空知教育センター課題研究中間報告　確かな学力育む指導を　協同で課題解決する学習推進

（関係団体 2016-05-30付）

　【岩見沢発】空知教育センター（四十九院正満所長）は、二十七・二十八年度の二ヵ年で取り組んでいる課題研究の中間報告をまとめた。「学習の見通しをもたせる工夫」「協同的に課題解決に取り組ませる工夫」の充実に焦点を当てた模擬授業、授業実践、研究協議における成果と課題を収録。成果として、協同的な学びは「一人残らず学習に参加する観点から有効」「多様な考えが発生する課題ほど適している」などと指摘。「自己解決と協同的な課題解決のバランスを確保しつつ、一単位時間の中で実施するための工夫が求められる」「意見の違いや練り合い、納得が生じる教材開発が必要」などの課題を挙げている。

【研究主題】

　「確かな学力」の育成を図る学習指導の在り方～学習の見通しをもたせ、協同的に課題解決を図る指導過程の工夫

【目指す子ども像】

　協同的に課題を解決する学習を通じて、思考力・判断力・表現力等を高め、既習事項や経験をもとに、新たな課題に取り組もうとする子ども

【研究仮説】

▽学習の見通しをもたせる課題提示、課題解決に向けた手立ての共有化、学習内容の振り返りを工夫することで、思考力・判断力・表現力等を高めることができる

▽協同的に課題解決に取り組ませることで、知識を確かなものとし、新たな課題に取り組む意欲の向上につながる

【研究内容】

▽「協同的に課題解決に取り組ませる工夫」に関する理論研究、実践交流

▽「学習の見通しをもたせる工夫（見える化・ＩＣＴ機器などの活用）」に関する理論研究、実践交流

▽「指導過程」に関する理論研究、実践交流

【見通しをもたせる工夫】

▼成果

▽前時の授業内容と本時の課題をつなげながら、スムーズな導入ができていた

▽ＩＣＴ機器や模造紙、ワークシート等を活用して、本時の課題を把握しやすいように工夫することができた

▽時間をかけずに課題を把握させ、いつでも原点に回帰できるよう「見える化」を意識的に行った結果、自信をもって学習に取り組ませることができた

▼課題

▽指導計画を精査し、一単位時間ごとのねらいが、最終的に単元全体のねらいにつながるようにすることで、子どもたちは授業ごとの見通しをはっきりと理解し、自信をもって取り組むことができる

▽時間をかけないための工夫はＩＣＴだけがすべてではなく、様々な方策が考えられる。発達段階や単元の内容次第で柔軟に「見える化」することが望ましい

【協同的な見通しをもたせる工夫】

▼成果

▽三～四人グループによる協同的な学びの形は、子どもたちが一人残らず学習に参加するという観点から有効であることが分かった

▽見通しをはっきりもたせることで、協同的な学習活動の場面でもねらいからはずれることなく学び合わせることができていた

▽多様な考えが発生する課題ほど、協同的な学びに適している

▽協同的な学びで実践したことが普段のテストの中で多様な解答という形で表れた。また、生徒アンケートの中で「グループ学習は分かりやすい」という意見もみられた

▽大型のホワイトボードや書画カメラによる表示の工夫で、情報を共有したり、役割を明確にしたりすることができる

▼課題

▽自己解決と協同的な課題解決のバランスを確保しつつ、一単位時間の中で実施するための工夫が求められる

▽意見の違いや練り合い、納得が生じる教材開発が必要

▽協同的な学びの場では、子どもたちが行おうとしていることに任せ、教師はより意識的にファシリテーターに徹することが求められる

▽どの教科でも様々な場面で協同的学習を取り入れることで、子どもたちは学びの専門家になっていくことを次年度も実践し、検証したい

(関係団体 2016-05-30付)