授業改善進め教育観転換　道小総会・研修会　吉田会長あいさつ　吉田信興会長

（関係団体 2021-05-11付）

道小・吉田信興会長

　道小学校長会第６４回総会・研修会における、吉田信興会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

　前年度は、新型コロナウイルス感染拡大によって、学校現場は２ヵ月間の休業というこれまで経験したことのない状況から始まった。その間、失った授業時数は、長期休業や土曜日を使うなどして授業を行い、取り戻すことができた。また、新しい生活様式が示され、数多くの制約の中で、「今、何ができるのか」と各学校で工夫し、教育活動を進めてきた。

　それから１年間が経過しても、新型コロナウイルスは姿を変異しながら感染を拡大させており、終息が見えていない。私たちはｗｉｔｈコロナの中で感染防止対策を十分に行いながら教育活動を推進するため、柔軟な教育課程の作成、臨時休業を想定したＩＣＴ環境の整備、学校行事の在り方の検討とニューノーマルの構築などの取組が、現在、学校経営上の第１の課題となっている。

　さらに、前年度に全面実施となった学習指導要領の中核を成す「主体的・対話的で深い学び」を視点とする授業改善を定着させることが第２の課題である。

　第３には、時期を同じくして中央教育審議会から答申のあった“令和の日本型学校教育”の構築を具現化し、個別最適な学びと協働的な学びという学びの本質に立ち返る必要性と、「同調圧力からの解放」「正解主義からの脱却」「二項対立からの離脱」といった、これまでの学校の当たり前を見直す教育観の転換である。

　第４には、ＧＩＧＡスクール構想の前倒しによって整備された１人１台端末の活用である。

　授業や家庭での活用が学校差、地域差なく行われることが重要である。しかしながら、すでに前年度に整備された地区もあれば、いまだに配られない地区もあるという時間的格差、教師用パソコンが未整備であったり、初期設定が教員に課せられている整備内容の格差、ＬＴＥで導入した地区もあれば、高速大容量環境が整っていない地区もある通信環境の格差など、様々な格差が全国的に生じており、大きな課題となっている。

　第５には、学校における働き方改革の推進が挙げられる。

　学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」（第２期）が出され、目標達成の数値化が示されている。道は１年単位の変形労働時間制の導入を決定した。果たして、その制度を活用できるだけの働き方改革が進むのかが今後の大きな課題と言える。

　第６には、教員の質の向上と人材の確保である。

　教員の絶対数が不足している中、１学級３５人の少人数学級制が導入され、来年度からは高学年の教科担任制が始まる。教員採用試験の在り方を見直したり、教員免許更新制の抜本的な見直しが検討されたりするなど、人員の確保のため様々な手法が取られているが、教員の質と量の課題はなかなか解消されないままである。

(関係団体 2021-05-11付)