文科省ＳＳＨ指定の札幌開成中等　科学的興味向上で成果　研究実施報告書・第５年次

（札幌市 2022-06-02付）

前年度の研究成果をまとめた

　文部科学省が実施する、スーパーサイエンスハイスクール（ＳＳＨ）の指定を受けている市立札幌開成中等教育学校（宮田佳幸校長）は、「ＳＳＨ研究実施報告書・第５年次」をまとめた。３つの仮説に関する研究事業や活動、評価などについて記載している。

　ＳＳＨ支援事業は平成１４年から開始。先進的な理数系教育を実施している高校等を指定校とし、将来のイノベーションの創出を担う科学技術関係人材の育成を図っている。

　指定期間は原則５年で支援額は年間６００～１２００万円。令和３年度から予算支援のある事業枠のほか、予算支援はないが各地域での理数系教育の拠点となる認定枠を設置している。

　同校は、平成２９年度から指定を受け、前年度に最終年次を迎えた。

　５年間の研究開発課題は「“インターナショナルバカロレア”教育に基づく“コズモフロンティアイズム”の深化～コズモサイエンス科の取組とインターナショナルバカロレアの取組との融合・調和を図り、中高一貫校の視点から一貫性のある“Ｓａｐｐｏｒｏ教育モデル”を構築する」となっている。

　５年次は「５年間の取組を総括するとともに、新型コロナウイルス感染症の影響下で実施できる取組を検討する」こととした。

　具体的な研究事項・活動内容では、国際バカロレア教育（ＩＢ）教育と融合した教育課程開発と実践や地域との連携活性化などに取り組んだ。

　研究では、３つの仮説に基づいて活動・取組を実施。うち「地域と連携することによって、科学的意欲に富んだ生徒を育むとともに、地域の活性化を図ることができる」では、近隣の小学校５・６年生を対象に、生徒が研究成果を発表する「コズモキッズセミナー」を開催。セミナーの運営は、途中からボランティアによる生徒中心で行えるように変更していった。

　参加した小学生の９割は、探究に対する興味の深まりを実感する結果となっており、地域の科学的人材育成につなげた。

　ＩＢとＳＳＨの取組を実践してきた生徒の３年間の変容については、３年度に６年生となった生徒のＳＳＨ意識調査の結果をみると、興味・姿勢・能力に関する１６項目では「大変向上した」「向上した」と回答した割合の合計に大きな変化はなかった。

　一方で「大変向上した」の回答割合に限定すると、ほぼ全ての項目で数値が上昇。特に「協調性・リーダーシップ」「問題発見力」「真実への探究心」「洞察力・発想力・論理力」では、「大変向上した」の割合が半数以上を占めており、「成果を伝える力（レポート・プレゼンテーション）」においては７１・９％と、大きく数値を伸ばす結果となった。

　報告書ではこのほか、２つの研究仮説に関する成果などを掲載している。

(札幌市 2022-06-02付)