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ユニセフ・キャラバン・キャンペーン　学校に行けない現実知る　札幌市山鼻南小と札幌市柏中
（関係団体 2016-06-03付）

１５ｋｇの水がめを運んだ（柏中）

　世界中の子どもたちの命を守る。公益財団法人日本ユニセフ協会主催のユニセフ・キャラバン・キャンペーンによる出前授業が五月二十五日、札幌市立山鼻南小学校（菅井留美子校長）と札幌市立柏中学校（蛯名嘉津夫校長）で行われた。参加した児童生徒は、ビデオ上映や体験活動を通して、厳しい環境で生活している世界の子どもたちの現状やユニセフの活動について理解を深めた。

　公益財団法人日本ユニセフ協会主催の同キャンペーンは、昭和五十四年の国際児童年に開始。開発途上国における子どもたちの現状に対する理解の促進、ユニセフ活動の普及啓発を目的に協会職員が約四年かけて全国の学校を一巡する。道への訪問は今回が九回目で、初日は道知事および教育長とのメッセージ交換や、教職員対象のユニセフ研修会を行った。

　二日目は山鼻南小、柏中で出前授業「ユニセフ教室」を開催。同協会学校事業部の渡邉慎一郎氏が講師を務めた。

　山鼻南小では、はじめに、開発途上国の子どもたちがおかれている現状とユニセフの支援活動についてビデオを上映。世界には、池や川からの水くみのような重労働のために学校へ行きたくても行けなかったり、防げるはずの病気や栄養不良で亡くなったりする子どもが多くいることを伝えた。

　そうした現状から、同協会が安全な水を短時間で手に入れられるよう家の近くに井戸や給水所を作るほか、保健センターを設置して保健や栄養の知識を広めるなど活動を実施。自然災害や戦争の被害を受けた地域では、必要物資を届けて早めに学校を再開するなど、子どもたちの心と体の両方に対するケアを大切にしていることも強調した。

　このあと、体験活動を実施。水を運ぶためにネパールの子どもたちが使っている約十五㌔㌘の水がめをリレー形式で回し、その大変さを実感した。

　ユニセフがマラリア予防のためアフリカに送っている蚊帳に入る体験も実施。繊維には殺虫剤が練りこまれており、子どもの命を守る上で大切なものであることを学んだ。

　山鼻南小の出前授業では渡邉氏がスライドを使い、世界の子どもたちをめぐる問題について講話。医者がおらず、満足に栄養が取れないことから風邪をこじらせ肺炎で亡くなる人が多いことを説明した。

　質疑応答では、「ユニセフはボランティアなのか」という質問に対し、渡邉氏は「仕事として行っている人もいる。しかし、それだけでは活動ができないのでボランティアが欠かせない」と話していた。

　参加した山鼻南小の丸山彩花さんは「世界には貧しい人がたくさんいることが分かった。私たちは募金活動などで活動の支えになれたらと思う」と感想を述べていた。

　また、柏中では渡邉氏がジカ熱をはじめとする感染症や自然災害、シリア難民をテーマに取り上げ、子どもたちの生活が常に危険と隣り合わせであることを説明。ユニセフでは百五十以上の国と地域で支援を行っており、その活動範囲を地図に表した。

　質疑応答では「もしユニセフがなかったら世界はどのようになっていたか」という質問に対して、渡邉氏は「今より多くの命が失われ、厳しい生活を送っている子どもの数も多くなっていただろう」と話し、ほかの国連機関と同様にユニセフが大きな使命を担っていることを強調した。

　柏中の山根木啓太君は「僕たちのように安全で幸せな生活を送れていない子どもたちがいるということが分かった。そのことをしっかりと考えて、ユニセフ募金などの活動に協力したい」と感想を述べた。