道教委 学習改善調査研究事業成果発表会 学習意欲の向上目指し 札幌英藍高で講演、公開授業
(道・道教委 2017-11-27付)

札幌英藍高研究成果発表会
「主体的・対話的で深い学び」を強く意識した授業を展開する大澤教諭

 道教委は二十日、札幌英藍高校で「高校生の基礎学力の定着に向けた学習改善のための調査研究事業」にかかる研究成果発表会を開いた。同校と石狩教育局主管。全道から高校教諭など約六十人が参加。基調講演や公開授業、研究協議を通して、カリキュラム・マネジメントの確立や主体的な学びについて理解を深めた。

 この事業は、道教委が文部科学省の委託を受けて二十八年度から三ヵ年計画で研究を推進。調査研究校に札幌英藍高を指定し、生徒の学習意欲の高揚、家庭学習時間の確保、指導の改善を柱に据え、PDCAサイクルでカリキュラム・マネジメントの確立を目指す。発表会は、調査研究事業に関する研究実践の発表および協議を行い、研究成果の共有化を図ることを目的に開催。

 石狩教育局の柴田亨教育支援課長と札幌英藍高の田中俊一郎校長があいさつ。このうち、柴田課長は「講演や公開授業を通して、高校生の基礎学力の確実な定着やカリキュラム・マネジメントの確立およびPDCAサイクル構築について理解を深めるとともに、生徒の学習意欲の喚起、家庭学習習慣の定着に向けた教科指導等の充実に生かしていただければ」と呼びかけた。

◆与える教育観から支える教育観へ

 矢橋佳之副校長が全体説明を行ったあと、北海道大学大学院教育学研究院の守屋淳教授が「生徒の主体的な学びと授業改善」と題して基調講演。新学習指導要領について「アクティブ・ラーニングが話題だからといって新しい形態の授業を行うのではなく、子どもの学びの在り方を変えていく、一人ひとりが主体的に学べるような授業をつくることが必要」と強調。「これまでの“与える教育観”から子どもが学ぶ主体の“支える教育観”に転換を図ることが大切」と呼びかけた。

◆意欲的に問題解決する姿を

 このあと、国語、数学、英語の三教科で授業を公開。うち、一年五・六組の標準クラス(大澤美代教諭、生徒数二六人)では数学Ⅰ「図形と計量」を公開。

 本時の目標を「正弦定理・余弦定理が図形の計量の考察に有用であることに気づき、意欲的に問題を解決しようとしている」と設定。大澤教諭は、二辺とその間の角度が分かっている三角形の残りの角と辺の値を求める例題を提示。理解しやすいように図で表し、正弦定理と余弦定理を利用する場面を問いかけた。

 つぎに、二辺とその間の角の値から、余弦定理を用いて式を展開して解法を説明し、与えられた条件から何を求められるのか理解させた。さらに、ワークシートを配布し演習。はじめに個人で考えさせて、疑問点は周囲と相談するなど交流、代表生徒に解法を発表させた。生徒に自分と他人の解法を比較させて、解法への筋道やポイントを理解させた。

 最後に、公開授業合評会と研究討議を行った。

(道・道教委 2017-11-27付)

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