適切な対応を行うことによって、重大な事態に至ることを防ぐことが可能となるもの。
前年度は暑日の増加に伴い、本道全域に熱中症警戒アラートが発表され、熱中症となった児童生徒が急増したほか、暑さ対策について、これまでに例のない対応が求められ、長期休業期間の取り扱いの変更、熱中症に関する危機管理マニュアルの改訂、空調機器の整備など、ソフト・ハードの両面から対策を講じてきている。
本年度においては、道教委で家庭向けリーフレットや校内研修資料を作成した。各学校においては、これらの資料を積極的に活用し、引き続き、安全・安心な教育環境の確保に努めるようお願いする。
▼学校における働き方改革
各学校においては、校長のリーダーシップのもと、働き方改革を進めてきており、その取組が着実に浸透し、教職員の勤務時間には改善の兆しが表れているものの、多くの教職員が長時間勤務をせざるを得ない状況は依然として続いている。
こうした状況を踏まえ、本年3月、第3期となる新たなアクション・プランを策定し、働き方改革の実現に向けたメッセージを添えて周知した。
働き方改革を進める上では、保護者や地域の理解と協力が不可欠であり、各学校においては、学校運営協議会など様々な機会を通じて、学校に関わる人々と幅広く認識を共有いただくとともに、他の地域や学校における優れた事例なども取り入れながら、各学校の実情に応じた働き方改革を着実に進めていただくようお願いする。
▼不祥事の防止
不祥事の防止については、これまでも、教職員への指導を徹底するようお願いしてきたが、残念ながら、依然として、わいせつ行為や飲酒運転等の不祥事の発生が後を絶たず、学校教育に対する道民の信頼を損なう極めて憂慮すべき事態となっている。
校長には、不祥事の防止に向け、職員会議などでの形式的な伝達にとどめることなく、管理職員が職員一人ひとりと向き合い、わいせつ行為や飲酒運転等の不祥事を絶対に起こすことのないよう、強いメッセージで心に響く指導をしていただくようお願いする。
▼終わりに
道教委としては、学校と教育行政との連携をこれまで以上に深めながら、学ぶことの楽しさ、分かることのうれしさを実感できる本道教育の発展に全力で取り組んでいきたいと考えている。
校長には、自らの学校が担うべき使命と役割を自覚するとともに、リーダーシップを存分に発揮し、本道の持続的発展に寄与する人材の育成に一層の尽力をいただくことに期待申し上げる。
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あいさつに立つ倉本教育長
(関係団体 2024-05-10付)
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