教育の質をグローバルに！　「ＮＥＷ　ＥＤＵＣＡＴＩＯＮ　ＥＸＰＯ２０１６―未来の教育を考える―」　札幌、旭川会場に同時ネット中継

（関係団体 2016-06-07付）

新時代の教育の在り方について理解を深めようと、講義に耳を傾けた

　「未来の教育を考える」をテーマに、「ＮＥＷ　ＥＤＵＣＡＴＩＯＮ　ＥＸＰＯ（＝ＮＥＥ）２０１６」が二日から三日間、東京で開催され、道内では札幌、旭川の会場にネット配信された。初日は、国際教養大学理事長・学長の鈴木典比古氏が「大学のグローバル化とローカルからの挑戦～国際教養大学の場合」と題して基調講演。世界の高等教育が急激に変化する中で、日本の大学が行うべき学士課程教育の質的転換について説明した。

　ＮＥＥは、日本最大級の教育関係者向けセミナー＆展示会として毎年行われているもので、ことしで二十一回目。主催は実行委員会（事務局・㈱内田洋行）。

　メーンとなる東京・大阪会場では、「教育改革」「学校の環境づくり」「大学改革」「授業設計・デザイン」等をテーマに、第一線で活躍する著名な講師による講演や学校現場の先進的な実践事例発表が行われた。

　これらを厳選し、札幌、旭川、仙台、名古屋、広島、福岡の各サテライト会場にネット配信で同時中継した。

　札幌会場は、ユビキタス協創広場Ｕ―ｃａｌａ（ユーカラ）で、二日から三日間開催。二会場に分け全十八コマの講演に三百人が詰めかけた。また、ことしは「学校と環境づくり」をテーマに、木材を活用した学校施設づくりや老朽化校舎の対策についての講演も行われ、設計事務所など学校建設にかかわる関係者も参加した。

　初日は、国際教養大理事長・学長の鈴木典比古氏が基調講演。世界の高等教育の流れが教養教育重視へと向かい、教室やキャンパスがなく自宅で授業が受けられるなど、全く新しい形の教育時代を迎え、鈴木氏は「国境を越えて多面的な交流が進むグローバル化の中、日本は大学全体の教育の質をグローバルな標準化に向けて進めていかなければならない」と指摘した。

　本来、一般教養を履修する一年生が四年生の専門科目を履修するなど、“野放し”になったカリキュラム制度の現状を踏まえ、科目のナンバリング制度の確立のほか、各大学が各カリキュラムに特色を出し、授業密度を高いものにすることなどを提案。「カリキュラムにおける標準化と多様化を可能にすることでグローバル化の対応につながる。テクニカルであるが必要な構造」と訴えた。

　また、「入学試験で学部を決めるのではなく、最初の二年間で学生は責任と自由をもって自分のキャリアに進んでいく構造へと変える必要がある」と持論を展開。それらを踏まえ、理事長を務める国際教養大では、授業はすべて英語で行い、一年次は全員キャンパス内の学生寮での生活を義務付けているなど、新時代の高等教育の取組について紹介した。

　なお、旭川会場は旭川商工会議所で三日・四日の二日間開かれた。

(関係団体 2016-06-07付)