札幌雪学習プロジェクトパッケージ指導案 上 大雪から生活を守るため 稲穂小 除雪センターの役割理解(札幌市 2021-09-14付)
札幌市教委職員や小学校教職員などで構成する、札幌雪学習プロジェクトでは、雪を楽しんだり、克服したりする活動を通して、冬の暮らしに関心をもち、除雪などに対する意識の浸透に向けた「雪学習」として、様々な取組を実施している。このうち、小学校教諭が雪に関する授業に活用しやすいように、指導案、および指導案に沿った副読本や写真素材などを含めた教材(ツール)を作成する「雪学習パッケージ」では、雪について学ぶ授業の学習指導案を、事務局の市建設局雪対策室のホームページで公開している。今回は、前年度に行われた2校の授業内容を連載で2回に分けて紹介する。
◆市立稲穂小学校・高田雄平教諭(現・市立八軒西小学校教諭)
▼単元名=4年生社会科「大雪からくらしをまもる」―5時間扱い
【単元のねらい】
▽大雪から生活や安全を守るために、関係機関が協力して対処していることを理解している(知・技)
▽大雪から生活や安全を守るための関係機関の活動をとらえ、その働きを考え表現している(思)
▽大雪から生活や安全を守る活動について、主体的に問題解決しようとしたり、より良い社会を考え学習したことを社会生活に生かそうとしたりしている(態)
【単元で目指す子どもの姿】
▽雪が降ることのよい面だけでなく、マイナスの面にも目を向け、自分たちの生活や安全を守ってくれている市の除排雪システムについて理解している姿
▽除雪センターで働く人々の工夫や努力によって、自分たちの生活や安全が守られていることをとらえ、その働きについて考え、表現する姿
▽札幌市民として、自分なりの雪に対しての考えをもち、できることを見つけようとする姿
【教材化のポイント】
▼視点1=主体性を育むための教材化
▽模型やICTを使用
単元の導入では、実際の大雪の際の積雪の高さの模型を用意する。そうすることで、子どもたちが大雪の際にどれだけの雪が積もるのかを実感できるので、生活経験と比較しながら自分の考えをもつことができると考える。
また、除排雪の映像やグラフなどをパワーポイントで提示することで、子どもたちが資料から読み取り、考えた内容に根拠をもたせるとともに、除排雪についての理解を確実なものとしていく。
▼視点2=資質・能力を育む教師の手立てやかかわり
▽指導と評価の一体化
子どもたちの学習の積み重ねを発言やノートの記述から見取るとともに、個人に返していく。特に、本単元では市民として「自分にできること」という視点が大切であるので、その考え方を単元を通してもち続けることができるようかかわっていく。
また、単元の学習問題について、子どもたちが自分事として考え、表現することができるよう、学習中に子どもたちから生まれた疑問を大切にし、学習の中で取り扱うようにしていく。
【学習活動計画】
▼1時間目
▽主な学習活動
他国と札幌市の積雪量を比較した上で、市の積雪量が多いことを確認。スキーや雪合戦など、ウインタースポーツなどを魅力として示した。
一方、雪が多いことで交通機関のまひや事故の発生によって、通勤・通学など、日常生活に多大な影響を及ぼしていることも確認した。
その上で、単元の学習課題として「だれがどのように、大雪からわたしたちのくらしを守っているのか?」を提示した。
▽学習のポイント
雪に対してプラスの思いをもっている子どもたちに、大雪の大変さが分かる資料を提示することで、大雪からくらしを守る市の取組に目を向けさせる。
大雪によるデメリットを時間経過に着目してまとめる。
▼2~5時間目
▽主な学習活動
除雪と排雪の違いについて説明。除雪費用に比べ、排雪費用が80倍であることや、一冬で札幌ドーム13杯分となっていることなどを学ぶ。また、除雪センターに勤務する職員の業務内容などを紹介し、24時間体制で市の交通を円滑にするために働いていることを理解する。
その上で、市に対する要望・意見では、除雪に関する内容のものが最も多いことから、「雪が多い札幌だからこそ、市に任せるだけでなく、自分たちにもできることを見つけ協力する必要がある」とまとめ、市民も除雪に協力する必要性を呼びかける。
▽学習のポイント
歩道と車道の様子の比較、生活経験などから、除雪に目を向けることで、単元の学習問題を生む。
除雪、排雪を区別して理解することができるように、別々の時間で取り扱う。実際の積雪の高さが理解できるよう、積雪のモデルを用意する。
除雪と排雪についての学習と、働いている人の努力や工夫を関連させながら学習することができるようにする。
除雪についての学習を通して身に付けた考え方をもとに、雪に対しての意識を高めることができるように、身近な例を挙げて選択・判断する場面を用意する。
(札幌市 2021-09-14付)
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