道議会質疑(道議会 2021-08-18付)
道議会質疑
一般質問 3月12日
【質問者】
▼清水拓也議員(自民党・道民会議)
▼宮川潤議員(日本共産党)
【答弁者】
▼小玉俊宏教育長
=役職等は当時=
学校におけるコロナ対策
Q
清水議員 学校における新型コロナ感染症対策について、道の警戒ステージが3から2に移行した場合、学校の行動基準はどのようになるのか伺う。
A
小玉教育長 学校の行動基準について。道の警戒ステージの移行に際しては、適切な感染症対策のもと、学校の教育活動を安全に継続するため、道教委では、国の衛生管理マニュアルに基づき、道立学校の行動基準を定めるとともに、市町村にも周知している。
昨年10月に道の警戒ステージが1から2に移行した際、学校の行動基準についてはレベル1から2に引き上げ、感染症対策を強化した。感染拡大の継続によって11月にステージが3となった際には、学校の行動基準ではレベル2を維持することとなったが、あらためてマニュアルに基づいた対策の徹底を呼びかけた。
感染者数の減少などによって、今後、道の警戒ステージが3から2に移行した場合でも、学校の行動基準でみると、現状のレベル2を継続するものと考えている。
各学校が、地域における感染のまん延状況を踏まえつつ、国の衛生管理マニュアルに基づき、感染症対策に万全を期するよう取り組んでいく。
Q
清水議員 各学校ではこれから、卒業式や入学式など、節目の行事があるほか、新・転入学に伴う往来が活発化することが予想される。4月からの新学期に向けて、児童生徒の感染症対策に関し、道教委としてどのように取り組む考えか伺う。
A
小玉教育長 新学期に向けての児童生徒の感染症対策について。年度末から年度初めにかけては、進学や進級など、新年度に向けた準備のために、児童生徒の行動範囲が広がることなどを踏まえ、感染予防を徹底することが必要。
このため、道教委では、感染症対策の総点検をはじめ、卒業式や入学式などに加えて、学年末の休業など、学校外での活動を含め、具体的な各場面における留意事項を示し、保護者の協力を得ながら教育活動を進めるよう、市町村および学校に通知した。
加えて、特に行動範囲が広範多岐にわたる高校生の休業期間中の健康観察を効率的に行えるよう、オンラインによる体調行動確認システムも構築した。
道教委としては、こうした取組を通じ、児童生徒が新学期を安心して迎え、安全な学校生活を送ることができるよう、きめ細かな支援に努めていく。
Q
清水議員 令和2年度は、高体連や中体連などの競技が中止になるなど、子どもたちはとてもつらく悲しい思いをした。3年度は、いつもどおり新学期が始まり、高体連や中体連などの競技が予定どおり開催されることを願うが、道教委が把握している高体連や中体連などの今後の大会開催の見通しや、道教委としての部活動における感染症対策について伺う。
A
小玉教育長 部活動における感染症対策などについて。中学校や高校においては、部活動や大会における感染が疑われる事例がこれまでも発生しており、あらためて、部活動における感染症対策の徹底が重要と考えている。
このため、道教委では、日常の活動において、健康観察や活動前後の手洗いをはじめとする感染症対策を確実に行うことのほか、大会の開催に際しては、主催者に対し、道の関係部局と連携し、十分な感染症対策を講じるよう依頼。各学校に対しては、大会への参加はもとより、練習試合や遠征においても、移動を含めた様々な場面で感染症対策の徹底を図り、感染症リスクを避けることができない場合は実施を見合わせるよう通知した。
なお、高体連、高野連、中体連の次年度の大会については、各競技団体のガイドライン等を踏まえ、十分な感染症対策を講じて実施する方向で準備を進めていると伺っており、道教委としても、それぞれの団体と情報共有を図りながら、安全に大会が開催されるよう対応していく。
ICT教育
Q
清水議員 1人1台端末が整備され、3年度以降は、各学校においてICTを活用した学習が本格的にスタートする。GIGAスクール構想の目的や効果などを保護者が十分理解する必要がある。教育長の所見を伺う。
A
小玉教育長 GIGAスクール構想への理解について。GIGAスクール構想が目指す個別最適な学びや協働的な学びを実現するためには、教員や児童生徒のみならず、保護者の理解が極めて重要である。
道教委では、保護者の理解を深めるために、教育広報誌『ほっとネット』に、ICTを活用した授業の目指す姿やICTを活用する必要性を掲載し、すべての家庭に周知したほか、道教委のICT活用ポータルサイトにおいて、クラウドを活用した授業のイメージや、学習に活用できるアプリやサイトなどを紹介している。
今後も、ICTを活用することによって、学校における一斉学習や個別学習、協働学習による学びが充実することや、災害や感染症の発症など、緊急時にも教育活動の継続が可能となることなど、様々な効果があることについて、授業参観などの機会も活用しながら、保護者の理解が得られるよう周知に努めていく。
Q
清水議員 デジタル教科書を使用する授業では、長時間、画面を見ることが想定されることから、保護者の中には、視力低下など、子どもたちの健康への影響を心配する声もある。道教委としてどのように対応するのか伺う。
A
小玉教育長 児童生徒の健康への影響について。デジタル教科書の使用に当たっては、文部科学省のガイドラインに、姿勢に関する指導を適切に行うこと、長時間にわたって継続して画面を注視しないよう授業展開を工夫すること、学校医とも連携し、児童生徒の状況を確認するよう努めることなどの健康に関する留意事項が示されている。
道教委としては、こうした点について、各学校にあらためて周知するとともに、保護者にも丁寧に説明し、理解を得ながら活用するよう指導助言していく。
また、3年度に国が実施を予定しているデジタル教科書の教育効果や、導入に当たっての課題等を検証する実証事業に道教委も参加することとしており、この事業で明らかになる児童生徒の健康面への影響も含めた課題やその解決策について、広く情報提供していく。
コロナ禍での心のケア
Q
宮川議員 コロナ禍での共助について。国立成育医療研究センターによると、小学校4年生から6年生の15%、中学生の24%、高校生の30%に、中等度以上のうつ症状がみられた。子ども全体の17%が実際に体を傷付けた24%が体を傷付けたい、死にたいと思ったと答えるなど、深刻な結果だ。
昨年、独自に全道一律の休校要請を行ったが、本道における子どもへの影響についてどう考え、どう対処するのか伺う。
A
小玉教育長 新型コロナウイルス感染症における児童生徒への影響とその対応について。昨年の一斉臨時休業は、集団感染の拡大を防止するなど、学校における対策の充実を図ることが必要との判断から、市町村教委に対し要請し、その後、国からの要請を受け、継続した。
この間、友達と会えないことによるストレスや学習の遅れに対する不安などを抱えていた児童生徒が多くいたものと考えている。
ことし1月に道が中・高校生を対象に実施したアンケートでは、再開後の学校生活に不安を感じたと回答した生徒の割合は1割程度であり、これは、各学校において臨時休業期間中も含め、学びの継続のための工夫や、子どもたちをきめ細かく見守り、一人ひとりに応じた心のケアを行ってきたものによるものと考えている。
また、感染症に関する正確な情報提供やオンラインによる授業や交流を求める声が多かったことなども踏まえ、今後は、児童生徒が感染症をより正しく理解し、自ら予防行為を取ることができるよう、分かりやすい情報発信に努めるとともに、1人1台端末の導入によるオンライン授業をはじめとするICTを有効に活用した学習活動を充実するなどして、学びを止めない、心を近づける教育を推進していく。
少人数学級
Q
宮川議員 少人数学級の拡大に関しては、高校にも広げるべきだと考える。その効果と必要性についてどう考えるのか伺う。また、少人数学級に伴う教員確保はどのように行おうとしているのか、併せて伺う。
A
小玉教育長 少人数学級について。少人数学級は、主体的、対話的で深い学びの実現や、教員が生徒一人ひとりに向き合う時間を確保し、きめ細かな指導を行う上で効果があると認識しており、高校においても、義務教育と同様、有効であると考えている。
このたび、国では、小学校で順次拡大することとしたが、高校で実施するためにはさらなる教職員定数の改善が必要であり、国に対し、改善が行われるよう引き続き強く要望していく。
また、教員の確保に向けては、各種広報活動に加え、教員の採用選考検査における東京会場の設置など、様々な対策を講じている。今後は、さらに、教職員のやりがいを体感する草の根教育実習システム等を一層進めるとともに、働き方改革による職場環境の改善などを行い、質の高い教員の確保に取り組んでいく。
特別支援教育
Q
宮川議員 知的障がい児の小・中・高校併設校では、児童増に校舎の整備が追いつかない状況が深刻である。特別支援学校における教室不足、狭あい化についての現状と認識について伺う。
A
小玉教育長 特別支援学校の設置基準について。ことし1月に中央教育審議会が取りまとめた答申において、特別支援学校の教育環境を改善するため、国として学校に備えるべき施設を定めた設置基準を策定するよう提言している。
特別支援学校では、全国的に在籍者数の増加による慢性的な教室不足が続いており、国としても狭あい化を解消するため、設置基準を設けることは、教育環境を整備する上で大変意義あるものと認識している。
Q
宮川議員 児童の障がいによって、落ち着くことのできる静かな場所が必要であり、確保できるよう余裕をもった整備をすべきである。今後の整備の在り方についても伺う。
A
小玉教育長 知的障がい併設校の教室不足等の現状について。障がいのある子どもの教育的ニーズや保護者の特別支援教育に対する理解の深まりなどによって、特別支援学校への入学希望者の増加が続き、児童生徒の増加が続いている学校では、特別教室の転用などによって普通教室を確保している。
文部科学省の調査によると、令和元年度は、全道の17校で112教室の教室不足が生じており、障がいの状態に応じたきめ細かな支援を行う観点から検討する必要があると考えている。
今後の整備の在り方について。自閉症等を併せもつ子どもには、気持ちの高ぶりを落ち着かせるクールダウン等のための場所の確保が求められるなど、特別支援学校においては、普通教室のほかにも、障がいの特性に応じた施設設備の工夫が求められる。
道教委としては、新たに国で策定される予定の特別支援学校の設置基準を踏まえながら、子どもたち一人ひとりの指導ニーズに応じた教育環境の充実に努めていく。
Q
宮川議員 全道の17校で112教室が不足という極めて深刻な現状が明らかとなった。
身体的な支援のために広いスペースを必要とするが、視察した特別支援学校では、山の斜面に建設されているために、廊下のあちこちに階段があり、行動に制約がもたらされる。
増改築に当たり、様々な条件があるが、早急な対応が必要。どのような対応をするのか伺う。
A
小玉教育長 知的障がい併設校の教室不足に関する今後の対応について。特別支援学校の教育環境を改善するため、国として学校に備えるべき施設を定めた設置基準の策定を予定していると承知している。道教委としては、特別支援学校の設置基準の策定などに関する国の動向を見極めるとともに、特別支援教育に関する改善に鋭意努めていく。
図書館の在り方等
Q
宮川議員 図書館の自由に関する宣言は、権力の介入または社会的圧力に左右されることなく、資料と施設を国民の利用に供する、国民の知る自由を妨げる役割さえ果たした歴史的事実の反省の上に、国民の知る自由を守り、広げていくとしている。教育長に伺うが、この図書館の自由に関する宣言をどう評価されているか。全面的に本道の図書館行政に生かされていくのか、伺う。
刑事訴訟法第197条第2項を根拠に、警察が令状なしで捜査関係事項照会を図書館に行い、利用者情報を求めた事例が多発しており、札幌弁護士会は、61市町村の102館中、10館が照会を受けたことを明らかにしている。図書館への令状のない捜査関係事項照会は、宣言に照らし、回答すべきではないと考えるが、教育長の見解を伺う。
A
小玉教育長 図書館の自由に関する宣言について。宣言は、昭和29年に日本図書館協会が採択し、国民の表現の自由と知る自由を保障するという図書館の行動規範を自ら示したものであり、図書館の設置運営に当たって、重要な考え方として広く社会に受け入れられているものと評価している。道内の公立図書館の職員を対象とした研修において、今後も図書館職員の理解を図っていく。
図書館への捜査機関からの照会について。図書館の自由に関する宣言においては、令状を確認した場合を除き、利用者の読書事実を外部に漏らさないことを原則としている。
個人情報保護法においては、利用目的以外の個人情報の利用提供は原則禁止されているが、総務省からは、捜査関係事項照会などがこの原則から除外される例として示されている。
これらを踏まえると、捜査関係事項照会は刑事訴訟法に基づくものであり、回答することは可能と考えられるが、利用者の読書事実などは取扱いに特に配慮を要するものであるため、原
則として、令状に基づき対応すべきものと考える。
(道議会 2021-08-18付)
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