道教委・時間外勤務調査に対し声明 業務量の抜本的削減を 20人以下学級実施など要請 道高教組・道教組(関係団体 2020-06-29付)
道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(川村安浩執行委員長)は25日、道教委の教育職員の時間外勤務等にかかる実態調査の公表に当たり声明を発表した。「道教委は、授業準備などの本来業務にこそ十分な時間を確保できるよう、業務を抜本的に削減するべき」などと指摘。20人以下学級の実施と実効ある長時間過密労働解消策を求めている。
声明の概要はつぎのとおり。
道教委は、2019年11月に実施した教育職員の時間外勤務等にかかる実態調査の集計結果を公表した。全道から抽出した小学校28校、中学校28校、高校20校、特別支援学校10校の計86校(延べ2410人)からの回答を集計したもの。
▼働き方改革の時短圧力が強まった結果、本来の業務である授業準備が犠牲に
主幹教諭・教諭の1日当たりの学内勤務時間は、持ち帰り業務の時間を除いて、小学校で10時間、中学校で10時間19分、高校で9時間45分、特別支援学校で9時間28分であり、所定内労働時間を大きく上回っている。
道教委は、学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」を2018年3月に策定し、働き方改革を進めるとしてきたが、主幹教諭・教諭の1日当たりの学内勤務時間は2016年の前回調査と比べてわずか19分の縮減にとどまっている。
勤務日における業務内容では、教材研究・授業準備・指導計画の時間が大幅に縮減され、小学校で20分、中学校で34分、高校で39分、特別支援学校で34分の減となっている。働き方改革として時短圧力が強まる中、本来の業務である授業に関する業務が犠牲になっているということである。2017年に私たちが行った働き方改善アンケートでは、大切にしたい業務について、「授業・授業準備」が83%にものぼる。道教委は、授業準備などの本来業務にこそ十分な時間を確保できるよう、業務を抜本的に削減するべき。
また、1日当たりの学内勤務時間は、年代が低いほど勤務時間が長くなっており、勤務日では、すべての校種で30歳以下の学内勤務時間が長くなっている。
勤務不要日をみると、中学校、高校の部活動・クラブ活動の時間が、中学校で1時間36分(前回比44分)、高校で1時間13分(同27分)と、一定の改善はあるものの依然として大きな負担が生じている。
▼過半数が在校等時間の上限を超えており、1年単位の変形労働時間制導入の前提は崩れている
公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置条例の一部が改正され、2020年4月1日から、1ヵ月の時間外の在校等時間の上限を45時間以内とすることなどの在校等時間の上限が教育委員会規則に追記された。主幹教諭・教諭の学内勤務時間を在校等時間の上限に当てはめた場合、上限を超えている割合は、教職員全体で55・3%(小学校56・2%、中学校71・8%、高校55・1%、特別支援学校37・1%)にものぼる。
1年単位の変形労働時間制導入については、昨年の国会審議において、在校等時間の上限を定めた指針の順守が制度導入の前提であると確認されている。過半数の教職員が上限を超えている北海道で、変形労働時間制導入のための手続きを進めることは許されない。
▼持ち帰り業務はすべての校種で増加、休憩も取れない過密労働の実態
主幹教諭・教諭の持ち帰り業務は、勤務日、勤務不要日ともに、すべての校種で増加している。また「休憩等・その他」は、小学校で5分、中学校で5分、高校で25分、特別支援学校で16分と、休憩時間を十分に取ることができない異常な過密労働の実態が示された。
道教委は、これまで持ち帰り業務は行わないことが原則を理由に、持ち帰り業務の実態把握には消極的だったが、3月の道議会予算特別委員会で佐藤嘉大前教育長は「持ち帰り残業もあれば、それは把握されることになる」と答弁している。道教委は、持ち帰り業務や休憩時間の勤務について正確に把握した上で、改善策を講じるべき。
労働安全衛生法が改正され、2019年4月1日からは、使用者に対して職員の労働時間を客観的に把握することが義務付けられ、タイムカード等による客観的な方法で把握が実施されている。
しかし、学校現場では、上限時間を超えないよう具体的な手立てのないまま指導したり、タイムカードに退勤の記録をしてから業務を継続するなど、取組の目的である「業務量の適切な管理その他の健康および福祉を確保」とは程遠い実態となっている。
▼今こそ20人以下学級を
展望した少人数学級の前進、長時間過密労働の抜本的な改善策を本年度は、小学校で新学習指導要領が全面実施となり、外国語やプログラミング教育などが新たに加わって、さらなる負担が生じている。
さらに、新型コロナウイルス感染症に関する様々な対応、長期間の休校に伴う教科等の学習の遅れを補うことを最優先とすることを道教委が求めていることによって、現場の教職員には深刻な負担が生じている。
子どもたちの笑顔輝く学校づくりのためには、教職員も笑顔で教育活動を進められる職場環境が重要。手厚く柔軟な教育のためにも、また、長期化するといわれる感染症対策のためにも、今こそ、20人以下学級を展望した少人数学級の前進と、20人以下での授業が可能な教職員の増員が求められる。
私たちは、長時間過密労働の解消と子どもたちの健やかな成長のために、「子どもたちに少人数学級をプレゼントしよう」の声を大きく広げるとともに、教員1人当たりの授業時数の上限設定、長時間労働の歯止めとなっていない給特法の改正はもちろん、勤務時間の適正な把握、休暇の拡大や部活動指導の一層の負担軽減、割振変更要領の改善、週休日の振替の改善などを求め、教職員、保護者、地域の方々、地方自治体や議会等とも共同し、さらなる取組を続けていく決意である。
(関係団体 2020-06-29付)
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