29年度全国学力・学習状況調査北海道版結果報告書―道教委 授業の質的改善が必要 大都市など5教科で全国以上(道・道教委 2017-11-28付)
道教委は、二十九年度全国学力・学習状況調査の『北海道版報告書』をまとめ、二十七日の道議会文教委員会で報告した。管内別状況では、小学校の国語A・Bで各二管内、中学校の国語Aと数学Bで各一管内、国語Bと数学Aで各二管内が全国平均以上。市町村の規模別状況では、「大都市・中核市」が小学校国語Bと中学校のすべての教科で全国平均以上だった。質問紙調査では、学校が授業で目標を示す活動を取り入れたと考えている一方、児童生徒はそう思っていないなど、認識に差がみられた。道教委では、分析結果を踏まえ、授業の質的な改善と望ましい生活習慣の定着が必要ととらえ、取組を一層推進する考えを示した。
本年度調査結果について、道教委は八月、学力調査の平均正答率が小学校のすべての教科と中学校の国語Bで全国との差が縮まる一方、中学校の国語Aと数学A・Bで広がったなどと本道分の状況を発表した。
その後、詳細に分析した全道・管内・市町村の状況や、同意を得た百七十四市町村の状況と学力向上策、本道の学力向上関連事業の成果・課題と改善に向けた取組を『北海道版結果報告書』にまとめ、二十七日の道議会文教委員会で報告した。
報告書をみると、児童生徒質問紙と学力のクロス分析を実施。〝主体的・対話的で深い学びの視点による学習指導の改善に関する取組状況、学習評価の在り方〟〝挑戦心、達成感、規範意識、自己有用感等〟〝学習に対する関心・意欲・態度〟に関する質問に「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」と肯定的な回答をした児童生徒は、否定的な回答の児童生徒よりも平均正答率が高い傾向がみられた。
学校質問紙調査と学力のクロス分析では、〝主体的・対話的で深い学びの視点による学習指導の改善に関する取組状況、学習評価の在り方〟〝カリキュラム・マネジメントに関する取組状況〟〝教職員の資質・能力の向上〟〝挑戦心、達成感、規範意識、自己有用感等〟に関する質問に肯定的な回答をした学校の方が、平均正答率が高い傾向がみられた。
学校質問紙と児童生徒質問紙とを比較すると、授業の中で目標を示す活動について、小学校では、七一・九%の学校が「計画的に取り入れた」と考えている一方、「示された」と感じている児童が五二・六%と一九・三ポイントの差があるのをはじめ、授業の最後に学習したことを振り返る活動や主体的・対話的で深い学びの取組について、学校と児童生徒の認識に大きな差がみられた。
管内の状況についても分析。二十九年度は、胆振管内が暴風・大雨の影響で全児童生徒数の五%程度しか当日に調査できなかったことから、胆振を除く十三管内についてまとめた。
管内の平均正答率については、小学校の国語Aで渡島と桧山の二管内、国語Bで上川と桧山の二管内が全国平均以上。中学校の国語Aで石狩管内、国語Bで石狩と留萌の二管内、数学Aで留萌と石狩の二管内、数学Bで石狩管内が全国平均以上だった。
市町村の規模別状況では、「大都市・中核市」が小学校国語Bと中学校すべての教科で全国を上回った。「その他の市」は、小・中学校のすべての教科で全国を下回ったが、二十八年度と比較すると小学校のすべての教科と中学校国語Bで全国との差が縮まった。「町村」は小・中学校のすべての教科で全国を下回ったが、二十八年度と比べ小学校の国語A・Bと算数A、中学校国語Bで差が縮まった。
道教委では、授業の目標や振り返りが児童生徒に十分に意識されていないなどの課題を挙げ、授業の質的な改善と望ましい生活習慣の確立に向けた取組が必要と認識。学校、家庭、地域、行政が一体となって学力向上に向けた取組を推進する考えを示した。
(道・道教委 2017-11-28付)
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