インクルーシブ教育システム構築モデル事業 モデル校が成果報告 事例紹介、ワークショップで情報共有
(市町村 2016-02-29付)

インクルーシブ教育報告会
モデルスクール担当者が事例通し成果を説明

 札幌市教委は二十三日、WEST19で札幌市インクルーシブ教育システム構築モデル事業成果報告会を開催した=写真=。園・学校の教職員など約五十人が参加。特別支援教育の充実に向け、モデルスクールの成果報告やワークショップを行った。

 同会は、障がいのある人もない人も可能な限りともに学ぶ仕組みであるインクルーシブ教育システムを構築することや、特別支援教育の充実に資することを目的としている。

 会の冒頭、引地秀美学校教育部長があいさつ。共生社会の形成に向けた国の動向にふれたほか、同事業の実践研究について、「次第に安定した登校ができた事例があったほか、学習内容の理解や達成感を得ることにつながった」と成果を報告した。

 「今後は各学校の取組状況を把握しながら、ともに札幌市におけるインクルーシブ教育システムの構築や特別支援教育を推進していきたい」と述べ、「報告会を通して、各校の特別支援教育の充実に役立ててほしい」と呼びかけた。

 続いて、教育課程担当課の山田浩富特別支援教育担当係長が同事業について説明。モデルスクールの栄町小学校・栄町中学校の取組について、校内検討委員会や運営協議会の開催、合理的配慮協力員配置などを行っていると紹介した。

 また、個別の合理的配慮計画を作成。定期的に合理的配慮の内容検討や評価を実施し、運営協議会に報告したことも説明した。

 成果として、「三年間実践事例を蓄積することで、合理的配慮の考え方を整理し、対応要領等の作成に生かすことができた」などと報告。課題としては、「モデル事業の成果や国がデータベース化した合理的配慮の実践事例などを各学校に普及・啓発する必要がある」と述べた。

 続いて、モデルスクールの栄町小・栄町中の担当者が事業説明。このうち、栄町小では、二つの事例を通して取組と成果を報告した。

 一つ目の事例では、算数の学習理解促進に向け、理解の程度に応じた学習内容の変更と調整を実施。少人数指導と個別学習を織り交ぜて学習を進めた。

 また、自己肯定感を高めるためにつまずいている部分までさかのぼった学習やICTの活用など直接的な合理的配慮を実施。学力のレベルや人間関係を重視した班編成で、頼れる児童の存在に気づかせるといった間接的な合理的配慮も行った。

 二つ目の事例では、社会福祉法人麦の子会のスタッフの働きかけで学校に足が向き、友達とのかかわりが増えたことを報告。「家庭や関係機関との連携が児童の健やかな成長のための知恵を生み出すことにつながる」と話した。

 このあと、教育推進課の田中進一特別支援教育推進担当係長や学びの支援係の南舘こずえ合理的配慮相談員が「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」について、「札幌市立学校職員における対応要領」の概要を説明。また事例対応についてのワークショップも行った。

(市町村 2016-02-29付)

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