函館市2年度教育行政執行方針 新たに通級指導教室 ICカードで勤怠管理(市町村 2020-02-28付)
函館市教委・辻俊行教育長
【函館発】函館市教委の辻俊行教育長は、26日の定例市議会で令和2年度の教育行政執行方針を説明した。
小学校算数科に関する非常勤講師の配置や外国語にかかる教員研修のほか、効果的な教材を活用したプログラミング教育を進めていくとした。
また、日本語指導を必要とする児童生徒に対して、個別の学習支援や日本語指導を行う支援者の派遣、通常の学級に在籍する心身に軽度の障がいのある中学生を対象とした通級指導教室を新たに開設する方針を示した。
教員の働き方改革については、市内全小・中学校に整備された校務支援システムを活用し、ICカードによる勤怠管理を進めていくとした。
このほか、3年度に開校予定の義務教育学校「戸井学園」の増築工事や尾札部中学校・臼尻中学校の統合に向けた新築校舎等の実施設計にも着手する。
執行方針の概要はつぎのとおり。
▼変化する社会を生きる力の育成
子ども一人ひとりが、変化する社会の中で主体的に生き抜くことができるよう、確かな学力、豊かな心、健やかな体を育むことが重要。このため、各学校において、主体的・対話的で深い学びの実現に向け、授業改善に取り組んでいく。
小学校においては、算数科の非常勤講師を配置するとともに、外国語指導助手や外国語活動サポーターの効果的な活用や外国語にかかる教員研修の実施、効果的な教材を活用したプログラミング教育に取り組んでいく。また、アフタースクールを継続して実施。中学校においては、免許外指導の改善を図るため、非常勤講師を配置していく。
学校図書館については、図書管理システムを整備するとともに、学校司書の配置を拡充し、読書環境の整備や読書活動の充実を図る。
特別支援教育については、子どもや保護者の多様化するニーズに対応するため、専門機関との連携を図りながら、巡回指導員や支援員、サポートチームを活用し、学校全体で支援する体制の充実に努める。また、通常の学級に在籍する心身に軽度の障がいのある中学生を対象とした通級指導教室を開設し、生徒一人ひとりに対応した支援を行う。
いじめの問題については、市いじめ防止対策審議会における審議を踏まえながら、学校、家庭、地域、関係機関などと緊密に連携し、未然防止や早期発見、早期対応の取組を進める。また、LINEによる相談の試行を継続するとともに、教員研修やこころの相談員など専門職員の資質・能力の向上に取り組み、複雑化・多様化する問題への対応を図る。
不登校対応については、適応指導教室および相談指導学級において支援に努めるとともに、フリースクールなどの民間施設等と情報共有を図り、連携した取組を進めるほか、学校と関係機関との連携や、保護者への支援・相談を行うスクールソーシャルワーカーを活用し、児童生徒が抱える諸問題を解決するための取組を組織的に進めていく。
さらに、日本語指導を必要とする児童生徒に対して、個別の学習支援や日本語指導を行う支援者を派遣する。
このほか、いじめや不登校、特別な支援を必要とする児童生徒や保護者等に対する総合的な相談体制の整備に向けた調査・研究に取り組む。
学校給食については、市学校給食基本方針に基づき、より安全で安心な給食を提供するため衛生管理を徹底するとともに、郷土の食材や食文化への関心を高めるため、函館産や近郊産の農水産物の使用拡大に努めるほか、学校給食設備の更新を進める。
学校における防災・安全については、地域や学校の実態に応じた危機管理マニュアルに基づき、地震や津波等が発生した場合に適切な対応を行うことができるよう備える。
就学援助については、生活保護基準の引き下げの影響を受けないよう支援していくほか、学齢簿・就学援助システムの導入によって認定作業などの事務の効率化を図る。
▼地域とともにある学校づくりの推進
家庭や地域と一体となって子どもを育むとともに、教職員一人ひとりが個性・能力を十分に発揮できる学校づくりを推進することが重要である。
このため、すべての市立幼稚園、小・中学校および高校に導入したコミュニティ・スクールを通じて、保護者や地域と連携しながら、創意ある取組を推進する。さらに、地域と学校が相互にパートナーとして連携・協働した取組を行う地域学校協働活動を推進するため、地域コーディネーターを配置する。
学校における働き方改革については、すべての市立小・中学校に導入した校務支援システムの活用を図るとともに、ICカードを活用して教職員一人ひとりの勤務時間を把握する。また、学校給食費の公会計化について調査・研究を進めるほか、市立函館高校においても部活動地域支援者を活用していく。
教職員の資質・能力の向上については、南北海道教育センターの研修内容を充実するとともに、指導主事等が学校からの要望に応じて行う訪問研修を推進する。
学校施設については、本市初の義務教育学校となる戸井学園の令和3年度の開設に向けた増築工事や、尾札部中学校・臼尻中学校の統合に向けた新築校舎等の実施設計、中部小学校校舎の耐震改修工事に着手するほか、施設の改修や修繕等による学校環境の充実に努める。
市立函館高校については、進学重視型の普通科単位制高校として、創意ある教育課程を編成し、「地域に学び、地域で学ぶ」函館学を推進するなど、魅力ある高校づくりを進める。
▼函館への愛着や誇りと未来へ飛躍する力の育成
子ども一人ひとりが、函館の魅力を感じ、かかわりを深め、愛着や誇りをもつとともに、未来に向かって新たな価値を生み出す資質・能力を育むことが重要である。
このため、社会科副読本や小学生向けオリジナル映像などを活用し、函館の歴史や文化、自然など、函館の良さを感じることのできる教育活動を推進していく。
また、自分たちの住むまちにある遺跡や縄文文化への関心を高めるため、市立小学校の児童が、大船遺跡や垣ノ島遺跡、縄文文化交流センターを見学するなどの郷土学習を実施する。
さらに、豊かな国際感覚やコミュニケーション能力を育むため、外国語指導助手を活用した教育活動の充実を図るほか、市立函館高校の生徒を対象とした海外留学事業を実施する。
このほか、望ましい勤労観・職業観などを身に付けることを目指すキャリア教育の充実を図る。
▼生きがいを創り出す生涯学習の推進
市民一人ひとりが生涯を通じて学び続け、その成果を生かし、充実した生活を送ることができる生涯学習の推進が重要。
このため、行政や民間団体、高等教育機関等で実施している様々な講座などの情報を提供する学習情報誌『まなびっと広場』を発行するほか、4月にオープンする亀田交流プラザでは、幅広い世代の市民に、生涯にわたる学習活動や多様な交流の場を提供する。
また、高齢者が楽しみながら知識や教養を身に付け、仲間づくりを通して、生きがいのある生活を実現できる学習の場を提供する。
さらに、学校開放については、文化活動、社会教育活動を行うグループ・サークルの学習や活動の場として、引き続き特別教室などを開放するほか、子どもや地域住民の読書活動の場として、学校図書館の地域開放を進める。
▼心の豊かさを育む文化芸術の振興
文化芸術や文化遺産にふれる機会を充実させ、市民一人ひとりが創造性を高め、感性を豊かにすることができる文化芸術の振興が重要である。
このため、青少年の優れた作品などの発表の機会である市青少年芸術教育奨励事業や、小・中学校に芸術家を派遣する文化芸術アウトリーチ事業を実施する。
北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に向け、審査機関による現地調査に適切に対応するとともに、地元関係機関や団体と連携しながら、南茅部地域での縄文フェスタの開催や無料シャトルバスの運行、博物館での企画展の開催などによって、縄文遺跡群の価値や魅力を積極的に発信し、市民の関心を高めていく。
▼健やかな心身を育むスポーツの振興
市民一人ひとりが健康づくりとスポーツを通じて、体と心を鍛えることができるスポーツの振興を図ることが重要である。
このため、各種スポーツ教室やイベントの開催などによって、健康づくりとスポーツへの関心を高めるとともに、子どもがスポーツに参加する機会を充実させ、市民だれもがそれぞれの体力や年齢等に応じて参加できるスポーツ・レクリエーション活動の推進を図る。
さらに、市スポーツ協会や各種スポーツ団体等と連携し、競技大会の開催や、スポーツ合宿および大会の誘致に取り組み、競技人口の拡大や競技力の向上に努めるほか、フットサルやバスケットボールなどのプロスポーツイベントの開催など、市民のスポーツへの関心を高める。
また、東京オリンピック聖火リレーの円滑な実施が図られるよう準備を進めるとともに、北海道のスタート地点としてイベントを開催するほか、カナダのバドミントンチームの事前合宿の支援や、本市で合宿を行ったハンドボール男子日本代表などを応援するパブリックビューイングを行う。
(市町村 2020-02-28付)
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