働き方改革推進プラン策定―旭川市教委 週60時間超勤務ゼロに 4つの戦略、45の取組示す(市町村 2019-02-21付)
【旭川発】旭川市教委は、「働き方改革推進プラン」を策定した。「学校や教職員が本来担うべき業務に専念できる環境整備」など四つの重点戦略のもと、適切な休養日・活動時間の設定、調査業務の見直し・改善、学校事務の共同化促進など四十五の具体的な取組を示した。取組期間は、三十一年度から三年間。部活動休養日を完全実施する部活動の割合を一〇〇%とするなど四つの指標を達成し、一週間当たりの勤務時間が六十時間を超える教職員をゼロにすることを目指す。
市教委は昨年五月、赤岡昌弘教育長を本部長とする旭川市の小中学校における働き方改革推進本部を設置した。
七月には市内の小学校五十四校、中学校二十七校の教職員一千八百七十人を対象に、勤務実態調査と意識調査を実施。調査結果や関係者の意見を踏まえ、国の対策、道の指針などを参考に検討を進めてきた。
プランの取組期間は、三十一年度から三年間。
教職員の勤務時間縮減だけではなく、子どもたちの成長につなげる必要があるとの認識から、スローガンに「子どもたちの豊かな学びや成長に向け、教職員が誇りや情熱、やりがいとともに、心身ともに健康でいきいきと子どもたちと向き合うことができる環境づくりを推進する」を掲げた。
達成目標を「一週間当たりの勤務時間が六十時間を超える教職員をゼロにする」と設定し、部活動休養日を完全に実施している部活動、変形労働時間制を活用している学校、定時退勤日を月二回以上実施している学校、学校閉庁日を年九日以上実施している学校の割合をそれぞれ一〇〇%とすることを達成指標とした。
重点戦略として、①学校や教職員が本来担うべき業務に専念できる環境整備②部活動指導にかかわる負担軽減③勤務時間を意識した働き方と学校運営体制の充実④教育委員会による学校サポート体制の充実―の四つを挙げ、それらに基づいて四十五の具体的な取組を行うこととした。
新規の取組として、①では、学校の業務等を効果的・効率的に行えるよう、教育委員会内の組織や体制を見直す。
②では、適切な休養日、活動時間等を設定。学期中は週当たり二日以上、平日は少なくとも一日、土・日曜日は少なくともどちらか一日以上を休養日とする。
活動時間は長くても平日で二時間程度、学校の休業日で三時間程度とする。
③では、各学校で教職員が勤務時間を意識した働き方をすることが大切との考えから、各種研修や訪問指導に働き方改革推進に関する内容を盛り込み、全教職員に働き方改革に取り組む意識を啓発する。
④では、各種調査の厳選や簡略化、計画の提示など、調査業務の見直し・改善を進める。併せて、試行的に共同学校事務室を設置するなど学校事務の共同化による事務処理の効率化、学校給食費の公会計化による徴収業務の軽減などを盛り込んだ。
市教委は、今後も働き方改革推進本部を中核に教育委員会と各学校の職種の代表などからなるプロジェクトチームなどと連携を図って、「組織横断的に学校における働き方改革を推進していく」と話している。
プランは、資料(五一ページ)にまとめ、各学校に配布した。
また、保護者や市民への周知を図るため、市のホームページで近く公表する予定。
旭川市教委が示した働き方改革推進プランの概要はつぎのとおり。
【推進プランの位置付けおよび取組の方向性】
▼推進プランの位置付け
推進プランにおける取組は、第二期旭川市学校教育基本計画に位置付けるとともに、今後の国や道の動向、所管する市の小・中学校における取組状況等を踏まえ、必要に応じて適宜見直し、改善を図る。
▼取組の方向性
教職員が日々の生活の質や教職人生を豊かにすることで自らの人間性を高め、児童生徒に効果的な教育活動を行い、教育の質を高めるという働き方改革の目指す理念や方向性を学校と教育委員会が共有し取組を推進する。
教職員が心身の健康を損なうことがないよう、学校の業務の量的見直しや質的転換を図る取組を推進するとともに、教職員一人ひとりの問題にとどめることなく、学校と教育委員会が両輪となり、国や道、市、さらには家庭・地域等を含めたすべての関係者がそれぞれの立場でその解決に向けて取り組む。
【推進プランのスローガンおよび目標、指標】
▼スローガン=子どもたちの豊かな学びや成長に向け、教職員が誇りや情熱、やりがいとともに、心身ともに健康でいきいきと子どもたちと向き合うことができる環境づくりを推進する
▼達成目標=旭川市立小中学校において、一週間当たりの勤務時間が六十時間を超える教職員をゼロにする
▼達成指標(すべて一〇〇%を目指す)
▽部活動休養日を完全に実施している部活動
▽変形労働時間制を活用している学校
▽定時退勤日を月二回以上実施している学校
▽学校閉庁日を年九日以上実施している学校
【取組期間】
三十一年度から三ヵ年。
【達成目標の考え方】
▼時間外勤務の縮減に向けて
長時間労働による健康障害やメンタルヘルス不調を防ぐため、一週間当たりの勤務時間が六十時間を超えないことに加え、一日当たり十二時間以下を目指す。
▼負担感の軽減に向けて
勤務時間「量的負担」の削減だけではなく、負担感「質的負担」の軽減を図り、教職員が心身ともに健康で教育活動に専念できる環境づくりを進める。
【教育委員会および学校の役割】
▼教育委員会の役割
教育委員会は、制度的な障壁の除去や学校を取り巻く様々な環境の整備、慣行的に進められてきた取組の見直し促進等、学校や教職員だけで解決できない抜本的な方策や取組の推進に努め、学校における働き方改革を支援・あと押しする。
▼学校の役割
学校は、勤務時間を意識した働き方の推進や学校運営体制の充実に向け、学校経営方針にその目標や取組等を明確に位置付け、全教職員の共通理解のもと、保護者や地域等と連携しながら、目標達成に向けて取組等を主体的に実施する。
【重点戦略~四つの戦略に基づく四十五の具体的な取組】
予算が伴う取組については、毎年度の市議会の決議をもって確定する。国や道が実施する事業を活用する取組については、それぞれの実施方法や内容等に基づき進めていく。
▼戦略1「学校や教職員が本来担うべき業務に専念できる環境整備」
▽「チーム学校」の実現に向けた専門スタッフ等の配置促進
①小学校専科教員の配置
②新学習指導要領の対応等専門性が高く、優れた実践力を備えた教員の派遣
③新たな学びの対応や学校力向上に資する成果物等の還元
④校内研修コーディネーターや初任者指導教員等の配置
⑤スクール・サポート・スタッフの配置
⑥スクールカウンセラーの配置・派遣およびスクールソーシャルワーカーの活用
⑦特別支援教育補助指導員の配置
⑧適応指導教室指導員の配置
⑨外国人英語指導助手(ALT)および外国語活動サポーターの派遣
⑩学校司書の配置
⑪退職教員等外部人材配置
⑫法律相談体制の整備
▽主幹教諭の配置促進
▽事務職員の校務運営への参画
▽ICTの活用による教材等の提供および共有
①学習支援オンラインサービスによる教材等の提供と活用促進
②教材や指導資料等の共有
▽働きやすい物的環境の整備
①負担軽減に配慮した学校施設の整備
②職員室レイアウトの工夫改善
▽教育委員会体制等の見直し―新規
▼戦略2「部活動指導にかかわる負担軽減」
▽適切な休養日および活動時間等の設定―新規
▽「旭川市立中学校部活動ガイドライン」および「学校の部活動にかかる方針」の策定―新規
▽部活動指導員の配置―新規
▽合同チームなど、学校規模に応じた部活動数の適正化
▽大会・コンクール等の開催時期や開催数等の見直しや精選などの協力要請―新規
▼戦略3「勤務時間を意識した働き方と学校運営体制の充実」
▽教職員の勤務状況および出退勤の把握
▽学校閉庁日の設定
▽学校の組織運営等に関する精選・見直し
①働き方改革に関する目標や取組等の学校経営方針への位置付け
②学校が作成する計画や紀要、集録等の整理・見直し
③学校が設置する特別委員会等の精選、見直し
④学校行事や会議等の精選・見直し
⑤研究・研修の方法・内容等の見直し
▽ワークバランスを意識した働き方の推進
①定時退勤日および時間外勤務等縮減強調週間の設定、年休取得率の向上
②変形労働時間制や週休日の振替にかかる勤務時間のスライド、振替期間、割り振り変更などの設定
▽時間外勤務等減縮等の目標の設定―新規
▽メンタルヘルス対策の推進
▽時間外連絡体制の整備
▽管理職対象マネジメント研修の実施
▽働き方改革に関する意識啓発―新規
▼戦略4「教育委員会による学校サポート体制の充実」
▽各種調査の厳選や簡略化、計画の提示等、調査業務の見直し、改善―新規
▽研修事業等の精選・見直し
①市主催研修事業の精選・見直し
②働き方改革の視点を盛り込んだ研修の推進
▽学校への民間団体からの依頼等にかかる協力要請―新規
▽ICTを活用した校務支援の推進
▽学校事務の共同化の促進―新規
▽給食費の公会計化による徴収業務等の軽減―新規
(市町村 2019-02-21付)
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