【PICK UP 2020】No.1 道内 半年で8倍の736人 スクール・サポート・スタッフ
(道・道教委 2020-12-14付)

 残り半月余りとなったことしは、まさに新型コロナウイルスに翻弄されたと言っても過言ではないでしょう。本道教育界では未曾有の事態に対応すべく、ICT活用などの取組が現在進行形で進んでいます。本紙はことしも「PickUp」と題し、連載で1年を振り返ります。

 新型コロナウイルス感染症の影響が全道各地に及んでいる。学校現場では、感染防止対策などコロナ関連の対応も加わり業務量が増加し、スクール・サポート・スタッフを配置する学校が広がっている。学習プリントの印刷、消毒作業や校内の換気など教職員の負担軽減に大きく貢献。支援人材の不足が課題となる地域もある一方、根室や胆振では人材の掘り起こしに成功し、配置率は9割を上回る。

◆多忙化する現場

 コロナ禍の学校では、学びの保障とともに感染防止対策が大きな課題となった。中でも校内における消毒作業の負担は大きく、トイレなど特に配慮が必要な場所では教頭や養護教諭がかかわる学校もある。

 ある小学校の教頭は「外部の人間が入る場合、濃厚接触者の範囲を広げないよう放課後に作業時間を設定するなどの調整も必要」と語り、消毒液などの物品が不足し、勤務時間中に急きょ調達が求められる事態が発生することもあったという。

 このほかにも、行事の変更、感染予防に関する保護者説明、感染者発生時のシミュレーションなど管理職の懸念は尽きない。

◆多様な人材が支援

 国の補助を受けてスクール・サポート・スタッフの配置が広がりつつある。道教委は2次補正予算でスクール・サポート・スタッフを1校に1人配置できるよう必要な経費を措置。10月末時点で配置人数は736人となり、本年度当初(95人)の約8倍と大幅に増加した。

 ある中学校の教頭は「印刷、採点業務を担うスクール・サポート・スタッフが1人いるだけで業務の負担は大幅に減る」という。学校再開後に学びの遅れを取り戻すため、授業編成や学習課題を工夫しており、授業準備に要する時間やプリントの印刷量も増えているためだ。

 感染予防に必須となる消毒作業や学校内の換気にも従事。道の警戒ステージ移行に伴い、10月末から健康観察表の確認を玄関で実施するようになったことも人手不足の一因となっており、子どもの健康観察の取りまとめにも貢献している。

 退職者や主婦など様々な分野からの人材が学校を支援。元銀行員のスタッフが計算や書類業務を担当したり、ICTに詳しいスタッフが機器の使用を補助したりする事例もある。

◆人材の掘り起しを

 一方、学校現場が切実に求める支援人材が、十分に確保されていない地域もある。

 申請校に対するスタッフの配置率は10月末時点で約7割。文部科学省は来年度概算要求において、スクール・サポート・スタッフの継続配置に必要な経費を要望しており、予算が措置された場合、引き続き人材の確保が課題となる。

 日高、留萌、宗谷など比較的小規模の管内で配置率が低い中、人材の確保に成功している地域もある。根室管内では教育局と市町村教委が連携して人材を募集し、小・中学校の配置率97%を達成。胆振管内では震災による国庫補助を活用して前年度にスタッフを配置した効果が口コミで広まり、配置率が9割を上回っている。町内会の回覧板や広報誌で募集したり、学校のPTA役員を任用している事例もある。

 ある教育行政関係者は、コロナ禍において支援人材の確保は喫緊の課題であるとし、「スタッフの業務は専門的な知識や技能を必要とするわけではない。教育行政、首長部局、地域が連携して情報を発信し、人材を掘り起こすことが必要」と話す。

(道・道教委 2020-12-14付)

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