道議会質疑(道議会 2022-04-08付)
【質問者】
▼大越農子委員(自民党・道民会議)
▼赤根広介委員(北海道結志会)
【答弁者】
▼鈴木淳学校教育監
▼中澤美明学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長
▼泉野将司健康・体育課長
▼伊藤伸一生徒指導・学校安全課長
=役職等は当時=
◆体力向上
Q
大越委員 3年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査は、新型コロナウイルス感染症対策を講じて実施されることとなっているが、各学校において全てのテストを実施できたのかなど、3年度の実施状況等について伺う。
A
泉野健康・体育課長 3年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査の実施状況について。国において、2年度、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により中止となったが、3年度は、地域の感染状況を見極めながら、衛生管理マニュアルに示す感染症対策や体育の授業における留意事項を徹底しつつ、可能な限り屋外で実施し、屋内で実施する場合は、間隔を十分に取ることや、少人数ごとに分けて行うことなどを講じながら、実技テストを実施した。
その結果、道内では、7月までの実施期間内に全ての小・中学校において、調査に参加した児童生徒が安全に実技テストを行うとともに、質問紙調査を終了した。
Q
大越委員 2年度の道教委独自の分析結果を踏まえ、これまで体力向上に向けた取組をどのように実施してきたのか伺う。
A
泉野健康・体育課長 これまでの体力向上に向けた取組について。2年度、道教委では、独自に各市町村教委に新体力テストの実施を促し、データの提供を求めたところであり、その分析結果では、元年度と比較して、小学5年生では、大きな変化がみられなかった一方、中学2年生では、男女ともに持久力に関する20㍍シャトルランやスピードに関する50㍍走のポイントが下がるなど、総じて中学生の体力が低下している状況がみられた。
こうしたことから、持久力やスピードなどの体力向上を図るため、手軽に取り組むことができる、縄跳びを中心とした、どさん子元気アップチャレンジを実施し、多くの子どもたちの取組を促すとともに、各学校で感染症対策を講じながら、体力向上と健康の保持増進を図るための効果的な実践事例等を周知するなどの取組を進めてきた。
Q
大越委員 様々な取組をされていると思うが、いささか新鮮さに欠け、毎年同じような繰り返しに見えるものも中にはある。体力の低下傾向にある児童生徒が主体的に楽しめるプログラムなどが必要ではないかと考えるが、見解を伺う。
A
中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 体力向上に向けた新たな取組について。道教委では、感染症拡大の影響によって、運動機会が十分確保できない状況を踏まえ、3年度内に、新たにリズム運動の動画を作成し、子ども自らが楽しみ、無理なく続けて取り組むことができるよう、各学校に提供することとしている。
動画の作成に当たっては、児童生徒の運動意欲を喚起する観点から、曲づくりでは、道内出身のシンガーソングライターの協力を得るとともに、振りつけは、道立高校のダンス部員と日本ハムファイターズのインストラクターが共同で創作するほか、撮影では、日本ハムやコンサドーレ札幌、レバンガ北海道、エスポラーダ北海道のマスコットキャラクターが出演するなど、音楽界、スポーツ界と連携したところ。道教委では、この動画が日常の教育活動や家庭生活の中で親しみやすく活用されるよう全道に普及していく。
Q
大越委員 新型コロナウイルス感染症による教育活動の制限が長期に及び、部活動をはじめ子どもたちの運動機会が減少している中、体力向上は成長期における子どもたちにとって非常に重要な取組である。道教委として、児童生徒の体力向上に向けて、どのように取り組んでいくのか伺う。
A
鈴木学校教育監 体力向上に向けた今後の取組について。道教委としては、これまでの調査結果から、学校の教育活動はもとより、放課後や家庭生活での体力向上に向けた取組の機会を確保することが重要であると認識している。
こうしたことから、引き続き、体育専科教員の活用や授業実践セミナーの開催などを通じて、子どもたち一人ひとりが運動に親しみ、資質・能力を身に付けることができる授業改善に取り組み、児童生徒の体力向上に努めることはもとより、新たにリズム運動動画のユーチューブへの配信やリズム運動のコンテストの実施など、ICTを活用した取組を通して、子どもたちが主体的に体を動かそうとする意欲を高め、運動習慣の定着を図るなどして、体力向上に向けた取組を一層推進していく。
D
大越委員 時代の変化に合わせて、子どもたちに親しみやすい取組を始められると受け止め、評価する。習慣づけが最も大事なことになるので、できる限り多くの機会を通して、子どもたちの体力向上に資する取組に育てていただきたい。
Q
赤根委員 昨年は、一斉休業などもあり、単純比較はできないが、傾向としては、間違いなく増加をしていると言える。
そこで、元年度の重大事態の発生件数は14件と承知しているが、2年度、3年度の状況について、その対応状況と併せて伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 重大事態の発生状況について。道立学校および札幌市を除く市町村教委から報告があった発生件数は、2年度で6件、このうち、いじめ重大事態調査が終了したのは3件、3年度については、9月末時点で3件、このうち、調査が終了したのは1件となっている。
Q
赤根委員 道内市町村における重大事態の調査の組織、この設置状況がどのようになっているのか伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 重大事態の調査組織の設置状況について。国のいじめの防止等のための基本的な方針では、市町村において、重大事態が起きてから急きょ調査を行うための組織を立ち上げることは困難であることから、平時から調査を行うための組織を設けておくことが望ましいとされている。道内で設置されているのは、138市町村となっている。
道教委としては、国の方針に基づき、未設置の市町村に対し、いじめ重大事態がいつ、どこでも起こり得ることを認識し、発生した際、速やかに調査を開始することができるよう、調査組織の設置に向け、引き続き丁寧に指導助言していく。
P
赤根委員 地域によっては、組織の構成員となる医師あるいは弁護士などの人材が全くいない地域も、特に弁護士に限ってはあるかと思う。道教委が人材の手当てなども含めて、しっかりと取り組んでいただき、速やかに設置が進むようお願いする。
Q
赤根委員 道のいじめ防止基本方針によると、市町村の取組として、教育委員会にあっては特段の理由がある場合を除き、地方いじめ防止基本方針を策定するとされている。その策定状況について伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 地方いじめ防止基本方針の策定状況等について。道いじめの防止等に向けた取組プランにおいて、4年度末までに、市町村における地方いじめ防止基本方針の策定率を100%とすることを目標指標に掲げていることから、3年6月に策定状況を把握したところ、全ての市町村が策定済みとなっている。
P
赤根委員 実効性をいかに確保していくか、こういうことが大事だ。道教委としても、引き続きフォローなどに当たっていただきたい。
◆いじめ問題
Q
赤根委員 国は、いじめの周知や重大事態への対応など、いじめ防止対策推進法やガイドライン等にのっとった適切な対応が行われるよう、取組の徹底を促すための事務連絡を9月21日に発出していると承知をしている。その通知内容について伺うとともに、道教委の対応についても併せて伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 国の事務連絡等について。文部科学省の事務連絡は、都道府県教委に対し、いじめ防止対策推進法等に基づくいじめに関する対応について、特にいじめの積極的認知と早期の組織的対応、重大事態への適切な対応、いじめの未然防止などに、一層努めるよう求めたものである。
道教委としては、今回の国の事務連絡を各市町村教委に周知するとともに、地方いじめ防止基本方針に基づいた取組、重大事態調査組織の設置などについてあらためて指導し、2学期以降のいじめ防止の徹底を図るよう通知したところ。
Q
赤根委員 いじめの積極的な認知と早期の組織的な対応について、道教委ではどのようにこれまで取り組まれているのか、課題認識と併せて伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめの積極的な認知等について。道内では、いじめの積極的な認知によって、いじめの認知件数が増加しているものの、初動対応が遅れ、組織的な対応ができず、状況が複雑化するなどの事態がまだみられているところ。
こうしたことから、道教委では、市町村教委と連携し、道内の全ての児童生徒を対象として行っているいじめアンケートに基づく取組が確実に行われるよう、いじめの定義を限定的に解釈し正確な認知が行われていないなどの誤った判断により事案が深刻化した事例などを示した指導資料を学校に配布し、学校教育指導や生徒指導に関する研修等で活用するとともに、児童生徒や保護者から直接相談を受けた事案や市町村教委の報告により把握した事案に対して、認知の在り方や組織的な対応について指導している。
Q
赤根委員 北海道のいじめの防止等に向けた取組プランでは、最初の項目に、初動対応の大事な項目である、いじめの認知を掲げている。その目標指標としては、プラン最終年度の4年度には、「本校はいじめの認知に向けて積極的に取り組んでいる」という設問に対する回答の割合を100%にするとしている。現状がどのようになっており、今後どう取り組むのか伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめの認知の状況等について。道教委では、平成30年度に、いじめ防止対策の具体的な取組や評価検証を行うための目標指標とスケジュールを示した取組プランを策定し、いじめの認知の状況等については、教職員、保護者に対し、令和元年度、3年度および4年度の3回調査を実施することとしている。
元年度の調査では、学校はいじめの認知に積極的に取り組んでいると回答しているのは、教職員が約7割、保護者が約2割となっている。
道教委では、3年度の調査から児童生徒も対象に加えて調査を行い、現在進めている、いじめ防止に向けた啓発活動や教職員研修、学校等への指導助言の在り方等について、検証を行い、取組の改善を図ることとしている。
P
赤根委員 元年度の調査でも、教職員は7割、一方で保護者が2割という回答で、相当現場と家庭ではかい離があるのは事実だと思う。そこで、3年度は児童生徒からも、アンケート調査をされるということなので、ぜひ速やかに結果を取りまとめ、分析の上、対策に生かしていただきたい。
Q
赤根委員 道教委では、道内の公立学校を対象に、いじめ問題への対応状況の調査を実施している。直近の調査結果について過去の調査結果との比較も併せて伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめ問題への対応状況の調査について。道教委では、いじめ問題の末然防止、早期発見、早期対応の取組の充実を図るため、札幌市を除く公立学校を対象にし、年4回、いじめの認知件数とその対応状況について把握しており、直近の調査である、ことし4月から6月までの3ヵ月間を対象にした調査のうち、認知件数について2年同時期と比較すると、いじめの認知件数は、小学校、2年度4584件から3年度4927件、中学校、2年度895件から3年度1044件、高校、2年度244件から3年度281件、特別支援学校、2年度19件から3年度29件となっており、いずれも増加している状況である。
(道議会 2022-04-08付)
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