道議会質疑 一般質問(6月18日)(道議会 2021-09-10付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼八田盛茂議員(自民党・道民会議)
▼藤川雅司議員(民主・道民連合)
▼金岩武吉議員(北海道結志会)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼藤原俊之総務部長兼北方領土対策本部長
▼倉本博史教育長
◆ヤングケアラー
Q八田議員 文化的な生活を営むことのできる社会の実現を目指すケアラー支援条例が制定され、道内でも、ことし3月に栗山町ケアラー支援条例が制定されるなど、具体的な取組が一部の自治体で進んでいる。道においても、ヤングケアラーや高齢者、障がいのある方の介護が必要な家庭などを適切に支援する取組が必要と考える。
道と道教委は、緊密に連携し、道内における実態を早急に把握し、必要な対応を検討するべきと考える。知事および教育長の見解を伺う。
A鈴木知事 ケアラーへの支援について。介護を必要とする方々にとっては、家族の介護を頼りにしたり感謝している一方で、家族が介護するのは当然という見方もある。ケアラーは、仕事や勉強などを両立する上でつらい思いを抱えていることが心配され、特に、ヤングケアラーについては、心身の成長や学びへの深刻な影響が指摘をされている。
このため、道では、ことし2月、道教委および庁内関係部局が情報共有するための連携会議を設置するとともに、先駆的に取り組んでいる栗山町をはじめ、学識経験者、支援団体、当事者の方々などに参画いただく有識者会議を今月中に立ち上げることとした。
今後、道教委と連携のもと、早急に道内の実態調査に着手し、その上で、ケアラーについて道民が理解を深めていくための環境づくりに向けた方策の検討を進め、ケアラーとその家族が将来に希望をもち、自分らしく生活できる社会の実現に努めていく。
A倉本教育長 ヤングケアラーに関する対応について。児童生徒には、家族の一員としての自覚をもって家族生活を送ることが大切であるが、ことし4月に公表された国の実態調査によると、本来、大人が担うと想定されるような家事や家族の世話などを日常的に行っている児童生徒には、重い責任や過度な負担によって、子どもらしい生活を送ることや学業などに影響があることなどの課題が指摘されている。こうしたヤングケアラーを早期に発見し、適切な支援につなげていくことが重要と認識している。
道教委としては、国のガイドラインを活用して、市町村教委や学校におけるヤングケアラーに関する理解促進を図るとともに、知事部局とともに本道の実態調査を早急に行い、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによるきめ細かな対応はもとより、福祉、介護、医療などとの緊密な連携のもと、必要な支援が適切に行われるよう取り組んでいく。
◆学びの保障
Q八田議員 道教委では、学校における新しい生活様式のきめ細かな取組やオンラインを活用した学習などを通じて、学びを保障するとしている。
特に義務教育においては、社会で生きる知、徳、体を育成するため、少人数学級編制の拡大や専科教員の増員などにより、個々に応じた授業の改善や指導の充実に取り組むとのこと。新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態措置が続く厳しい状況の中で、課題となっている子どもたちの学力や体力の向上、望ましい学習・生活習慣の確立に向けて、道教委としてどのように取り組むのか伺う。
A倉本教育長 義務教育の充実について。新型コロナウイルスの感染拡大など、社会の変化が激しさを増す中、本道のすべての子どもたちが、知、徳、体にわたる生きる力を身に付け、豊かな人生を切り開き、持続可能な社会のつくり手となることができるよう、必要な資質・能力を育成することが重要であると認識している。
道教委では、これまで、新学習指導要領を踏まえた学びの保障に向け、感染防止対策の徹底を図りながら、教育活動の工夫改善に向けた指導助言や学習指導員等の配置などを通して、コロナ禍においても子どもたちの学びを止めない指導体制の充実に取り組んできた。
今後は、少人数学級編制等によるきめ細かな指導体制のもと、主体的、対話的で深い学びを実現する授業改善はもとより、家庭や地域と連携した望ましい学習・生活習慣の確立を進める中で、GIGAスクール構想で整備された1人1台端末を活用し、一人ひとりの興味・関心や学習課題に応じるなどの個別最適な学びと、互いの価値観を共有し、考えを広げ、深める協働的な学びを実現する取組を一層充実させ、子どもたちの健やかな成長を支援していく。
◆地学協働体制
Q八田議員 本道では、中卒者の減少が続いており、高校の小規模化は避けられない状況にある。
一定の望ましい学校規模の維持に努めるとともに、小規模校の教育環境の充実に向けた取組や、学校間連携、地域との連携による課題解決型の学習活動を通じた教育の魅力化などに積極的に取り組む必要がある。
地域にはそれぞれの魅力やよさがあり、それらを生かしながら地学協働の体制を整えるなど、新たな視点で魅力ある高校づくりを進める必要があると考える。どのように取り組むのか伺う。
A倉本教育長 地学協働による魅力ある高校づくりについて。北海道が将来にわたって輝き続けていくためには、より良い社会をつくるという理念のもと、地域と連携協働して魅力ある高校づくりを推進し、これからの社会を担う活力ある人を育てることが重要である。
道教委としては、高校生が地域課題の解決のための様々な活動を通して、社会の一員として行動しようとする意欲を向上させる取組に加えて、高校生と大人が一緒に地域課題を解決する地域課題探究型の学習体験を通じて、持続可能な地域と学校の連携協働の仕組みを構築する地学協働活動推進実証事業、いわゆる北海道CLASSプロジェクトを新たに実施している。
事業推進に当たっては、新たに任用する地域コーディネーターを中心とし、高校と自治体、企業、団体等が協働して、その地域に合った取組を重点的に展開するモデルづくりを行うとともに、各教育局に設置したプロジェクトチームが、高校魅力化の具体的な取組などを示した手引の活用方法や取組状況、課題に対する助言等によって支援していく考えである。
こうした取組を通して、各地域における地学協働の活動を加速し、地域の教育資源を活用した魅力ある高校づくりを進めていく。
◆今後の本道教育
Q八田議員 道教委は、平成30年に新たな教育推進計画を策定し、自立の精神をもって自らの夢に挑戦し、実現する人、ふるさとへの誇りと愛着をもって、社会に貢献し、共に支え合う人を育むという、自立と共生を基本理念に掲げ、社会で生きる力や豊かな人間性の育成といった目標に向けて、様々な取組を進めている。
計画が令和4年度に期限を迎えるが、ウイズコロナという厳しい状況のもとでの目標実現が求められている。
6月1日に倉本教育長が就任された。どのように取組を進める考えなのか、教育長の所見を伺う。
A倉本教育長 これからの本道教育について。道教委では、教育推進計画のもと、子どもたちが社会の変化に主体的に向き合いながら、自らの可能性を発揮し、未来を切り開いていく力を身に付けることができるよう、社会で生きる力や豊かな人間性の育成などを柱に、各般の取組を進めている。引き続き、取組の点検評価を行いながら、その着実な推進を図っていく。
加えて、学習指導要領の改訂や学校における働き方改革、ICTを活用した教育等のポストコロナにおける新たな学びの姿など、これからの時代に求められる教育の在り方を見据え、市町村教委をはじめとする関係機関などと緊密に連携し、一人ひとりが自分のよさや可能性を認識するとともに、すべての人を価値ある存在として尊重し、多様な人々と協働する持続可能な地域のつくり手となる人材の育成を目指した教育の推進に努めていく。
◆学びの保障
Q藤川議員 知事は、緊急事態宣言発令に伴い、各学校に運動会、修学旅行など行事の中止、延期、部活動の原則休止を要請した。
高校等の授業に関しても、分散登校とオンライン授業のハイブリッドな学習の実施を求めたが、家庭のオンライン環境は千差万別で、通信制限や、受信する端末がスマートフォンで授業が分かりにくい、集中できないなど、環境の格差が教育格差につながる恐れがある。
家庭におけるオンライン環境の整備に対し、支援が必要だと考える。知事および教育長の所見を伺う。
A鈴木知事 学びの保障について。緊急事態措置における特定措置区域内のすべての道立高校では、分散登校とオンライン学習を実施しており、各学校の実態に応じ、学校と家庭が同時双方向型で対話する取組や、学校ホームページや動画サイトを活用し、オンデマンドで授業の動画や課題等を配信する取組を行っていると承知している。一方、道教委では、ICT環境が整っていない家庭やスマートフォンで学習している生徒などに対し、端末等を貸し出すための措置を講じている。
私としては、コロナ禍においても、引き続き、子どもたちが地域や環境に左右されずに学びを継続できるよう、道教委とも連携し、オンライン学習における課題の把握に努め、必要な財源措置について国に要望するなど、本道における教育環境の充実に向け、取り組んでいく。
A倉本教育長 学びの保障について。道教委では、国の衛生管理マニュアルを踏まえ、今回の緊急事態措置における特定措置区域内の道立高校に対し、分散登校とオンライン学習を組み合わせたハイブリッドな学習等を実施することとし、感染予防対策を講じながら学びの保障に努めている。
オンライン学習の実施に当たっては、ICT環境が十分に確保されていない家庭や、パソコンやタブレットの有無にかかわらず、スマートフォンで学習している生徒が一定数いることから、必要に応じて、生徒に学校所有の端末やモバイルルーターを貸し出す取組を進めている。
今後とも、必要な財政措置を国に要望しながら、オンライン学習等による学びの保障に向けた支援に努めていく。
Q藤川議員 緊急事態宣言下でのオンライン授業実施に当たり、教育長から端末やルーターを貸し出す取組を進めているとの答弁があった。本当にそれは必要としている生徒に確実に届いているのか、再度、認識を伺う。
A倉本教育長 オンライン学習にかかる生徒への支援について。緊急事態措置の特別措置区域において、今回、オンライン学習を行った学校では、家にパソコンがなく、スマートフォンを使用したり、通信に制限があったりするなどの事例もみられたことから、必要に応じて学校が所有する端末等を貸し出すほか、希望する生徒を登校させて授業を受けることができるようにしてきた。
今後とも、生徒の実情に応じてきめ細かに対応していく。
◆大学生の支援
Q藤川議員 大学生の生活は、コロナ禍によって大きな変化と困難に見舞われている。行政の支援が後手に回っているとの指摘があるが、他方、民間のほっかいどう若者応援プロジェクトは、全道22大学で困窮学生を救う支援事業を行うと同時に、学生へのアンケートを通じてみえてきた悲痛な学生生活の現状に対し、支援の必要性を訴えている。
道は、昨年の第3回定例会で、大学など関係機関に協力をいただくなどして、その実情の把握に努めていくと答弁していたが、道独自の調査の進ちょくと具体的な学生支援の方針などを伺う。
A藤原総務部長兼北方領土対策本部長 経済的に困窮している学生について。昨年10月、各種支援制度の利用状況などについて道が調査を行った結果、コロナ禍によって困窮する学生を支援する学生支援緊急給付金を活用した学生が一定程度いることが明らかとなった。
一方、ことし3月の国の調査では、支援制度を利用していない学生の約15%が、制度がよく分からないなどの理由で申請に至らなかったとの結果が公表されている。
道では、昨年5月から、アルバイトの減少などによって経済的に困窮する学生を道の会計年度任用職員として採用してきたほか、ことし4月には大学等修学のための経済的支援の手引きを改訂し、学生にも分かりやすく伝えるよう、家計が急変した学生を対象にした支援制度のページを新たに掲載した。
今後も、大学などに協力をいただきながら、コロナ禍による学生への影響の実態把握に努め、支援を必要とする学生が適切に制度を活用できるよう、丁寧に周知するとともに、必要な検討を行い、支援の充実を国に要望するなど、誰もが学びを継続できるよう取り組んでいく。
◆学校教育推進
Q藤川議員 本道では、教育の機会均等、教育格差是正、いじめ問題など、取り組むべき課題が山積している。これらの課題解決にどう取り組むのか、教育長の所見を伺う。また、コロナ禍で、思うような学びを進められない児童生徒、、日々、子どもたちに向き合う学校職員への思いについても伺う。
A倉本教育長 学校教育の推進について。新型コロナウイルス感染症への対応が依然として続く中、教職員には、感染症対策の徹底はもとより、児童生徒一人ひとりに応じたきめ細かな指導に当たっていただいていることに深く敬意を表すとともに、道教委としても、子どもたちが毎日健やかに学校生活を送ることができるよう、各学校に対する支援に努めていく考えである。
私としては、まずは、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期すことはもとより、社会で生きる力や豊かな人間性の育成などを柱とする教育推進計画を着実に進めるとともに、学習指導要領の改訂や学校における働き方改革、ICTを活用した教育等のポストコロナにおける新たな学びの姿など、これからの時代に求められる教育の在り方を見据えながら、市町村教委など関係機関との連携のもと、広域分散型の本道において、どの地域に住んでいても質の高い教育を受けられるよう、教育の機会均等や学びの質の保障に取り組む考えである。
◆教員の働き方改革
Q藤川議員 道教委は、市町村教委に無償提供した出退勤管理システムの活用も含め、市町村立学校において、タイムカードによって客観的に在校等時間が公表されるように取り組むことをプランの重点に掲げている。
市町村の公表実態および公表していない市町村に対して、いつまでに公表させるのか。また、システム導入についての評価について伺う。
A倉本教育長 在校等時間の公表などについて。在校等時間を客観的に計測、記録し、公表している市町村は、ことし1月現在で5市町村である。道教委としては、引き続き、アクション・プランの取組の成果や課題等について市町村教委と共有をするとともに、道教委職員が直接出向いて、道立学校の取組を参考に指導助言するなどして、各市町村教委が本年度内のできるだけ早期に在校等時間や改善策などを公表し、広く保護者や地域住民の理解と協力を得ながら、働き方改革を推進することができるよう働きかけていく。
また、在校等時間の客観的な計測、記録、公表は、教員が自らの働き方を認識するのみならず、各学校が業務改善に取り組む上での基盤となるものと考えている。
今後とも、他の働き方改革の取組と併せて調査、分析し、効果的な取組の検討や好事例の普及に努めるとともに、働き方改革の取組に課題のある学校に対しては、義務教育指導監による学校経営訪問などによって、それぞれの課題に応じた指導助言を丁寧に行うなど、学校における働き方改革の一層の推進に努めていく。
◆教育課程編成
Q藤川議員 北海道アクション・プランでは、道教委は、各学校に対し、標準授業時数を大きく上回った授業時数を計画することのないよう指導助言するとしているが、中央教育審議会が示した標準授業時数を上回る計画をした学校に対して、どう指導助言を行い、改善させたのか伺うとともに、改善されない学校に対する具体的な取組を伺う。
A倉本教育長 教育課程の編成について。道教委では、これまでも、標準授業時数や児童生徒および学校、地域の実態を考慮しつつ、学校における働き方改革の趣旨を十分留意の上、授業時数を確保するよう指導してきており、令和2年度に実施した北海道アクション・プランにかかる取組状況の調査では、こうした点を踏まえた教育課程の編成等を実施しているとした小学校、中学校が前年度と比べ約2割以上増加している。
また、ことし3月には、市町村教委に対し、各教科等の授業時数や学習内容の定着状況などについて確実に把握し、必要な指導を行うようあらためて通知している。
今後、各学校において標準授業時数を大きく上回ることなく、適切な授業時数を設定した教育課程が実施されるよう、各教育委員会が把握している各学校の教育課程の編成状況に対し、早急に指導助言するとともに、義務教育指導監や指導主事による学校訪問などを通じて、各学校の実情に応じたきめ細かな指導助言に努めていく。
Q藤川議員 授業時数の取扱いについて、学習指導要領では、週当たりの授業時数が児童生徒の負担過重にならないようにするものとしている。
標準授業時数を大きく上回って教育課程を編成している学校を改善させるためには、まずは実態把握を行うことが必須であり、子どもたちが余裕をもって学校生活を送るためにも、例えば、各学校のホームページ上に教育課程の掲載を促すなどの取組が必要と考えるが、再度、教育長の所見を伺う。
A倉本教育長 学校の教育課程について。教育課程は、学習指導要領に基づき、校長の責任と権限のもと、学校や地域の実態を考慮し、各学校で編成するものであり、社会に開かれた教育課程の理念のもと、各学校が教育目標や方針、特色ある教育活動など、学校運営に関する情報をホームページなどを通じて家庭や地域社会に積極的に提供することは重要である。
道教委としては、今後も、こうした点を踏まえ、適切な教育課程が編成、実施され、必要な情報が発信されるよう、市町村教委や学校に対する指導助言に努めていく。
◆ヤングケアラー
Q藤川議員 ヤングケアラーは、学校に通いながら家事や介護、アルバイトによる家計支援などを担っており、本人の時間が大きく制約されることで学校に行けなくなることがあると聞いている。
学校に行っても勉強に集中できず、友人とも話が合わないことから、孤立感にさいなまれ、意欲が低下するなど、将来の可能性を奪うことになりかねない。
ヤングケアラーへの認識を伺うとともに、早期の段階で若者のサインに気づき、サポートをしていくために、状況把握が必要である。迅速な支援体制の構築が必要だと思うが、知事および教育長の見解を伺う。
A鈴木知事 ヤングケアラーについて。少子・高齢化や核家族化の進展など、様々な要因によって、年齢や成長の度合いに見合わない過度な責任や負担を負うヤングケアラーについては、潜在化しやすく、本人の育ちや学びにも影響を及ぼしていることから、福祉、介護、医療、教育などの関係機関が連携を密にして、こうした子どもたちを早期に発見し、必要な支援に結び付けていくことが何よりも重要である。
先般公表されたヤングケアラーの支援に向けた国のプロジェクトチームの報告書では、早期発見と現状把握、必要な支援策の推進、社会的認知度の向上が今後取り組むべき施策の柱として明記されている。道としては、道教委と連携して、現状把握のための早急な調査実施に着手するとともに、国の動向を把握しつつ、学識経験者や支援団体、当事者などの意見も伺いながら、ヤングケアラーに対する支援方策の検討を進めていく。
A倉本教育長 ヤングケアラーについて。年齢や成長の度合いに見合わない家事や家族の世話などを日常的に行っている児童生徒には、重い責任や過度な負担によって、育ちや教育に影響があることなどの課題が指摘されている。こうしたヤングケアラーを早期に発見し、適切な支援につなげていくことが重要と認識している。
道教委としては、知事部局と連携し、ヤングケアラーの現状を把握する調査を早急に実施するとともに、各学校でのヤングケアラーに関する理解の促進や、子どもが家庭環境などにかかわる気付きや悩みを相談できる校内体制の整備していく。
Q金岩議員 厚生労働省と文部科学省が共同で設置したヤングケアラーの支援に向けた連携プロジェクトチームでは、昨年12月からことし1月まで、全国の公立中学・高校のそれぞれ2年生を対象に実態調査を実施し、世話をしている家族がいると回答したのが、中学では約17人に1人、率にして5・7%、高校では約24人に1人、4・1%いたことが判明した。
道においても実態調査の実施と道条例制定を急ぎ、ヤングケアラーの支援体制を構築する必要があると考える。知事の所見を伺う。
A鈴木知事 ヤングケアラーへの支援について。年齢や成長の度合いに見合わない過度な責任や負担を負うヤングケアラーについては、自らの育ちや学びに影響を及ぼすことから、福祉、介護、医療、教育などの関係機関の皆さんが連携を密にして、早期発見と必要な支援に結び付けていくことが重要である。
これまでも、道では、要保護児童対策地域協議会における対応状況の中で、過度な家族介護や世話にかかわっている子どもの把握などに努めてきたが、今般の国の報告書の中では、早期発見と現状把握、社会的認知度の向上など、今後取り組むべき具体的な施策が示された。
このため、道としては、速やかに、学識経験者や支援団体、当事者で構成する有識者会議を設置し、道教委と連携しながら道内の実態調査に着手するとともに、ヤングケアラーを含めたすべてのケアラーとその家族が希望をもち、自分らしく生活できる方策について、有識者の意見を伺いながら、具体的な検討を進めていく考えである。
◆コロナ禍でのオンライン教育
Q金岩議員 全道に2度目の緊急事態宣言が出されたことに伴い、道教委では、5月15日付で「緊急事態宣言を踏まえた学校における新型コロナウイルス感染症対策について」と題する通知を発出している。
特に、特定措置区域に指定された石狩管内の市町村や小樽市、旭川市の小・中学校、道立高校などに、分散登校とオンライン学習を組み合わせたハイブリットな学習等の実施を求めるとともに、臨時休業等の措置を講じた場合は、オンライン学習を実施する体制を整えることが必要としている。
GIGAスクール構想の前倒しによって、生徒1人1台端末については、道内では令和2年度でほぼ整備済み。
本年度に入り、いくつかの道立高校や小・中学校で新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生し、学級閉鎖なり学年閉鎖なりの措置が取られていると考える。
発生校におけるオンライン学習の実施状況はどのようになっているのか、道教委ではどのような指導を行っているのか伺う。また、休業措置等の発動基準はどのようになっているのか、併せて伺う。
A倉本教育長 コロナ禍におけるオンライン教育の取組について。新型コロナウイルスの感染拡大によって、本年度、休業措置を講じた学校のうち、道立高校においては約5割の学校、また、小学校、中学校では約2割の学校が双方向の授業配信やオンデマンドによる授業動画の配信などを行っている。
道教委では、各学校に対して、休業措置期間の長短にかかわらず、オンライン学習等によって学びの保障を図ることができるよう、本庁や各教育局に相談窓口を開設し、ネットワークへの接続やアプリの活用、パソコン貸し出しの手続方法などのきめ細かな指導助言を行っている。
特に、小学校、中学校においては、日ごろから児童生徒がパソコンの基本的な操作を習得できるよう働きかけている。
また、休業措置の取扱いについては、教職員や児童生徒の陽性が判明した場合、保健所による疫学調査によって明らかになった濃厚接触者の在籍学級や、その人数を踏まえ、学校設置者が学校保健安全法に基づき、休業措置の期間や範囲を定めることとしている。
◆ICT活用授業モデル
Q金岩議員 ICT活用授業モデルについて、前教育長は、昨年の第3回定例会で、すべての教員がICTに関するスキルを高められるよう、学年や教科の特性に応じたICT活用授業モデルを作成し、全道に普及する、ハード面の整備と並行し、ソフト面の支援として、ICTを効果的に活用するための授業モデルを作成するなどして、学校における教育活動や家庭学習支援の充実につながるよう取り組むと答えている。
昨年作成されたICT活用授業モデルについて、各学校でどのように利用され、今後、その浸透にどう取り組むのか、教育長の見解を伺う。
A倉本教育長 ICT活用授業モデルの利用等について。道教委においては、GIGAスクール構想の実現に向けて、教員がICTを活用して授業を行う際の参考となるICT活用授業モデルを作成し、研修会などを通して各学校へ周知するとともに、道教委のウェブページに掲載するなどして、その利用促進に努めている。各学校では、パソコンを活用して一人ひとりの学習ニーズに応じた個別最適な学びや、グループ学習を通した協働的な学びを実現するための授業改善の参考とするほか、校内研修の資料等として利用している。
今後は、小学校、中学校、高校等において推進校を指定し、家庭とのオンライン学習を含めた授業モデルの実践に加え、その成果等を各種研修会での発表や道教委のツイッターなどへの掲載、学校訪問による指導などによって広く普及するなど、すべての教員がICTを効果的に活用した授業を実施していけるよう支援し、子どもたち一人ひとりの学びの質を高めていく。
(道議会 2021-09-10付)
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