函館市 3年度教育行政執行方針 GIGAスクール実現へ 不登校対応 ICTで学習支援も(市町村 2021-03-03付)
函館市教委・辻俊行教育長
【函館発】函館市教委の辻俊行教育長は、2月25日開会の令和3年第1回市議会定例会で3年度教育行政執行方針を説明した。GIGAスクール構想に伴う1人1台端末環境については、小・中学校において、教員や児童生徒の端末操作への支援などを行うGIGAスクールサポーターを配置し、端末の活用推進に向けた環境を整備していくとした。不登校対応では、学校内外においてICTを活用して計画的に学習活動を行えるよう支援に取り組むとともに、適応指導教室および相談指導学級における支援などを進めていく方針も示した。
執行方針の概要はつぎのとおり。
▼変化する社会を生きる力の育成
子ども一人ひとりが、変化する社会の中で主体的に生き抜くことができるよう、確かな学力、豊かな心、健やかな体を育むことが重要である。
このため、各学校において、主体的・対話的で深い学びの実現に向け、授業改善に取り組む。
小学校においては、算数科および理科の非常勤講師を配置するとともに、効果的な教材を活用してプログラミング教育に取り組む。
中学校においては、免許外指導の改善を図るための非常勤講師を配置する。
外国語教育については、外国語指導助手や外国語活動サポーターの一層の活用や、教員研修の実施によって、その充実を図っていく。
ICTを活用した学びについては、小・中学校において、教員や児童生徒の端末操作への支援などを行うGIGAスクールサポーターを配置し、1人に1台整備した端末の活用を推進する。
学校図書館については、図書管理システムを整備するとともに、学校司書の配置を拡充し、読書環境の整備や読書活動の充実を図る。
特別支援教育については、子どもや保護者の多様化するニーズに対応するため、専門機関や市の関係部局との連携を図りながら、巡回指導員や支援員、サポートチームを活用し、学校全体で支援する体制の充実に努める。また、通常の学級に在籍する心身に軽度の障がいのある中学生を対象とした通級指導教室の充実を図り、生徒一人ひとりに対応した支援を行う。
いじめの問題については、市いじめ防止対策審議会における審議を踏まえながら、学校、家庭、地域、関係機関などと緊密に連携し、未然防止や早期発見、早期対応の取組を進める。
また、LINEによる相談の試行を継続するとともに、教員研修やこころの相談員など専門職員の資質・能力の向上に取り組み、複雑化・多様化する問題への対応を図る。
不登校対応については、不登校児童生徒が、学校内外においてICTを活用して計画的に学習活動を行えるよう支援に取り組むとともに、適応指導教室および相談指導学級における支援や、フリースクールなどの民間施設等との連携を推進するほか、学校と関係機関との連携や、保護者への支援・相談を行うスクールソーシャルワーカーの活用によって、児童生徒が抱える諸問題を解決するための取組を組織的に進める。
さらに、日本語指導を必要とする児童生徒に対して、個別の学習支援や日本語指導を行う支援者を派遣する。
このほか、いじめや不登校、特別な支援を必要とする児童生徒や保護者等に対する総合的な相談体制の整備に向けた調査・研究に取り組む。
学校給食については、市学校給食基本方針に基づき、より安全で安心な給食を提供するため衛生管理を徹底するとともに、郷土の食材や食文化への関心を高めるため函館産や近郊産の農水産物の使用拡大に努めるほか、学校給食設備の更新を進める。
がん教育については、市がん対策推進条例の制定を受け、各学校において、児童生徒ががんに関する正しい知識を習得し、がん患者への理解や生命の大切さに対する認識を深める教育活動を推進する。
学校における防災・安全については、学校の新しい生活様式等を踏まえ作成した新型コロナウイルス感染症対応マニュアルによって、感染症の拡大防止に向けた対策を講じるとともに、地域や学校の実態に応じた危機管理マニュアルに基づき、地震や津波等が発生した場合に適切な対応を行うことができるよう備える。
また、通学路の安全確保に努めるなど、地域や家庭と連携した効果的な取組を推進する。
就学援助については、生活保護基準の引き下げの影響を受けないよう支援していくほか、就学援助・学齢簿システムの運用によって、認定作業などの事務の効率化を図る。
▼地域とともにある学校づくりの推進
家庭や地域と一体となって子どもを育むとともに、教職員一人ひとりが個性・能力を十分に発揮できる学校づくりを推進することが重要。このため、すべての市立学校に導入したコミュニティ・スクールを通じて、保護者や地域と連携しながら、創意ある取組を推進する。さらに、地域と学校をつなぐパイプ役としての地域コーディネーターの活動を支援し、地域学校協働活動の充実を図る。
学校における働き方改革については、すべての市立学校において校務支援システムを活用した校務の情報化を推進するほか、管理職のマネジメント力の強化、学校運営体制の充実などによって、組織としての業務改善を推進する。
教職員の資質・能力の向上については、南北海道教育センターの研修内容を充実するとともに、指導主事等が学校からの要望に応じて訪問研修を推進する。
学校再編については、4月に市で初の義務教育学校である戸井学園を開校するほか、統合方針が決定された各学校において、その準備を進める。
学校施設では、5年度の尾札部中学校・臼尻中学校の統合に向けた校舎等の新築工事に着手するほか、施設の改修や修繕等による学校環境の充実に努める。
市立函館高校については、進学重視型の普通科単位制高校として、創意ある教育課程を編成し、地域に学び、地域で学ぶ「函館学」を推進するなど、魅力ある高校づくりを進める。
▼函館への愛着や誇りと未来へ飛躍する力の育成
子ども一人ひとりが函館の魅力を感じ、かかわりを深め、愛着や誇りをもつとともに、未来に向かって新たな価値を生み出す資質・能力を育むことが重要。
このため、社会科副読本のデジタル化に向けた調査・研究を進めるほか、市立小学校の児童が垣ノ島遺跡や大船遺跡、縄文文化交流センターを見学するなどの郷土学習を実施し、函館の歴史や文化、自然など、函館の良さを感じることのできる教育活動を推進する。
さらに、豊かな国際感覚やコミュニケーション能力を育むため、外国語指導助手を活用した教育活動の充実を図るほか、市立函館高の生徒を対象とした海外留学事業を実施する。
このほか、望ましい職業観・勤労観などを身に付けることを目指すキャリア教育の充実を図る。
▼生きがいを創り出す生涯学習の推進
市民一人ひとりが生涯を通じて学び続け、その成果を生かし、充実した生活を送ることができる生涯学習の推進が重要。
このため、行政や民間団体、高等教育機関等で実施している様々な講座などの情報を提供する学習情報誌『まなびっと広場』を発行するほか、亀田交流プラザなどの施設において、市民の生涯にわたる学習活動の場を提供する。
また、高齢者が楽しみながら知識や教養を身に付け、仲間づくりを通して、生きがいのある生活を実現できる学習の場を提供する。
学校開放については、文化活動、社会教育活動およびスポーツ活動を行うグループ・サークルの学習や活動の場として、特別教室などを開放するほか、子どもや地域住民の読書活動の場として、学校図書館の地域開放の推進に努める。
▼心の豊かさを育む文化芸術の振興
文化芸術や文化遺産にふれる機会を充実させ、市民一人ひとりが創造性を高め、感性を豊かにすることができる文化芸術の振興が重要。
このため、青少年の優れた作品などの発表の機会である青少年芸術教育奨励事業や、小・中学校に芸術家を派遣する文化芸術アウトリーチ事業を実施する。
はこだてカルチャーナイトや、はこだて国際民俗芸術祭などの市民の自主的な文化活動を支援するほか、関係団体との連携を深め、市民文化祭の充実を図る。
このほか、市民会館や芸術ホールなどの施設において、市民の文化芸術活動の促進を図る。
文化財の保存・活用については、ことし4月に保存修理工事を終えた旧函館区公会堂をリニューアルオープンするほか、引き続き五稜郭跡の堀の石垣改修に取り組むとともに、函館ハリストス正教会復活聖堂および遺愛学院本館の保存修理費用を助成する。
また、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産への登録が期待される中、構成資産である垣ノ島遺跡の整備が完了し、ことし6月に一般公開を迎えることから、来訪者の増加に対応するため、臨時駐車場の確保やシャトルバスの運行など、受け入れ体制の充実に努める。
さらに、博物館において企画展を開催するほか、社会教育施設においても、縄文遺跡群の価値や魅力を積極的に発信するなど、市民の関心を高める取組を進める。
▼健やかな心身を育むスポーツの振興
市民一人ひとりが健康づくりとスポーツを通じて、体と心を鍛えることができるスポーツの振興を図ることが重要。このため、各種スポーツ教室やイベントの開催などによって、健康づくりとスポーツへの関心を高めるとともに、子どもがスポーツに参加する機会を充実させ、市民だれもがそれぞれの体力や年齢等に応じて参加できるスポーツ・レクリエーション活動の推進を図る。
また、市スポーツ協会や各種スポーツ団体等と連携し、競技大会の開催や、スポーツ合宿および大会の誘致に取り組み、競技人口の拡大や競技力の向上に努めるほか、フットサルやバスケットボールなどのプロスポーツイベントの開催など、市民のスポーツへの関心を高める。
さらに、12月に市民スケート場をオープンするほか、引き続き、千代台公園のテニスコートの増設に向けた整備を進める。
(市町村 2021-03-03付)
その他の記事( 市町村)
大空町 3年度予算案 4月開校 大空高を支援 ICTの効果的活用促進
【網走発】大空町は2月26日、令和3年度予算案を発表した。一般会計は前年度当初比8・5%減の89億4577万円。うち教育費は10・0%増の8億5034万円となった。 主な事業をみると、...(2021-03-04) 全て読む
留寿都高にPC60台 留寿都村3年度骨格予算案
【小樽発】留寿都村は2月26日、令和3年度予算案を発表した。今月に村長選を控えており骨格編成。一般会計は前年度当初比2・3%増の総額28億9147万円で、うち教育費は22・1%増の4億35...(2021-03-04) 全て読む
寿都中改修など推進 寿都町 3年度予算案
【小樽発】寿都町は2月26日、令和3年度予算案を発表した。一般会計は前年度当初比6・3%増の総額55億700万円。うち教育費は6・3%減の3億8330万円となった。 3年目となる寿都中...(2021-03-04) 全て読む
音更町 3年度骨格予算案 パラリンピック支援 35人以下学級 臨時教員配置
【帯広発】音更町は2月22日、令和3年度予算案を発表した。首長選を控えた骨格編成となっており、一般会計は前年度当初比9・7%減の201億100万円。うち教育費は13・0%減の18億8114...(2021-03-04) 全て読む
3年度 当麻小にSSW 当麻町教委 5日まで1人募集
【旭川発】当麻町教委は、新たにスクールソーシャルワーカー(SSW)を1人配置するため、パートタイム会計年度任用職員を5日まで募集している。令和3年度の新規事業として当初予算案に310万円を...(2021-03-03) 全て読む
高校間口確保対策など 興部町予算案 教育費3.5億円
【網走発】興部町は2月24日、令和3年度予算案を発表した。一般会計は前年度当初比11・8%増の47億7350万円。うち教育費は、22・4%減の3億5364万円。旧沙留中学校施設解体の完了な...(2021-03-03) 全て読む
紋別市 3年度市政執行方針 持続可能な部活動支援 指導者確保し仕組みづくり
【網走発】紋別市の宮川良一市長は、2月26日の市議会第1回定例会で市政執行方針を説明した。教育関係の主な施策では、中学校における部活動を持続可能なものとするため、新たに部活動サポーターを配...(2021-03-03) 全て読む
北見市 3年度教育行政方針 ICT活用し深い学び 令和の学び スタンダード確立
【網走発】北見市教委の志賀亮司教育長は、2月25日開会の市議会第1回定例会で令和3年度教育行政方針を説明した。国のGIGAスクール構想を踏まえ、昨年12月に作成したICT教育の手引きに基づ...(2021-03-03) 全て読む
仁木町3年度予算案 骨格編成 ICT支援員を活用 教育費は2.5億円
【小樽発】仁木町は2月25日、令和3年度予算案を発表した。4月に町長選を控えた骨格編成で、一般会計総額は前年度当初比5・3%増の38億850万円。うち教育費は0・7%減の2億5444万円と...(2021-03-03) 全て読む
白糠町3年度予算案 一貫した教育環境整備 白糠小中統合 幼小連携
【釧路発】白糠町は2月19日、令和3年度当初予算案を発表した。一般会計の総額は172億5300万円で、2年度肉付補正後と比較し16・3%増。うち教育費は83・5%増の20億730万円となっ...(2021-03-03) 全て読む