29年度全国学力調査の成果・課題 小中教育の円滑な接続を 改善に向けた取組など提起―道教委(道・道教委 2017-11-28付)
道教委がまとめた『二十九年度全国学力・学習状況調査北海道版結果報告書』では、調査結果の分析・検証を踏まえ、本道の成果と課題、改善の方向性を提起した。各種会議を合同で開き、育成すべき資質・能力や教育目標などを共有するなどして小学校教育と中学校教育とを円滑に接続させること、検証改善サイクルの確立に向けた方法・内容を見直し、質の向上を図ることなどを掲げた。
概要はつぎのとおり。
▼成果
▽全国の平均正答率との差が小・中学校ともに改善の傾向にある。
▽正答数の少ない児童生徒の割合が減少し、改善の傾向にある。
▽家で学校の復習をする児童生徒の割合が全国より高い傾向にある。
▽国語の勉強が好き、読書が好きな児童生徒の割合が全国より高い傾向にある。
▽授業において、児童自ら学級やグループで課題を設定し、その解決に向けて話し合い、まとめ、表現するなどの学習活動を取り入れる学校の割合が全国を上回っている。
▽全国学力・学習状況調査の結果を学校全体で共有し、教育活動の改善に生かす学校の割合が全国を上回っている。
▽国語、算数・数学の指導として家庭での学習方法等を、具体例を挙げながら教える学校の割合が全国を上回っている。
▼課題
▽授業の中で目標(めあて・ねらい)を児童生徒に示す活動を計画的に行った学校の割合が全国を下回っている。
▽「主体的・対話的で深い学びの視点による学習指導の改善の取組状況」に関する質問において、学校が指導を行ったと考えていても、そのように受け取っていない児童生徒が一定割合存在する状況がみられる項目がある。
▽家庭学習の時間が短い児童生徒の割合が全国より高い傾向にある。
▽テレビ等の視聴時間や携帯電話の使用時間が長いなど、望ましい生活習慣が確立していない児童生徒の割合が全国より高い傾向にある。
▽「近隣等の小(中)学校と教育目標を共有する」「全国学力・学習状況調査の分析結果について、近隣等の小(中)学校と成果や課題を共有する」などの小中連携の取組を行った学校の割合が全国を下回っている。
▽検証改善サイクルの確立に向けた取組は多くの学校で進んでいるが、教科に関する調査の結果に十分に現れていない傾向がみられる。
▼授業改善の方向性
▽見通しと振り返り
子どもたちが目標(めあて・ねらい)を意識できるよう提示方法を工夫するとともに、見通しをもって学習したり、身に付けたことを振り返ったりする活動を充実させるなど、授業改善を図ることが大切。
▽主体的・対話的で深い学び
主体的・対話的で深い学びを実践できるよう、自分の考えをもち表現すること、相手や目的を意識して表現することなど、授業改善を図ることが大切。
▼学習習慣、生活習慣の改善の方向性
▽学習習慣の確立
児童生徒の学習習慣を確立できるよう、各学校において家庭学習に関する取組を充実し、効果的に進めていくことが大切。
▽生活習慣の確立
児童生徒の生活習慣を確立することができるよう、学校と家庭、地域の共通理解のもと、連携を図りながら取組を進めていくことが大切。
▼小学校と中学校が連携した取組の方向性
小学校教育と中学校教育を円滑に接続させるため、つぎのような取組の充実を図ることが大切。
▽学校運営協議会や地域学校協働本部等の各種会議の合同開催を通じて、各学校で育成を目指す資質・能力や教育目標、それらに基づく教育課程編成の基本方針などを学校、保護者、地域間で共有して改善を図ること。
▽校長・副校長・教頭の管理職の間で、各学校で育成を目指す資質・能力や教育目標、それらに基づく教育課程編成の基本方針などを共有し、改善を図ること。
▽教職員の合同研修会を開催し、地域で育成を目指す資質・能力を検討しながら、各教科等や各学年の指導の在り方を考えるなど、指導の充実を図ること。
▼検証改善サイクルの改善の方向性
検証改善サイクルの確立に向けた方法や内容を見直し、質の向上を図る必要がある。
(道・道教委 2017-11-28付)
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